チェンマイロングステイ その5
 いろいろな乗り物

バンコクには高架鉄道や地下鉄が走っているが、チェンマイには地下鉄などの公共機関がないので少々不便だ。市営バスは走っているが、一度も使った事はない。使い勝手がよくないのかもしれない。日本で見るようなタクシーはあまり見かけない。

赤いソンテウタクシーの代わりに、市内には赤い色のソンテウ(軽トラックを改良して10人分ぐらいの椅子がある)が頻繁に走っていて、合図をすれば停まってくれる(左)。行先を告げて値段の交渉から始まる。まったく別方向だと断られる場合もある。旧市街は一方通行なので右回りか左回りかも覚えておく必要がある。相乗りタクシーみたいなものだから大勢乗っていれば安くなるが、2人だけだと高くなる。これも交渉次第だ。遠方でなければ、ひとり20〜30B(1Bは4円弱)あれば大丈夫だ。

1年目はHさんやSちゃんが一緒でないと乗れなかった。2人だけでどこかに行くときは、歩くのが好きなこともあって歩き通した。2年目ともなると自立せねばならない。おおまかな値段が分かってきたので、何回か乗った。郊外から高速バスで帰って来たときは「100Bでどうか」と相場の3倍ぐらいの値段をふっかけられたが、断った。初めてチェンマイに着いた人は、ひとり400円ぐらいだから高いと思わず乗るに違いない。でも相場を知っている私たちは、他のソンテウを探した。

市内を走っているのは赤いソンテウだが、地方に行く場合は色が違う。1年目は白いソンテウに乗って、ボーン・サーンという郊外の町まで行き傘祭りを見てきた。30分ほど乗ってわずか15B。

2年目は青いソンテウに乗って、ランプーンへ遊びに行った。1時間ほど乗ったのに、行きは20B、帰りはなぜか17B。ルートが決まっている郊外行のソンテウは、値段の交渉をしなくてすむ上に安い。

観光客に人気があるのがクトク(三輪自転車)と三輪自動車。両方とも風情があるが、一度も乗ったことはない。Sちゃん達が奨めないこともあるし、値段の交渉がより面倒そうだ。年寄が漕ぐ自転車に乗るのが申し訳ない気持ちもある。

青いソンテウ 三輪自転車 三輪自動車
 
ランプーンとチェンマイを結んでいる
青いソンテウ

 
三輪自転車
人力車と似ている
 
三輪自動車もタクシーとして
よく走っている

三菱とヤマハオートバイや自転車も走り回っているが、ベトナムほど多くない。いちばん多いのが自家用車。夫に言わせると「日本よりも日本車のシェアが多い」。つまり乗用車のほとんどが日本製だ。日本の首都圏では外車の率がかなり高いから、確かにチェンマイの方が日本車の比率が高い。
三菱自動車とヤマハのオートバイの店が並んでいる(左)。

若いころ鉄道旅が大好きで、だまって景色を見ているだけで幸せだった。ドラマが起こりそうなプラットフォームの雰囲気も好きだ。若い頃の気持ちが失せることはなく、外国に行くと可能なかぎり駅を見に行っている。

1年目はチェンマイの鉄道駅まで歩いて行ってみた。象の置物や国王の写真が飾ってあるプラットフォームは、想像していたよりずっと清潔だ。バンコク行きの列車が停まっていたので途中まで乗ってみたかったが、帰りの列車があるかどうか分からないので、乗らずじまいだった。

2年目はランパーンという90q南の町まで列車で行って来た。切符を買おうとしたら「パスポート」と言われた。たまたまコピーを持っていたので乗ることが出来たが、万事が大雑把に見えるタイで、なぜ外国人に厳しいのだろう。プラットフォームがきれいなのは1年目で承知だが、車内も実にきれいだ。コーヒー売りなども来る。私が唯一嫌だったのは冷房が効きすぎていることだった。

チェンマイ駅 列車内 ランパーン駅
 
チェンマイ駅のプラットフォーム

 
清潔な列車内

 
ランパーン駅

チェンマイを8時50分出発、途中2駅で停車し、ランパーンに着いたのは10時41分。その間、ヤシの木やバナナ畑が広がっている景色をうっとりして眺めていた。Sちゃん達が「列車が遅れることはしょっちゅうあるから」と心配してくれたが、出発も到着もほぼ時刻表どうりだった。指定席に2時間も乗って料金は1人50B。200円もかからない。

ランパーン駅で帰りの指定券を買おうとしたら、「間際にならないと売らない」と言う。理由が分かったのは、ランパーンの町を数時間ぶらついた後のことだった。「2時間以上遅れている」と窓口のお嬢さんが言う。2時間が3時間になることだってある。遅れがたびたびあるので間際まで売らないらしい。

列車があてにならないので、高速バスに乗る事にした。高速バスは非常に発達していて、列車より本数が多い。でもランパーンの高速バスターミナルが見つからない。地図にある所を目指すのだが、それらしき場所はない。大きなショッピングセンターで何人かに聞きまくったのだが、チェンマイよりもっと田舎ゆえ英語が通じない。

高速バスそんな時、バスターミナルという言葉に反応したイケメンのきちんとした若者が「僕に着いてこい」というしぐさをした。歩きながら「三井住友銀行の行員だ」と話す。ショッピングセンターで貯金の勧誘でもしていたのかもしれない。でも英語は片言以下。英語も日本語も話せなくても、日本の銀行に勤めることができるんだなと、変なことに感心した。

結局そのイケメンが大きなバスターミナルで、チェンマイ行の切符を買ってくれ、乗り場も教えてくれた。ほっとして思わず彼と握手して別れた。タイ語と日本語の対比辞書があるし、翻訳機まであると聞いた。タイに滞在する限りは、せめて辞書を持つ位の準備はせねばとつくづく思った。

さて高速バスは、ソンテウなどとは比べものにならない快適な乗り物だ。2階に乗ったので景色もいい。高速道路なので揺れない。運転席を見ていたのだが、速度も100q以下に抑えている。1時間半ほど乗ったのに、値段はひとり67B。鉄道より高いとはいえ、250円ぐらい。左写真がチェンマイまで乗ったバス。降りた時は暗くなっていた。

高速バスに乗っていた若いイギリス人は「バンコクから10時間ぐらい乗って来た。でもリクライニングにもなるから快適だった」と話していた。若者らしい旅スタイルだなと思った。彼にはチェンマイの見どころなど、デジカメの液晶を見ながら教えてあげた。そういえばバンコク行きの列車にも欧米の若者がたくさん乗っていた。日本人のバックパッカーには、一人も会わなかった。

城壁に囲まれた街

ファリンコーナーチェンマイは1.6q四方の城壁に囲まれた街だ。かつて城壁があった街は世界中にたくさんあるが、今でも城壁が残っている街はそう多くない。チェンマイは壁全部は残ってはいないが、満々と水を湛えた濠と5つの門と4つのコーナーの壁が残っている。古びた煉瓦の門と濠が古都の風情に魅力をそえる。左写真は北西のコーナーであるファリンコーナー。

チェンマイの歴史をごく簡単に。13世紀、チェンセーン盆地(ゴールデントライアングル)に現れたメンライ王が、ランプーン(列車で訪れた町)に栄えていたハリプチャン王国を征服。チェンマイに入ってラーンナータイ王国を建国した。

15世紀の最盛期には、スコータイやラオスのルアンプラパーンやビルマのシャン地方まで勢力を広げていた。16世紀になると衰退しはじめ、18世紀後半まで200年間はビルマの属国になった。第二次世界大戦後、ラーマ5世によって、今のタイ王朝に完全に併合された。チェンマイは現在の王朝とは異なる歴史を歩んできたことになる。

ターペー門 スアンドーク門 チェンマイ門 チャンファック門
 
ターペー門(東門)
 
スアンドーク門(西門)
 
チェンマイ門(南門)

チャンファック門(北門)
 

滞在しているホテルからいちばん近いのはターペー門(東門)。この門とピン川の間にはナイトバザールや有名ホテルやカフェなどがあり常に賑わっている。旅行者にはいちばん有名な門だ。私たちは他の門も全部見てきた。北門がチャンファック門、西門がスアンドーク門。なぜか南にはチェンマイ門とスアンブルン門がある。4隅のコーナーにはそれぞれ名前がついている。歩き回れば汗をかくので楽ではないが、歩き回ったおかげで城壁に囲まれた街を実感できた。     (2016年5月16日 記)

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