チェンマイロングステイ その7
 エレファントサファリと首長族


1年目は郊外ツアー選びもSちゃんに任せっきりだったが、2年目は自立せねばと自分たちでツアーを探すことにした。ホテル近くの日本人が経営している旅行社に行ってみた。コースはいくつもありバラエティに富んでいるが、日本語ツアーは参加者が少ないので非常に高くつく。英語ツアーはそれなりの値段だ。いろいろな国の人との混載ツアーだが、それも面白いかもしれない。

12月26日、「エレファントサファリと筏下りと首長族」の一日ツアーに参加することにした。ホテル送迎、昼食、入場料も含め1400B。同じバスに乗りあわせたドイツ人に後で聞いたのだが、1300B。私たちは、仲介料を高く取られたわけだ。

ホテルを8時10分に出て、市内のホテル3か所でピックアップ。ドイツ人とタイ人、フランス人とタイ人、スイス人とフィリピン人というカップルと私達2人の合計8人。想像するしかないのだが、全員が現地で調達した恋人のようだ。欧米人はタイ人女性が好みだと聞いたことがある。

市内を抜けて20㎞ほど走りメーサ渓谷へ。埃っぽいチェンマイ市内とは別世界。原生林の囲まれた美しい渓谷がある。この辺りには、象の観光施設が点在している。

最初に、象のショーを見学。象の曲芸は日本の動物園でもおなじみなのでさして面白くないが、感心したのは象のお絵かき。鼻で筆を持って上手に描く。出来上がった作品は売店で売っている。

 
鼻で筆を持って絵を描く


完成した絵
 
 
二頭立ての白牛の牛車


次のプログラムは、ヤシの木が茂る田舎道を牛車に乗って散策。2頭の白い牛が懸命に曳く。坂道になると馭者は容赦なく鞭でたたく。叩かれている牛が可哀そうであんまり楽しくないが、2頭立ての白い牛は絵になる。

次は、今日のハイライトでもある象乗り。エジプトとチュニジアでラクダに乗ったことがある。振り落とされそうで怖かった。だからロバや馬にも乗ったことがない。でもここまで来たら、象に乗らないわけにはいかない。背中に椅子がついているし、Sちゃんが「身体を後ろに逸らしていれば、怖いことはない」と言う。結果的には、急な山道を下りる時以外は、乗り心地が良かった。大自然の中の30分の散策は、冥途の土産になったような気がする。とはいえ、象が機嫌を悪くして怒りだしたら、振り落とされるに決まっている。現に象の背中から振り落とされて、そのあげく踏みつぶされた外国人のニュースを帰国後に聞いた。

 
急な山道を象に揺られて
 
川を横断

 
丸太の筏乗り


象と遊んだあとは、ビュッフェスタイルの昼食。シュツッツガルトから3週間の予定で来ているドイツ人と同席だった。自分はテニスのコーチだと自己紹介し、「圭(錦織)はほんとうに良いプレーヤーだ」など言う。関係ないとはいえ、少し嬉しくなった。

次は首長族が住むナムニャ村に向かった。真鍮の首輪を巻いた首長族の写真は、ガイドブックでよく見ている。なにか不自然で、気持ちがいいものではなかった。でもこの村で出会った首長族のオバアサンは、みなさん穏やかな顔つきで虐げられているようには見えないのでホッとした。真鍮コイルを巻いているのは女性ばかり。なぜ男性の首長族がいないのか。


お年寄りは顔が小さくて
スタイルがいい

左の若い女性は、観光客がいる時
だけ巻いているのかもしれない

この人が織っている
スカーフを買った


そもそも首が長い民族がいるわけではなく、小さい時から真鍮コイルを巻くのでその重みで肩の位置が極端に下がり、首が長いように見えるだけなのだ。こういう風習が始まった理由は分からないとガイドは言う。こんな可哀そうな風習は止めればいいと思うが、タイ政府が観光客を呼び込むためにいくつかの村に補助金を出して保護しているそうだ。カメラを向けてもチップを要求することなく笑顔でおさまってくれるのは、そのためだった。私は、上品なオバアサンが織っていたスカーフを買った。

次はメーサ渓谷4㎞の筏下り。筏は丸太を並べただけの乗り物だから、ひっくりかえったら怖いな一瞬思う。でも流れは穏やか、筏漕ぎのお兄ちゃんも愛想がいいので、悪い想像はやめることにした。

このツアーは盛りだくさんだ。チェンマイ市内に戻る道すがら、メーレム蘭園とタイガーキングダムにも寄った。タイガーキングダムでは、別料金だが虎をなでたり一緒に写真を撮ることもできる。

 チェンマイの大晦日

1回目は年明け早々に日本を発った。2回目はチェンマイの年越しを経験したいのでクリスマス頃に日本を発った。年越し云々より、最大の理由は正月料理を作らなくていいからだ。タイの正月は2月だと聞いているが、毎年、チェンマイで12月31日を過ごすH夫妻やSちゃん情報では、コムロイという熱気球揚げと花火で新年を祝う。大晦日の夕食をすませた後に、コムロイがたくさん上がるというターペー門を目指した。さすが大晦日だけに人出が半端ではない。途中の寺院でもコムロイをあげていたので寄ってみた。

 
コムロイを揚げる準備
 
空にあがったコムロイ

 
ホテルの屋上で見た花火

コムロイはタイ北部で古くから伝わる小型熱気球のことで、大きな行事があるとあげるらしい。大きなコムロイは迷惑になるので、体積1㎥以下、幅90センチ、高さ140センチ、重量55グラム以下、滞空時間は8分以内という決まりがある。提灯みたいなものだが、油をしみこませたものに火をつけることで空気が軽くなり空に上って行く。日本の灯篭流しが空に上がっていくと考えると分かりやすい。灯篭流しが幻想的なように、無数のコムロイも幻想的だ。

ホテルの屋上で新年を告げる花火を見た。下を見下ろすと新年のハイタッチをする若者で賑わっていた。「いつもより寂しい花火だった。軍政になってから、制約があるのかもしれない」とSちゃんは話す。

                                                  (2016年6月16日 記)
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