オレオレ詐欺 (北山田だより189号-2003年12月-から抜粋)


 「オレオレ詐欺」にひっかかるなど、バッカじゃなかろうか、ニュースであれだけ騒いでいるのに、なぜ?と思ってしまいますが、詐欺たちは、それで生計を立てているプロ。必死で、人間の心理や弱みを研究しています。こんな彼らにすれば、善良なるお年寄りを騙すなど、朝飯前のことなのでしょう。
 
 実は、近所の友達にも「オレだよ。○○だよ」の電話がかかってきたのです。いよいよ身近にお出でなすったと身震いしてしまいます。○○は、まぎれもなく彼女の息子の名前。声や話し方が似ていたので、一瞬は息子だと思ったそうです。「実はさあ、株をやってるんだけど、少し足りないんだよ。貸してくれないかなあ」。その段階で、オレオレ君だと気がつきましたが、最後まで話を聞き、「後で電話するから」と切ったそうです。

 なんて冷静!私の場合は、息子からの電話は、数ヶ月に1度あるかないか。もしかかってきたら、母さんは舞い上がってしまうかもしれません。

 その友達は「よく考えれば、振込先を聞いておけばよかった。警察に届ければ、彼は捕まったかもしれない。被害も広がらないでしょう?」。なるほど!良い考えですね。私に、もしかかかってきたら、騙された振りをしてみようと思います。はたして、振込先を、震えずにメモ出来るかしら。

 それにしても最近は、妙な電話が多いですね。化粧品、浄水器、墓地、ワンルームマンション、金融商品・・のセールス電話は以前からありましたが、男性を直接指名する電話が増えています。

 「○○君いますか。ワタシ中学の同級生△△です」と甘ったるい声。「今いないわよ」「何時に帰りますか。××××番に電話するよう伝えてくださーい」「はーい」と、素直に応答する私。息子はとうに家を出ているし、中高とも男子校なので女の子の同級生はいないのです。冷やかそうか思いましたが、魂胆はわかるし、番号を知っているだけに、後が怖い!

 夫にかかってくるのも困ります。「○○でお世話になった鈴木です。ご主人お帰りですか」。○○は、夫が長年勤めていた会社。今の仕事にも関係あるから、丁重にせねば。「戻りましたら、連絡させます。念のため電話番号を」「いや、今出先なので、こちらから又連絡します」。結局、夫と関係ある鈴木さんはいないことがわかりました。これもセールスだったのでしょう。○○と名乗られたことが、私には弱みでした。

 「ああ!どうもどうも、奥さんですか。△△の佐藤です。いますかねえ」。△△は、夫の故郷。夫が在宅していれば、すぐ電話を渡したかもしれませんが、このときも留守。親しげな口調から、同級生だと思い込んだ私は、「同窓会のご連絡でしょうか」と、これまた丁重に。要するに、この2例は、夫を電話口に呼び出す手段のようでした。

 「夫を指名する電話がよくかかる」と、友達も話しています。息子にはかかるけれど、娘にはかかりません。推測するに、男性のほうが、よく言えば純情、悪く言えば騙されやすくて、ノッてきやすいということ。大会社の組織で守られていた男性ほど、個人的には無防備で、罠にはまってしまう可能性があるということでしょうか。

 それにしても鈴木・佐藤と名乗ってのは、本当ですよ。珍しい名前のほうが良いようにも思いますが、その場合は「そんなヤツ聞いたことない」となりますが、佐藤、鈴木は必ず友人にいるので、邪険にできませんものね。ナンバー1と2を騙るほうが、万事に都合がいいのかもしれません。

 ところで、次のようなEメールが私宛に入りました。思わず感心してしまうような詐欺の手口です。詐欺に感心していてどうする!と言われそうですが、お読みください。

 DATA管理番号:BL56485

弊社は信用調査会社様からの依頼に基づいて料金支払遅延者のデーターを一括管理しているDKC(データー管理センター)と申します。この度は貴殿が使用されたプロバイダ及び電話回線から接続された有料サイト利用料金について運営業者より利用料金支払遅延に関してブラックリスト掲載要請を受けました。

 これまで貴殿の利用料につきましてはコンテンツ事業者および債権回収業者が再三のご連絡を試みて来ましたが未だご入金がなくまた誠意ある回答も頂いておりません。

 以上のような理由から信用調査会社を経由して弊社に貴殿の個人情報を利用料金支払遅延者リスト(ブラックリスト)掲載要請が弊社に届きました。貴殿の情報に関しましては既にメールアドレス(フリーメール含む)およびIPから、プロバイダ・ISP業者から情報開示を受け、貴殿の住所、氏名、勤務先等の情報は判明しております。

 利用料金支払遅延者リスト
(ブラックリスト)に掲載されますと、各種融資・クレジット契約・携帯電話の購入および機種交換他、貴殿の日常生活における信用情報に今後大きな支障が発生する可能性があります。

 付きましてはコンテンツ事業者および債権回収業者ならびに顧問法律事務所とも協議の結果、次ぎの通り最終和解案を決定いたしましたので通知いたします。
 

 合計支払金額:60000円(和解金: 50000事務手数料: 10000円)
●送付方法:電信為替(電信為替居宅払もしくは電信為替証書払)
●送付先:株式会社データー管理センター
         
556-0016 大阪市浪速区元町2-8-4-404
●担当:井上正孝
   
 まだまだ脅しの文句が続いていました。6万円という値段は、払えない額でもないので、いい設定ですね。脛に傷を持つ人は、思わず、払い込んでしまいそうです。私?エッチな有料サイトなど頼んだ覚えはありませんから、笑いながらメールを読みました。それにしても、この住所は架空でしょうかね。ご存知の方は教えてください。(2003年12月14日 記)

反論・同感どちらも歓迎。声を聞かせてください。→
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