ギリシャ・エーゲ海の船旅 6
パルテノン神殿

 ギリシア本土はアテネ、それも24時間強の滞在にすぎず、せいぜい語れるのはアテネだけです。首都の中でひときわ目立つ偉容を誇っているのが、アクロポリスの丘に建つ神殿の数々。

 なかでも有名なパルテノン神殿は、アテネの絶頂期BC5世紀の建築ですが、その後キリスト教会やイスラムのモスクに改造されたり、トルコ軍の弾薬庫に使われたり・・とさんざんな目に。19世紀に修復されますが、破風の彫刻類はイギリスに略奪されたまま。大英博物館のガイドブックは、見逃してはならない展示品として、「エルギンマーブルズ」を真っ先にあげています。これこそが、パルテノン神殿を飾っていた女神像!
 
 この神殿の美しさは、「社会」の教科書にはむろんのこと、黄金分割が各所に見られるとして「数学」にも載っています。屋根もなく46本の柱だけが残り、おまけに修理中。「言われてみれば美しいなあ」が正直なところです。さらに長年の期待を裏切ったのが柱。「法隆寺の柱はギリシアのパルテノン神殿の影響を受け、中央部に膨らみがあるエンタシス技法」と学校で習った時は、法隆寺とパルテノンをつなぐシルクロードの国々を思い描き、胸が高鳴ったものです。「この目でやっと本物のエンタシスを目にすることができる」と訪ねる前からわくわく。ところがこの目で見た柱は、上が細く下が太いものでした。どう見ても、真ん中が膨らんではいません。簡単に海外に行けなかった頃の教科書執筆者は、実際には見ていなかったのかもしれませんね。

 ツアーで訪れた時のアクロポリスは満員だったので、午後の自由時間に再訪しました。ダメもとで午前入場時の半券を出してみたら、再入場可能で数倍も得をした気分。人影まばらな丘を歩き回ったおかげで、アクロポリスの丘が自分のものになりました。午前と午後では太陽の位置が違うので、神殿の逆光撮影にもグッドでしたよ。

 この丘には、数々の神殿以外に保存状態の良い音楽堂や劇場が残っています。いにしえと違い、入場料さえ払えば異国のオバサンでも大理石製の貴賓席に座ることが出来ます。そこでしばし物思いにふけっていた時に、以前はよく聞いた言葉が浮かんできました。「西洋を理解するには、ギリシアの悲喜劇・哲学・神話そしてキリスト教を知らないとダメだよ」。若い時に、ソクラテス・プラトン・アリストテレスの著作をさわりだけ読んでみましたが、わけがわからず。神話もいまいちピントこないし、ギリシア悲劇の作品を読むでもなく、今にいたりました。

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