南部アフリカの旅5(最終回) 
 

2015年3月29日(日)-8日目

昨日からホテルには「ミス・ジンバブエ」の候補者50人と関係者が泊まっている。数日かけていろいろな審査をしてグランプリを決めるらしい。さすがにスタイルがよくて美人揃い。カメラを向けると、カメラに慣れているポーズをとってくれる。私達が滝見物に出かける時間に朝食中。美人が50人座っていると壮観だ。

ミスコンテスト ミスコンテスト ミスコンテスト


今日はほぼ一日かけてビクトリアの滝を見物することになっている。世界の三大瀑布は、ナイアガラ、イグアス、ビクトリアだ。ナイアガラはカナダとアメリカ、イグアスはアルゼンチンとブラジルの国境にあるが、ビクトリアもジンバブエとザンビアの国境にある。

旅行会社から「暴風雨の中を歩くので、合羽やレインコートは必需品。靴は濡れるのでサンダルを」と事前に言われていたので、ツアーの仲間も準備万端の服装をしている。

ビクトリアの滝の幅は1700m、もっとも深い滝壺は落差108mある。水量が多くなるのは4月がピークだというが、この日は3月末。充分すぎるほどの水量があった。最初にザンビア側の滝を見るので、ザンビアに入国しなければならない。ちょっと移動するだけなのに、パスポート検査もあり大袈裟。ザンビアに入ったので、バスもガイドも変わる。私達には、ジンバブエ人もきのうのボツワナ人も今日のザンビア人も同じように見える。聞きそびれたが、言葉も違うのだろうか。

滝 滝


ビクトリアの滝1700mのうち1200mがザンビア側にある。歩き出した頃は平穏だった。カメラの心配もせずに滝の写真を撮っていたが、その後はずぶ濡れになりながら歩いた。私は暴風雨の中を歩いたことなどないが、こんな感じなのだろう。滝のしぶきが暴風雨の態になるのは、日本の優しい滝しか知らない人には想像出来ないかもしれない。地響きを上げながら滝壺に落ちていくさまは一見の価値はある。

滝の水がかからない場所に、アフリカ大陸の探検家・リビングストンの銅像があった。

リビングストン次はジンバブエ側から滝を見るので、ザンビアを出国してジンバブエ入国手続きをした。ジンバブエ入国は、南アフリカからとボツワナからとザンビアからの3度目になる。ユニビザという何度でも使えるビザをとっているとはいえ、時間のロスが痛い。

やはりずぶ濡れになりながら見物。カメラスポットのたびにガイドは止まってくれるが、だんだんどうでもよくなってくる。私は濡れるともったいないので眼デジは持たずコンデジ撮影なので、良い写真など撮れるはずはない。晴れていれば必ず虹が出るというが、今日は絶好の日和ではなかったのか、滝にかかる虹の写真は撮れなかった。

ザンビアにもあったリビングストンの銅像(左)が、ジンバブエにもあった。リビングストン(1813〜1873)はスコットランド生まれの宣教師であり探検家。ザンベジ川を通って中央アフリカに抜けるルートを探している時に、この滝を発見した。実際に乗っていた丸木舟もそばに置いてあった。

もともと滝はあったのだから、原住民は知っていた。発見ではなく、世界にその名を知らしめた功績者ということだ。発見した1855年は、イギリスのビクトリア女王時代だったので、ビクトリアの滝と名付けた。

昼食が終わったころに、突然すごい雨になった。昼食場所からバスまでの1分ほどの距離でさえ、傘なしではずぶ濡れになってしまう。よりによってヘリコプターに乗ることになっている。こんな雨では飛ばないに決まってるから、小止みになってから移動すればいいが、「約束の時間に到着していれば、いざ飛ぶときに優先してもらえる」の添乗員さんの言葉で、ヘリ乗り場で雨が止むのを待つことにした。

ヘリコプター ヘリの運転席 ホテル

初めて乗ったヘリコプター
 
 
ヘリコプターの運転席
 
泊まっているホテル


私達夫婦はヘリコプターに乗ったことがない。墜落事故がよくあるし、オプションとなると費用が馬鹿高いからだ。でもこの搭乗は旅行代金に含まれている。それを拒否するのは勿体ないので、乗ることにした。雨は1時間ほどで止んだ。

雨のおかげで視界はよくなったらしい。機体が小さいので揺れるのかと思いきや、まったく揺れなかった。さすが上空から見ると滝の全容がよく分かる。全長1700m、最大落差108mの滝がよく見えた。泊まっているホテルも眼下にある。わずか15分ほどだったが、空中散歩初体験はなかなか良かった。

ヘリコプターからの滝


バオバブの木ヘリポートとホテルは歩けるほど近いが、バオバブの木(左)を見るために寄り道をしてくれた。マダガスカルの旅行記には必ずバオバブの並木写真が載っているが、ここのは1本だけすくっと立っている。「星の王子さま」にも出てくる木で、樹齢が2000年や3000年はざらだという。私は初めて見た。

スーパーマーケットにも寄った。ジンバブエは最貧国だと聞いていたが、スーパーに買い物をしている人々を見ると、とてもそんな風には見えない。ビクトリアの滝や国立公園があるので、観光業に携わっている人はそれなりの生活ができるのだと思う。アメリカの南部で見た浮浪者のようなジンバブエ人は、一人もいなかった。

夕食は、サンビア川を見下ろすレストラン。暗闇に象が動く様子が見え、雰囲気は抜群だ。屋根しかない戸外なのに虫がいない。虫よけスプレーを持ってきたが、必要なかった。

                   <ビクトリア・フォールズのエレファント・ヒルズ・リゾート泊>

3月30日(月)-9日目

ウオーターバック3泊したホテルには、プール、テニスコート、ゴルフコースがある。出発が9時と少し遅めなので、ゴルフ場に行ってみた。柵がないので動物たちはわがもの顔で入りこんでいる。イノシシ10頭とウオーターバックという鹿の家族に出会った。今回の旅はサファリ目的ではないので、思い描いていたような動物写真は撮れなかったが、ゾウの親子、ウオーターバックの親子(左)、インパラの親子など、微笑ましいショットが数枚撮れた。

9時にホテルを出て、近くにあるチャマボンド小学校を訪問した。「余っている文具やボールペンがあったら持ってきて」と旅行会社から言われていた。家の引き出しを見たら、景品や施設見学などでもらった新品のボールペンが50本以上あった。おかげですっきりした。このすっきりさを味わいたくて小物整理をすることにした。何十年も前から捨てられずに大事に取ってあったハンカチや小袋も新品同様だが、今の日本では子供や被災者にすらあげられない。「ジンバブエは貧しいので文房具以外でも日本のものならなんでも喜びます」と聞いていたので意を強くして持参した。

はたして喜んだかどうかは分からない。子どもたちに直接の手渡しは禁じられているので、反応が見られないのが残念だ。校長先生に届けて、そのあと、なんらかの方法で子どもに渡るのだという。でも私が小さいころは、アメリカの物なら紙1枚でももらえば嬉しかったのを覚えている。子どもたちは喜んでくれたに違いない。

登校 青空教室
 
二部の子どもたちの登校
早くから来ている

 
木の下で授業
気が散る生徒はいない
算数の授業 授業
 
算数の授業も英語
 
元気よく手をあげている

授業 歌

 真剣に聞き入っている

 
歓迎の歌を歌ってくれた


チャマボンド小学校の生徒は1600人、人数が多いので2部制にしている。1部は7時半から2部は11時半から始まるのだという。学校に着いたのは9時半頃だが、その時刻に登校してくる子どももいた。校庭で遊び回っている子どももいた。授業の始まる2時間も前から登校してくる子どもがいることに驚いた。学校が楽しみなのだろう。女の子は緑色の男の子はカーキ色の制服を着ている。ソックスも革靴もはいていて可愛らしい。とても貧しい家庭の子どもたちには見えない。少なくとも終戦直後の日本の子どもたちよりはるかに良い服装をしている。

副校長の案内で教室を回る。前もって連絡してあったと思われる2つの教室に入った。全員が起立して歌で歓迎してくれた。こんなにも真剣なそしてフレンドリーな眼差しを最近出会っていない。今でも脳裏に浮かび、幸せな気持ちになる。別れ際にはハイタッチしたがるので、私も何十人とハイタッチした。終戦後、日本の学校にアメリカ人の観光客が来たら私は、目を輝かせて喜んだにちがいない。しかもお客さんはボールペンなど運んでくれるのだ。

校庭で遊んでいた女の子数人が私の名前を聞くので、ボールペンで紙に書いてあげた。そのボールペンを欲しいと言うが、1人にあげたらとんでもないことになる。「校長先生に渡してあるから後でもらってね」と言ったが、会話を交わした子どもたちにプレゼントしたらどんなにか良かったのに。それこそ顔が見えるお付き合いになる。それから10分も経ったろうか。校門を出る時に彼女らが来たので「私の名前を覚えてる?」と聞いたら、一斉に「Haruko Shirakawa」と返ってきた。大声だったので恥ずかしかったが、彼女らの好奇心と記憶力に感激した。「大きくなったら日本に来てね」とさよならした。

副校長先生の話では大学の進学率は90%。学力水準は高いらしい。いじめや不登校とは無縁だという。大学に90%も進学して仕事はあるのだろうか。ジンバブエには観光以外の産業はないという。これからの発展に期待するということなのだろうか。いろいろな疑問を胸におさめ、空港に向かった。

機内からの虹ビクトリア・フォールズ空港を飛び立った時に、窓の外に虹が見えた(左)。滝周辺を歩いている時は見えなかったが、こんな形で虹に出会えた。

 ビクトリア・フォールズ(13時15分発)→ヨハネスブルグ(14時55分着)

ヨハネスブルグ(17時30分発)→香港(翌日の12時25分着)


      (2016年9月16日 記)


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