ネパールの旅 3
 

1月26日(金)-3日目

旅のハイライトであるエベレスト遊覧飛行の日。朝の6時45分のフライトに乗るべく、6時にはホテルを出た。空港に着いても暗い。おまけに辺りは霧で覆われている。「こんな状態では飛びっこない」とツアーの仲間とブツブツ言っていたが、チケットが発行され搭乗口で待つことになった。案の定、「天候不良で空港はクローズ。次の情報は9時」という掲示があった。9時になったら飛ぶという保証はない。

 
空港は暗く霧に覆われていた


ようやく搭乗できるようになったブッダエアの飛行機
 

なんせ天気次第なのだ。朝食はフライト後ということになっていたので、お腹もすいてくる。「これじゃあ、今日予定していた観光は出来なくなる」など不満をもらす人が多くなったが、添乗員とガイドは外で待っていて連絡がつかない。
添乗員のケータイ番号を聞いていた私が、連絡をとってみた。すぐ近くにいるのに、双方とも日本のケータイなので日本国の番号81に回された。添乗員の「航空会社は中止とは言ってないんです。もう少しお待ちください。今ホテルにブレクファストボックスを用意してもらっています」の電話を私がみなさんに伝えた。こういう時に怒りだす男性がたまにいるが、秘境めぐりに慣れているのか、みなさん、おとなしく頷く。

結局10時15分に飛ぶことになった。4時間も待っていたことになる。ヘリコプターごとき小型機かと思ったが、70人乗り程度の中型機。安定感もありそうだ。航空会社はブッダ・エア。

 
コクピットは狭いので1人しか入れない
 
コクピットからの景色


飛び立つと決まっても、見上げる空はクリアではない。しかし高度6000mの空は晴れあがっていた。いよいよヒマラヤ山脈を空から眺める時がきた。座席は横4列があるが、客は窓側しか乗せないし、途中で向きが変わるので左側に乗っても右側に乗っても見えるようになっている。

キャビンアテンダントが、順番にコクピットに案内してくれた。1人しか入れないのですぐに交代せねばならないが、全面に広がる白い山並みを眺める贅沢は、これが最後だと思う。遊覧飛行のチャンスは3回設定されているが、3回とも飛ばなかった場合は18,000円を返却すると書いてあった。どこも2万円前後が相場らしい。ネパールにしては高いだけに、サービスは満点だ。

パンフレットには、遊覧飛行で見える山の絵と名前が書いてある。私が知っているのは最高峰のエベレスト(8844m)だけだが、今日見た8000m以上の山はカンチェンジュンカ(8586m)、ローツ(8516m)、マカルー(8462m)、チョ・オユー(8201m)、シシャパンマ(8013m)。(ネパールの旅1の地図参照)


キャビンアテンダントが山の名前を教えてくれるが、初めて聞く山だから覚えられない。エベレストは、頂上が尖っているのですぐ見つけることができるが、他の山は分からなかった。山の区別はつかなくても、世界一の山脈をこの目でしっかりと見る事ができたのは望外の幸せだった。世界の8000m峰は14しかない。そのうち今日は、5峰を見た。

 
三角形の山がエベレスト 右隣の山がローツ
 
同じく三角形がエベレスト 右隣がローツ


近くで見たエベレストは、意外にも雪が少ない。「雪は風で吹き飛ばされる」と、ランさんは言っていた。
思えば、1953年、ヒラリーとテンジンによるエベレスト初登頂のニュースを聞いた時は単純に嬉しかった。でも自分には無関係の世界だと思っていたが、こうして上から眺める日が来ようとは。さきほどまでの待ち時間のイライラを忘れさせてくれるフライトだった。

エベレストはインド測量局の長官だったイギリス人のジョージ・エベレストにちなんで命名された。ネパールではサガルマタと言う。チベットではチョモランマ、中国では聖母峰という。初登頂がイギリスの探検隊によるものとはいえ、イギリス人の名前をそのままつけるなどあつかましいとは思うが、当時は大英帝国の威光が残っていたのかもしれない。

ちなみに、日本人初登頂は1970年の松浦輝夫・植村直己。世界初の女性登頂は1975年の田部井淳子、女性の最高齢登頂者は2012年の渡辺玉枝(73歳)、最高齢登頂者は三浦雄一郎(80歳)。初登頂1970年以来、現在まで220人以上の日本人が登頂している。女性初や最高齢など日本人もたいしたものである。

遊覧飛行が終わるや、あわただしく国内線に乗った。カトマンズからチトワン公園の拠点、パラトプールという空港まで25分。バスに1時間乗り、夕方5時頃チトワン国立公園内のホテルに着いた。ロッジ形式のリゾートホテル。カトマンズより南にあり標高も低いので暖かいかと期待したが、やはりここも夕方は冷えた。     
    <タイガーランドサファリリゾート泊>  
    (2018年4月16日 記)




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