行きあたりばったり銅像めぐり
  89回

  サザエさん一家

 「またまた波平さんの髪の毛が抜かれた」というミニニュースを聞き、2012年9月に出会ったサザエさん一家の銅像を取り上げることにした。

 サザエ 私が物心がついた時には、朝日新聞の朝刊に漫画「サザエさん」(左)が載っていた。もともとは、作者の長谷川町子さんの故郷・福岡の地方紙で、1946年から連載が始まった。

 一家が東京に出てきたことで、1951年から朝日新聞で連載開始。休載することはあっても、1974年ぐらいまで続いた。この20余年間は、私がもっとも生き生きとしていた時期と重なる。いつも朝刊を開くのが楽しみだった。

 若い人には、アニメ「サザエさん」の方が馴染みがあるかもしれない。なんせ視聴率上位番組の常連だ。でも一昨日発売されたばかりの「よりぬきサザエさん」は、若い人からの予約もたくさん入っているそうだ。アニメも漫画も大人気。


 一家の銅像が、東急田園都市線「桜新町」(東京世田谷区)の駅前に設置されたのは、2012年3月25日。まだ1年も経ってない。桜新町は、長谷川町子さんが上京してから亡くなるまで住み続けた町なので、ここほど相応しい場所はないと思う。

 サザエさん通りに、フグ田一家と磯野一家がそれぞれ別に立っていた。背後の道路は車が頻繁に行き交う。路駐もある。バックに車がない写真を撮るのは,、それなりに苦労した。

フグ田一家 磯野一家
 
フグ田一家(サザエ・タラオ・マスオ)

 
磯野一家(波平・カツオ・ワカメ・フネ)



 髪の毛が抜かれたことで、サザエさんより注目を浴びているのが波平(下)だ。銅像設置の音頭をとった地元の商店街は「地域の宝」の破損対策には、ことのほか気を使ったという。波平の一本毛には、弾力性の強い硬いワイヤを使っている。この硬さだとベンチでも切れないし、簡単に抜けないようにしてあった。

 にもかかわらず最初の一本毛も、次の予備の毛も抜かれてしまった。いっときは絆創膏をしていた。もちろん犯人は捕まっていない。

 6月には、防犯カメラを設置したそうだ。私が行ったときには、カメラがついていたことになる。たかが銅像を見るのに見張られていると思うと、いい気分ではないが、今はあちこちにカメラが設置されているらしい。

 ワイヤがついているのは、波平ばかりではない。銅像の後にまわってみると、ワカメちゃんにもタラちゃんにも3本のワイヤがついていた。これらが抜かれた話は聞かない。2人ともインパクトに欠けるんだろうか。


波平の毛 ワカメの毛 タラオの毛
 
サザエの父親・波平の毛

 
サザエの妹・ワカメの髪の毛


サザエの息子・タラオの髪の毛

 
 
 
 町子さん(1920~92年)がまだ生存中の1985年に、長谷川町子美術館が開館した。開館してから数年後に美術館に行ったことがある。漫画の原画以外に、彼女が収集した美術品も展示してあった。銅像を撮りに行ったときにも寄ってみたが、うかつにも月曜で休館日だった。

 駅前から美術館までの道筋は「サザエさん通り」と呼ばれている。美術館ができてから、それまでの「中通り」を改名した。桜新町の西口で降りてサザエさん通りを5分ぐらい進むと、桜新町交番に突き当たる。そこにはサザエさんが立っていて「あと60メートル」と案内してくれた。桜新町は、おまわりさんまでが、サザエさんに頼っている。グッズを売るショップもあり楽しい通りだ。

交番の道案内 美術館の壁
 
サザエさん通りの突き当りにある交番
サザエさんの案内


長谷川町子美術館の壁
怒っている波平を冷やかしている2人

 
                                                (2012年12月9日 記)

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