南イタリアの旅 8 (最終回) 2006年10月9日(月)-6日目 シチリアのパレルモの続きを書いている。シチリアには、ギリシャ人、ローマ人、アラブ人以外に、先史時代の地中海先住民族、フェニキア人、中世にはバルト海からやってきたノルマン人もいた。スペインに支配されていた時代もある。だから、今でも背が高いノルマン系の人もいれば、肌が少し黒くて背が低いラテン系もいる。
最初に見たマルトラーナ教会は、ノルマン時代の教会。ガラスのモザイクがきらびやかだった。次に、旧市街の中心にあるクアトロ・カンティへ。クアトロ・カンティは4つ角のこと。シチリアがスペイン領だった16世紀末に、バロック都市計画の一環として作られた交差点。4つ角それぞれの壁面に掘られた春夏秋冬を表す女性・スペインの総督・守護聖人の彫刻が見事だ。 次にパレルモの代表的な建築の大聖堂を見学した。1184年にノルマン様式により建立されたが、カタルーニャ、ゴシック、ビザンチン、イスラムなどさまざまな様式で増改築されている。パレルモの聖人・ロザリアが祭られている。この大聖堂に、東西文化の凝縮を感じる。 ノルマン宮殿の2階にあるパラティーナ礼拝堂はパレルモのハイライトだ。ノルマン人がアラブ人の技術者を呼んで建てたので、壁面にはアラブ風のアラベスク模様がある。もちろんビザンチン様式のモザイクは必見。有名な「全能のキリスト」のモザイク画は、修理中でカーテンが下りていた。大きな写真のパネルが代わりにかけてあったのだが、こうなると、本物が見たくなる。 パレルモの南西8キロにモンレアーレという町がある。バスを降りて階段を140段上ると、グリエルモ2世が1174年に作ったドウオーモが建っていた。内部は旧約・新約聖書のモザイク画があふれていて、圧倒される。ここにもビザンチン様式の金箔のモザイク「全能のキリスト像」があった。本物をみそこなったパラティーナ礼拝堂のキリスト像とよく似ている。信者でない私でも、この神々しいイエス像には、理屈抜きで惹かれる。 140段の階段の両側には、たくさんの土産物屋があり楽しい。見るだけで何も買わなかったが、しぼりたてのオレンジジュースで喉を潤した。 ホテルにチェックイン後、スーパーマーケットに行った。シチリアの名物だという塩1`入りの箱を2こ買った。もっと買いたかったが、スーツケースの制限重量20キロをオーバーしてしまう。「SALE MARINO」(海の塩)と印刷されていた。 帰国直後に、テレビ番組「世界発見」でシチリアを放映していた。それによると、シチリアの塩には3000年の歴史がある。ラテン語のSAL・塩は、SALARY(給料)やSAUCE(ソース)、SALAD(サラダ)、SALAMI(サラミ)の語源になったという。 10月10日(火)・11日(水)−7日・8日目 ホテルの部屋から野菜と果物の市場が見えたので、出発前の自由時間に行ってみた。シチリアといえば魚を連想するが、ここでは扱っていないようだ。 台車がせわしげに行き交い、私たちのような観光客がウロウロするべき所ではないと思うが、カメラ片手に歩いていても怒鳴るでもなし、みな愛想がいい。陽気なイタリア人を地でいくような人達が大勢いて、カメラを向けても嫌な顔をせず、ポーズまでとってくれた。山積みのカリフラワー・インゲン・トマトを台車で運んでいるのは、黒人ばかり。黒人は、単純作業にしかつけないのかもしれない。
今回の旅は8日間ということになっているが、中は5日。それも1日は移動日だから、観光したのは4日にすぎない。イタリア人とふれあう機会もなかったが、ここの市場で初めて陽気なイタリア人に接することができた。 8時45分ホテル発 パレルモ発(10日12時)→アリタリア航空でミラノ着(13時45分) ミラノ発(15時20分)→アリタリア航空で成田着(11日10時10分) |