スイスの旅7(最終回)
 モンブランが見える展望台

2009年7月20日(月)-12日目

朝焼けのモンブランきのうの予想通り、絶好の天気。私たちの部屋は角地で二方にベランダがある。しかもモンブランの峰がよく見える。部屋を見回りにきた添乗員さんに「あら!ここはいちばん良いわ。みんなに自慢しないでね。文句が出るから」と言われた。「ツエルマットのホテルは、マッターホルンが見えない部屋だったのよ。おあいこだわ」とつぶやいた。

そのベランダから朝焼けのモンブラン(左)が見えた。マッターホルンの朝焼けを見逃しただけに感激もひとしお。

ホテルから町の中心部を通り抜けると、ロープウェイ乗り場に着く。1本目のロープウェイはシャモニー(1036b)からプランドレギュ(2317b)まで8分。

 
2本目はプラントレギューからエギュー・デユ・ミディ展望台(3842b)まで10分。シャモニーの町からわずか20分くらいで、3800bの高所まで連れて行ってくれる。

 今回の旅ではたくさんの展望台に登ったが、ここエギュー・デユ・ミデ展望台が一番高い。富士山より高いが、高山病らしき症状はまったく出ない。空気が薄いとも感じないし、気分が悪くなることもなかった。高度に慣れてきたからだろうか。でも寒い!もっと低いユングフラウヨッホで−6.8度だったので、−8度ぐらいかもしれない。用意してきたフリースやゴアッテックスのヤッケを着込んだ。

氷河 モンブラン 登山者
ロープウェイから見た氷河。 手に取るような場所に、モンブランが見えた。 ガイドの指導でたくさんの登山者がいた。

ここからはヨーロッパ最高峰のモンブラン(4810b)が、手を伸ばせば届くような距離に見える。空の群青色と山の白の対比がえもいわれぬほどきれいだ。麓から見たときもそう思ったが、この山の形からケーキのモンブランを思いついたというが、あのケーキとは似ても似つかない。真下の氷河を歩いている登山者がいた。ロープでつないでいるのか、数人が一塊になって歩いていた。

次は、イタリア側にあるエルブロンネ展望台(3462b)まで空中散歩。3連が1組になっているゴンドラに乗った。乗っているとわからないが、対面の赤いゴンドラは、白い氷河の上でよく目立つ。しかも可愛らしい。一緒に乗っていたYさんが「もしロープが切れたり、輪からはずれたら大事故ですよ」と驚かす。たしかに太いロープで支えられているだけだ。下は深い谷底。しかもときどきこのゴンドラは停まるのだ。一瞬「事故かしら」と思ったが、「ゆっくり氷河を見下ろしてください」のサービスだという。

 ロッククライミングをしている人もたくさんいた。エレベーターの中で、ロッククライミングをしてきたばかりの若者に会った。あちこちに、金具がついていた。達成の直後だけに、高揚した話しぶりだった。

スイスの旅では、特急列車・カートレイン・登山鉄道・ケーブルカー・ゴンドラ・ロープウェイ・地下ケーブルなどいろいろな乗り物に乗ったが、特に不都合もなくスムーズにいった。スイスが観光に力を入れていることがよく分かる。

エルブロンネ展望台では、3大北壁グランドジョラスの鋭い壁、鋭くとがった針のようなドリュ、何万年前の氷河など、今まで見たことがないような大パノラマを楽しめた。「これは冥土の土産になりますなあ」「しっかりと目に焼き付けなくっちゃ」「終わりよければすべて良しですね」など、仲間のみなさんも一様に感嘆の言葉を発していた。

 予想もしていなかったのだが、この展望台から遠くにマッターホルンが見えた。まぎれもないあの三角形の山だ。もちろん今日のように、上天気だからこそ遠方でも雲に隠れなかった。イタリアの展望台なので、マッターホルンではなく、別の名前がついていた。

ゴンドラ 針のような山 イタリア側から見たマッターホルン
3台が一連になっているゴンドラ。赤い車体がよく映える。 鋭く尖った針のような山。 マッターホルンがここから見えるのは天気に恵まれている時だけだ。

充分堪能したあとに、逆のルートをとってプランドレギュー(2317b)まで下りてきた。ここで、あらかじめ渡されていたおにぎり弁当を食べた。おにぎり3個と鶏の唐揚げ、たくわんなどが入っていた。日本の米を使っているのだろう。日本で食べるのと遜色ない味だった。添乗員さんの話では200フラン(日本円で1800円ぐらい)もするという。

ここプランドレギューからモンタンヴェール(1909b)まで、希望者だけのハイキング。希望者とはいえ、参加しないのは3人だけだった。このコースは、後で思うとよく落伍者がいなかったと思うような山道。ハイキングと言うから平坦なコースをイメージしていたが、とんでもない。標高差は400bだが、アップダウンを繰り返すうえに、歩きにくい岩場もたくさんある。きちんとした靴を履いていなかった人は相当疲れたらしい。彼女に歩行を合わせたので、通常なら2時間半のコースを1時間もオーバーした。おかげで私には楽なペースだった。アルペンローズの赤に目を奪われ、針のような山群やメールドグラス氷河の写真をゆっくり撮る余裕があった。

プランドレギュー展望台 アルペンローザ ハイキングコース
プランドレギューで日本食の弁当を食べた。 ハイキング道にたくさん咲いていたアルペンローズ。 モンタンヴェールの街並みが見えた頃、登山靴の裏が剥がれた。


 ところが、モンタンヴェールの町並みが見えはじめたころ、残り30分ぐらいの所で左の靴裏がガバッと剥がれてしまった。最近の登山靴は値段が高い割によく剥がれるという話はよく聞いていた。だから日本での登山の時は、いざというときに縛る手ぬぐいなどを用意していたが、今回はハイキングということで油断してしまった。防寒用の衣類だけはたくさん用意したのに、夫も私も紐らしきものを持参していなかった。となりにいたMさんが、日よけ用の長い手袋をくれたので2箇所を縛ってまずは一安心。ところが歩き出して10分もすると、右側の靴まで剥がれてしまった。これまたMさんにもらったタオルで縛ったが、1箇所だけなので歩きにくかった。幸いなことに、こういう状態で歩いたのは20分ぐらい。なんとかモンタンヴェールの登山鉄道の駅にたどり着いた。宿泊地のシャモニーまで20分の乗車。

シャモニーに下りてきても、相変わらずモンブランは姿を見せていた。今日の夕食も自由なので、シャモニーの街を歩きながら、またもやスーパーで夕食を調達。

スーツケースのかなりを靴が占めていたが、明日からは登山靴など必要ない。捨ててしまったので、パッキングが楽になった。帰国後に剥がれた登山靴を話題にすると、「私も」「知人も」といろいろな人が話してくれた。2万円もする登山靴なのにどうしてだろう。5000円ぐらいのスニーカーが剥がれた話は聞かない。 

7月21日(火)・22日(水)-13・14日目

 バスで国境を越えてスイスのジュネーブに向かった。
ジュネーブ(10時発)→エアフランスでパリ(11時10分着) パリ(13時30分発)→エールフランスで成田着(22日8時10分)

 成田に着いたときは雨だった。今日は皆既日食が見られる日。家に着く頃にちょうど欠けるだろうと目論んでいたが、無情にも小雨が降り続いていた。  (2011年6月2日 記)   


感想・要望をどうぞ→
スイスの旅1へ
ホームへ