短歌で綴るアテネとエーゲ海
 その2

 エーゲ海行U



夕暮るるミコノス島に船着きて
     余光のなかゆく白壁のまちを


 最初の寄港地・ミコノス島には、遺跡はありませんが、あこがれのエーゲ海にふさわしい要素をすべて備えています。上陸した夕方6時頃はまだ陽が高く、白壁に影が映っていました。帰船前に感動的な日没。ホメロスの詩のフレーズ「葡萄酒の海 エーゲ海」と同じ・・。


教会の多きこの島花垂るる
教会の裏地にあそぶ幼ら


 どの島にもギリシャ正教の教会がたくさんあります。左の白い教会の脇で、幼子ではありませんが、女の子3人がおしゃべりに夢中。


海綿と貝殻を高く盛りて売る
   ロードス島の朝の港は

 
 海綿と貝殻は、こんな風にうず高く積まれていました。海綿の値段もさまざま。密なものほど値が張ります。

石垣にオリーブは濃き影映す
    のぼり来し丘の上の遺跡に


 ロードス島にはみどころがたくさんあり、丸1日を過ごしました。世界7不思議「太陽神ヘリオスの巨像」があったことで知られています。もちろん巨像は残っていません。

 港から65`南にあるリンドスには、BC8世紀のアクロポリスが残っています。「丘の上の遺跡」とは、ここだと思います。

 階段を上りきると、神殿の柱を背に、エーゲ海が広がっています。聖パウロが上陸した港も見える絶景。



中世騎士団の館並び立つ石だたみ
人影のなく秋日射したり


騎士団の館は黒き扉とざす
古き紋章を壁にきざみて


 ロードス島は、150年間、十字軍「ヨハネ騎士団」の本拠地でした。オスマントルコ軍との死闘を想像しながら散策すると、ぐっと興味が増します。トルコ軍に負けた後は、マルタ島へ撤退。

突堤に屋根赤き風車並び立ち
そのはてに白く立つ監視塔


 いつも波がおだやかだと思えるエーゲ海ですが、冬になると大荒れ。風が強くて、小さな島には接岸できないそうです。クルーズの旅も10月ころで終わりになります。

 こう考えると、風車が丘の上に並び立つ光景も肯けます。

かぎりなきオリーブの畑砂礫原
白くかわけるロードス島ゆく

岬のまちに小さき驢馬に乗り
狭き石みちをのぼりくだりつ


 わかりにくい写真ですが、2頭の驢馬が頭を反対にして立っています。客を運んだあとの一休みでしょうか。動くでもなく、座るでもなく、じっと繋がれていました。

 驢馬に乗って上り下りした人は、怖かったと話していました。ケチな私は、もちろん徒歩。

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