ギリシャ・エーゲ海の船旅 3

 ギリシアとトルコの間に横たわるエーゲ海には、大小3000もの島があるそうですが、上陸したのはトルコのクシャダスとギリシアの5島(ミコノス、パトモス、ロードス、サントリーニ、クレタ)だけです。他にも「ミロのビーナス」で有名なミロ島、「サモトラケのニケ」が発掘されたサモトラケ島など訪ねたい島は限りなくありますが、それはぜいたくと言うものでしょう。5島だけでも十分幸せ。でも真夏の混雑が一段落した頃に、島の小さなホテルに数日ずつ滞在出来たらもっと幸せ。

ミコノス島

 この島に上陸したのは乗船1日目の午後6時頃ですが、日差しはまだ真昼のように強く、まぶしいほど。白い家並、丘の上の風車を船上のデッキから目にすれば、一刻も早く下船したくなるものです。でも800人が一斉に降りるには決まり事が多く、せっかち人間にはまどろっこしいことこの上なし。                                       
 
 ミコノス島には特別な遺跡はなく、典型的なエーゲ海の島風景が売り物です。海に面したタベルナ(気楽な食堂)、青や赤の丸屋根教会、イカやタコを干している漁師、スカーフをかぶった太ったおばさん、黒い衣装で身を固めた土産物屋のおばあさん、黒い帽子のギリシア正教の聖職者・・。もうこれだけで描いていたエーゲ海そのものでした。

 さらに感動したのは日没。教会の白い壁が徐々にピンク色から茜色に変化する神々しさをどうやって表現したらよいかわかりません。ホメロスの詩にも「葡萄酒色の海、エーゲ海」とあるところからみると、この色の変化は2000年以上も変わらないとみえます。神々しい太陽をコンパクトカメラで表現出来るわけがないと思いつつ、ついシャッターを何枚も切ってしまった私。再乗船は9時頃なので、日没後もしばらくは散策することが出来、数時間の滞在とはいえ満足度の高いものでした。

トルコのクシャダス
 
 2日目の早朝に着いた港は、トルコのクシャダス。ギリシアからトルコに入国したのに、パスポート検査も入国審査もなし。EU同士でもないのに何故と思いながらも、審査がないに越したことはないわけで、いそいそと上陸。近代トルコ建国の父、ケマルパシャの銅像が丘の上にそびえ、トルコに来たことを思い知らせてくれました。

 港からバスでエフェソス遺跡へ。エフェソスはギリシアやローマ時代にさかえた町、特にローマ時代は帝国内の主要都市でした。円形劇場や図書館、公衆浴場跡が残っていて当時をしのぶには絶好の遺跡。9年前に訪れた時には、広い遺跡を見物していたのは私たちのグループだけでしたが、今回は他の船から降りた客も多く、いにしえの気分を味うには混雑しすぎていました。

 でも良かったことが一つ。以前トルコ各地を回った時には、ギリシアだ、ローマだと説明を受けても地理的感覚がつかめませんでしたが、今回のようにゆっくりと船で上陸してみると、ギリシア人が海を越えてここに植民地を作ったことや、クレオパトラがこの町を闊歩したことが実感出来ました。ギリシアはもちろんのことエジプトもローマも実に近いのです。興味のある方は、世界地図を開いてみてください。2000年前にエーゲ海で活躍していた人の心に近づくには、船旅こそ最高だ!と感じ入った次第。





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