香港・マカオ・深圳・広州の旅 6(最終回)
 広州の六熔寺と陳氏書院と高速鉄道

2019年3月6日(水)-4日目

今日も忙しいのでマイクロバスは7時40分出発。広州は歴史ある街だから、たくさんの寺が残っているらしいが、訪れたのは広州でもっとも古い六熔寺。南宋時代の537年の創立だが、今あるのは1097年に改築されたもの。

門をくぐると9層の塔がそびえている。1023体の仏像が彫られているので千仏塔という。朝早いので、境内は静まり返っていた。昨夜の雨で地面も樹木もみずみずしい。木綿花という赤い花も雨でたくさん落花している。この寺にも掃き清めている人が2人もいた。いつから、こんな清掃の習慣がついたのか知りたいものだ。

 
六熔寺の千仏塔

 
境内を掃き清めている

 
六熔寺

 
木綿花という赤い花がたくさん落ちていた


次は陳氏書院。福建省の出身で広州72県に住む陳氏の人々が資金を出した祠。祠というとお墓を想像してしまうが、19もの建物からなり、一族の教育の場にも使われた。今は芸術博物館になっている。屋根や壁に施された彫刻は非常に精巧で見事。三国志や水滸伝に題材をとっていると聞いたが、詳しく知っていればもっと興味がわくだろうに。

1890年から4年かけて作ったそうだが、建物全体も個々の彫刻も素晴らしい。日清戦争が起こった頃に、こういう金持ちもいたのだ。きのうの珠江クルーズでも、ここの見学にもパスポートの提示が必要だった。中国人にも身分証明書の提示を求めるのだろうが、観光も監視されているようで、なんとなく気持ち悪い。

 
陳氏書院 今は芸術博物館
 
象牙の彫り物


陳氏書院 彫刻が素晴らしい
 

 
陳氏書院 堂のひとつ

朴さんも「習体制はいい」と言っていた。物価の値上がりなど多少の不安定さはあっても食べるに苦労しないからだろう。広州も「北上広深」の中国における4大発展都市。ビルが林立し、発展振りは車窓からでも分かる。朴さんは「習近平の奥さんは歌手だったんですよ。彼女の歌が大好きだったので、結婚して引退したときは悲しかったですよ」と言いながら、彼女の歌をスマホで聴かせてくれた。

40代と思われる朴さんには、妹も弟もいるが、「一人っ子政策で女性は酷い目にあったんですよ。母は4人産んだあとでしたが、強制的に避妊手術をさせられました。とっても痛かったんですって。でも今は一人っ子政策のひずみが出て、産めよ増やせよなんです」と、話してくれた。おいおいとは思うが、他国の政策に口をはさむ権利は私にはない。

率直で明るい朴さんとは、もっと一緒にいたかったが、お別れ。一昨日、香港から深圳まで付き添ってきた陳さんが、また広州南駅まで迎えに来てくれた。出入国が面倒だからだ。

広州南駅から香港の西九龍駅まで高速鉄道に乗った。10時53分に乗車。香港の西九龍駅に着いた時刻は覚えてないが、90分乗車と日程表には書いてあった。リクライニングにもなるし、ケータイの補充も出来る。


広州南駅から香港西 九龍駅までのチケット 二等車で187元

列車時速 308kmは一瞬だけだった

 

去年の9月に香港・深圳・広州を結ぶ高速鉄道が開通したばかりだ。時速は350kmまでに対応しているというが、車内表示を見るとだいたい250km台。一瞬308kmを出した。この鉄道に乗りたくでツアーに参加したと話す人もいた。やはり2等車の指定席で187元。3000円ぐらい。同じ高速鉄道でも、珠海から広州まで乗ったのとはグレードが違うような気がする。

初期の頃は日本の技術指導があったが、2人のガイド(深せんと広州)とも「今はすべて中国の力でやっています。中国いたる所に高速鉄道が走っているんですよ」と少し得意げに話した。

帰国してからネットで調べたら、高速鉄道は2007年に導入。5つの北南線(北京―上海、北京―広州―深圳―香港、北京―ハルピン、ハルピンー上海、杭州―深圳)と、4つの東西線がすでに開通しているそうだ。広大な中国を走り抜ける高速鉄道は、中国の発展そのものだ。高速鉄道で中本土と結ばれてしまった香港。いつの日か飲み込まれてしまうのではないか。どっちにしても他国のオバチャンが心配しても仕方ない。

広州から香港に入るので、又もやパスポート検査以外にさまざまな書類が必要だ。西九龍駅に到着後、歩いて九龍駅へ。ここで香港航空のチェックイン。香港の空港ではなく、高速鉄道の駅でチェックイン。何が何やらわからないが、陳さんの言うとおりに書類を書いてパスポートを見せて、荷物検査。

九龍駅から香港国際空港駅へエアポートエクスプレスに乗車。25分も乗るので高速鉄道駅と空港はかなり離れていることが分かる。もっとも日本とて新幹線の東京駅と羽田や成田までは25分どころではないのだが、香港は狭い地区という思い込みがあるので、遠く感じたに過ぎない。

 
空港駅までのエアポートエクスプレス

 
香港の空港 とても広い

4日間の短いツアーだったが、出発日も帰国日も観光が出来たので、充実した旅だった。何より、「お寺ばかり」「免税店ばかり」にならないのが良かった。鉄道オタクでなくても、さまざまな乗り物を経験できたことがワクワク感につながったような気がする。中国の発展を肌で感じた旅でもあった。

香港発(15時50分)→香港航空で→成田着(20時55分)           (2019年9月2日 記)

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