アメリカの旅6 2014年5月28日(水)-9日目 今日は620qを移動してメンフィスに行く。途中、9番目の州ミシシッピ州を通った。ニックネームは「マグノリア ステート」。マグノリアは花の名前。州の名前は、ミシシッピ川と同じなので馴染みがある。ナイル川、アマゾン川、長江についで4番目に長い川。奥村さんが詳しく調べた数字では5971mだとか。 次は10番目の州テネシー州に入った。テネシー州のニックネームは、「ボランティア ステート」。ボランティアには志願兵という意味もある。そういえば、アラモの砦の犠牲者には、テネシー州出身者がたくさんいた。ジョン・ウェイン演じるデイビー・クロケットが率いたのもテネシーの志願兵だった。 メンフィスのグレ−スランドに着いたのは午後2時頃。雨が降っていたが、観光に困るほどでもない。グレースランドは、エルビスのことならなんでもという牙城だ。
エルビスが1957年に22歳で購入した邸を公開している。他にもアメリカ各地に邸があったが、亡くなったのはこの家の2階。1977年8月16日、42歳という若さだった。心臓発作、クスリの飲み過ぎなどいろいろな説があるが、真相は謎のままだ。183cmで75sの体型が、晩年には100sを超えていた。好物がコーラ、ピーナツバターサンドイッチ、バナナ、バーベキューポーク、ピカンパイなど、肥りそうなものばかり。どう考えても健康にはよくない. 私がテレビを見始めたのは、エルビスがデビューしてからだいぶ年月が経っていた。すでに肥りはじめていたし、カッコいいとは思わなかった。歌にも惹かれなかった。だからメンフィスはどうでもよかったのだが、お仲間には「ここがいちばんの目的」と目を輝かす人がいた。 エルビスがもっとも愛したという家は、ステンドグラスや鏡で囲まれた部屋が多く、なんだか落ち着かない。「趣味悪いなあ」と思ったが、熱烈なファンを傷つけるつもりは毛頭ないので、黙っていた。エルビスが亡くなった2階に行けるのは、離婚した奥さんと昭和43年に生まれた娘のリサ・マリーだけだという。 博物館にはステージ衣装、ゴールドディスク、トロフィー、写真などが展示してある。今頃気づくのも失礼な話だが、この展示を見て、スゴイ歌手だったのだと改めて思い知らされた。今なお年間50億円の売り上げがあるそうだ。死後37年も経つのに、50億円を稼ぐ人が他にいるだろうか。 全米でいちばん訪問者が多い墓は、アーリントンのケネディの墓。2番目がここエルビスの墓(左)で、年間70万人が訪れる。メンフィスの人口68万人とほぼ同じ数だ。特に命日の8月16日は大混雑。5万人はいるというエルビスそっくりさんも集まるそうだ。 アメリカンドリームとはこういうことを言うのだろう。なんせ13歳まで過ごしていたミシシッピのトウペロでは、POOR WHITE(貧しい白人)。夜逃げ同然でここメンフィスに来た。18歳のときに、母親の誕生日に曲を贈るために、サンスタジオを訪れた。サンスタジオはレコーディングする資金のないミュージシャンのために開設されたスタジオ。 いったんホテルに戻り、オプショナルのブルースナイトディナーに行った。夕食付とはいえ、ひとり130ドルもする。エルビスの歌とも関係ないらしい。行かないつもりだったが、奥村さんが熱心に奨めるので、参加することにした。でも案の定というか、ちっとも心に残らない演奏で、うるさいだけだった。 オプションに参加して唯一よかったのは、帰りにキング牧師が暗殺された地に寄ってくれた事だ。キング牧師が暗殺されたニュースはよく覚えているが、場所は知らなかった。メンフィスを遊説中の1968年4月4日、ロレインモーテル306号室前のバルコニーで暗殺された。39歳だった。犯人は対面のビルから狙ったので、すぐ捕まった。 メンフィスから170qにあるミシシッピ州のトウペロに寄った。プレスリーが生まれた町なので、小さな田舎町にもかかわらず、観光客が訪れる。 家の周囲が公園として整備され、13歳のエルビスの銅像(左)があった。誕生祝に母が買ってくれたギターを持ったおどおどした感じの少年像だ。夜逃げするほど貧しくても、息子の才能を見抜いたのか、母はギターをプレゼントしている。 借金が払えなくて家を手放し無一文で向かったメンフィスで、思ってもみなかった幸運が待っていた。最盛期には、1日に1億円の収入があったとか。なんて親孝行の息子! おなじみになった道中の映画は「グレンミラー物語」。ジューンアリソンとジェームススチュアート主演のこの映画は、何度も何度も見たが、また見入ってしまった。 昼食は11番目のアラバマ州のバーミンガムでとった。アラバマのニックネームは「イエローハマー ステート」。イエローハマーは鳥。アジアンビュッフェなので、寿司やベトナム、タイ料理などもあった。寿司は日本のと比べてはいけない。まったく別物の料理と思えば美味しい。残念ながらアラバマ州は昼食だけだったので、州の特徴は思い出せない。 (2015年9月3日 記) |