行きあたりばったり銅像めぐり
  64回

   聖ペテロ 1

聖ペテロ顔 銅像めぐりで、聖人を取り上げるのは初めてだ。キリスト教信者でない私には少し荷が重いが、1年ぶりでペンをとる、いやキーを打つことにした。

 聖ペテロ(左)は、イエスキリストの12人の弟子の中で、もっともイエスに信頼されていた。事実、イエスの磔刑・復活後に、パウロと共にキリスト教を各地に布教して歩いた。パウロとペテロがいなかったら、キリスト教が世界中に広まることはなかっただろうと言われる。

 彼の名前がついた教会は、世界中にたくさんある。カトリックの大本山バチカンにあるサンピエトロ寺院は、聖ペテロ寺院のことだ。「ピエトロがペテロとは知らなかったわ〜」と言った人がいるが、無理ないような気もする。ピエトロはイタリア語。

 ちなみに、英語のピーター、ドイツ語のペーター、フランス語のピエール、ロシア語のピョートル、ギリシャ語のペトロス、ラテン語のペトルスはみな同じ。聖ピーターなどというと、軽々しく聞こえるから不思議なものだ。

 2007年10月29日から11月9日まで12日間、イスラエルに行ってきた。エジプトのシナイ山にも足を延ばしたが、四国ほどの面積のイスラエルをこの期間で回ったので、かなりゆっくり過ごすことができた。

ガリラヤ湖の日の出 聖ペテロの像には、2ヵ所で出会った。1ヵ所は、イスラエル北部のガリラヤ湖畔のカペナウムという所。ユダヤ人の集落跡がある施設の入口に立っていた。

 ガリラヤ湖は東西12`、南北21`の淡水湖。イスラエルのもうひとつの湖は塩分が多い死海だから、ガリラヤ湖の水は、生命の水にもなっている。ガリラヤ湖畔のホテルに2泊したが、2朝とも朝日を拝むことができた(左)。普段は早起きしないが、旅となると張り切るのはいつものことだ。

 イエスがこの近くのナザレで育ち、ガリラヤ湖周辺で布教していたことは、ご存知の方が多いと思う。湖周辺には、イエスの奇蹟にまつわる場所がたくさんある。詳しくはイスラエルの旅で記すつもり。

 ナザレで、父親ヨセフの大工仕事を手伝っていたイエスが、宣教を開始したのは30歳の頃。エルサレムに行って磔の刑にあうのは、36歳ぐらい。(誕生の年も磔された年も諸説ある)。生涯のほとんどを、ガリラヤ湖周辺で過ごしていたことになる。

聖ペテロの魚 「マルコによる福音書」によれば、イエスは、ガリラヤ湖で漁師をしていたシモンとアンデレ、ヤコブとヨハネという2組の兄弟を、まず弟子にした。

 ガリラヤ湖畔をツアーで旅する場合は、必ず「ペテロの魚」(左)が供される。漁師時代に、ペテロが釣っていたからだという。白身の魚であっさりしていて唐揚げが美味しい。聖人の名を魚につけて、しかも旅行者に食べさせる商魂は、さすがユダヤの国だ。
 

聖ペテロ全身 イエスは、シモンとアンデレ、ヤコブとヨハネという2組の兄弟4人を含む12人の弟子を身辺においた。そして、寝食を共にして「神の国」を理解させようとしていた。

 イエスの弟子には、のちにイエスを銀貨30枚で売り渡してしまった裏切り者のユダがいる。

 他の弟子達も、特別な教養も知識も地位も財産もない人ばかりだ。イエスについても、名もない貧しい大工の家に生まれて・・という記述がある。

 「よりによってなぜこういう人をと思わないでもない人達を弟子にしたことに、イエスの独創的は神の国があるんだよ」と、信者の人に聞いたことがある。

 神の国はすべての人のものであり、資格や条件によって排除されることはない。もちろん罪人にも、同じように接した。

 律法学者や王や政治家など地位の高い人の集団で始まった宗教ならば、2000年も続くことはなかったのかもしれない。

 シモンはのちにペテロと呼ばれ、ヨハネと共に指導的な役割を果たすことになる。

 漁師をしていた証に、このペテロ像(右)の足下に魚がいる。

 ペテロ首位権教会の天井
 この像がある湖畔から少し南下したゲネサレという湖畔に、「ペテロ首位権の教会」が建っている。漁師だったペテロとアンデレが、イエスに出会ったところだ。

 「わたしについてきなさい。あなたがたを人間をとる漁師にしてあげよう」と言われたところである。

 清楚なチャペルで感じがいい。天井を見上げると、ステンドグラス(左)がはめこんであった。やはり、デザインは、魚だった。




キリストの食卓 教会の祭壇は岩で出来ている。この岩の上で、復活後のイエスが、弟子達と朝食を摂ったそうだ。だからこの岩は、メンザ・クリスティ(左)、キリストの食卓と言われる。

 「復活などあり得ないじゃない」「2000年前の岩がどうして、それとわかるの」と思う読者もいらっしゃるだろうが、私は聞いたとおり、見たとおりを書いているにすぎない。2つめ像は次の項で。 
(2007年12月8日 記)



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