お役所のカタカナ言葉

  私が住んでいる神奈川県や横浜市が毎月発行する広報誌には、カタカナ言葉が氾濫しています。宮城県や仙台の広報誌も時折目にしますが、同じような傾向です。一般の新聞に比べ、難解カタカナが多過ぎ。

 ファッション・洋菓子・車・レストラン、マンション関連であれば、カタカナやローマ字は当たり前。怪しげな英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語が横行していますが、消費者の好感度は大きいようです。そうとなれば、商売上やむを得ないでしょう。

  でも、県政や市政のお知らせに、カタカナ語を頻繁に使うのはなぜ?「わかりやすい日本語に置き換えよう」の動きがあり、審議会で、置き換え言葉を議論している最中です。そんな時の広報誌だけに、「ブツブツひとりごと」も、言ってみたくなります。
 広報誌の記事を書く人が使うというより、そもそも、役所のスローガンや課名には、カタカナ語が多いのです。

 「よこはま」2月号から、私が勝手に抜粋した、「わけがわからない言葉」をご覧ください。ゴシックにした部分です。当然ですが、原文のまま。ただし、下線は私が引いています。

不登校児児童生徒減少に向けてアクションプランを策定

これまでも「ハートフルフレンド家庭訪問事業」を行ってきましたが、一人でも多くの子どもたちがクラスの主役になれるよう支援していきます。


 不登校児童をなくすための取り組みに異存はありませんが、アクションという言葉からは、アクション映画を連想しがちで怖そう。ハートフルフレンドも、わかるようでわかりません。それにですね。一人でも多くの子が、クラスの主役になる必要もないし、みんなが主役になったら、まとまるものもまとまらない。世の中では、「縁の下の力持ち」も重要な役割だとわからせるのが、教育だと思うのです。

進む情報教育

情報教育を進めるためには、コンピュータ同士をつなぐネットワークなどの学習環境の整備が必要です。そこでネットデイ方式を採用し、15年度は、小学校20校、中学校10校で学校内のLANを整備しました。


 ネットワークは、かなり浸透度が高い言葉になっています。言い換えは、むしろ不便かもしれません。でもLANは、市民に定着している言葉なのかどうか。ちなみにLocal Area Network の略。つい最近、家庭内をLANにしたので、私には、かろうじて理解できましたが。

 ネットデイ方式には、「電気工事などの知識を持つ地域の人が、ボランティアで校内LANなどのネットワークを整える手法」の、注釈がついていました。ネットデイは「ネットに触れる日」のことだろうと、勝手に解釈していましたが、間違っていたのですね。

食への安心と安全の確保のために

 市でもパブリックコメント等により皆さんからいただいた意見をもとに、16年度の市の計画を策定し3月中に公表します。市では消費者、事業者、行政による情報や意見の交換(リスクコミュニケーション)の推進に重点をおいた5つの柱からなる監視計画に基づき、市民の食に対する安心と安全を確保していきます。


 BSE、鳥インフルエンザが問題になっているだけに、市が率先して安心と安全を確保してくれるのは、涙が出るほどありがたい政策。でもリスクコミュニケーションという言葉は、頭をひねっても理解できません。パブリックコメントは、想像がつきますが、「市民の声」の方が分かりやすいのでは?カタカナ語を使うと、権威が増すとでも勘違いしているとしか思えませんね。
 
中田市長とのカレーランチミーティング 

皆さんの意見や提案をカレーを食べながら市長と話し合ってみませんか。合い言葉は”ランチ”です。


 中田市長は、30代の若さで選ばれた新進気鋭の市長。市長と気軽に意見交換が出来る昼食会は、大賛成です。カレー代が自己負担と言う点もいいですねえ。でも「合い言葉はランチ」って何だ?

「横浜ベンチャーフォーラムin東京」 

市長が横浜での創業メリットを紹介。問い合わせは、創業・ベンチャープロモーション課。


 題名を読んだだけでは、横浜と東京の関係がわかりにくいですね。単に、東京で説明会を開くということでした。最近は「in○○」が大流行とみえ、新選組ゆかりの地・日野市でも、「新選組フェスタin日野」の幟がはためいていました。創業・ベンチャープロモーションなる課は「コミュニティビジネス起業家養成塾」も主催しています。幅広くご活躍。

オストメイト健康教室」 申し込みはオストミー協会

 オストメイトは、初耳。カタカナ語辞典には「人口肛門・膀胱を造設した人」と載っていました。この病気にかかっている方には常識なのでしょう。これには、文句がつけにくいです。
 
「私大リカレント講座」 問い合わせは、よこはまアーバンカレッジ

 リカレントも、カタカナ語辞典の世話に。リフレッシュ教育の項に「社会人が大学院などで最新の高度の知識・技能を習得するための教育。国際的にはリカレント教育という」と、ありました。さすが国際都市横浜は、リフレッシュでなく、リカレントをお使いです。

 横浜にお住まいの方で、2月号をまだ捨てていない奇特な方は、ぜひ目を通してください。上記の例がほんの一部に過ぎないことがおわかりでしょう。

 役所のスローガン好きの一例をとして、「横浜G30プラン」をお知らせしなければ。去年のやはり2月号の「よこはま」の一面トップに大きく出ました。G30の具体的な説明もお読みください。

横浜G30プラン策定 ごみ減量!350万人のの挑戦!みんなで守ろう!

 G30(ジー・サンジュー)とは、「G」は「ゴミ=Gomi(ローマ字)、Garabage(英語)、減量=Genryou(ローマ字)、そして次世代に良質な地球環境を引き継いでいくという意味での「Good」「Global Environment」の頭文字の「G」を表します。「30」は、22年度のごみ排出量の削減目標である30%の30を表します。また「G30」で「ゴミゼロ」の意を込めています

 ローマ字、日本語、英語ごちゃ混ぜながら、Gのつく単語を5つも思いついた優秀な職員の顔を見たいものです。G30をゴミゼロとも読ませるセンスもなかなか?
 でも、「ゴミ30%減量プラン!」としてくれたら、説明もなにもいらず、非常にわかりやすくなります。簡単すぎるフレーズは、重みがないと思っているに違いありません。

 はたして1年前の広報に載ったスローガンは、実行されているのでしょうか。減量化の進み具合を、市に問い合わせてはいませんが、かなり本腰を入れて、取り組んでいる姿勢はうかがえます。小学校では、総合学習の時間に、ゴミ問題を取り上げていると聞いています。

 学校で取り上げるのはいいとしても、、「スローガンを言いなさい」「G30のGを意味する単語を5つあげなさい」の試験だけは出さないで欲しいですね。(2004年3月14日 記)

反論・同感どちらも歓迎。声を聞かせてください→

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