続・お役所のカタカナ言葉

 前回の「お役所のカタカナ言葉」に対し、私に強要されて仕方なく書いてくださった方もいますが、言葉の専門家を含めたくさんの貴重なご意見が寄せられました。いつものように★は男性、☆は女性。

★たしかに解るような解らないようなフレーズの大合唱ですね。専門分野の企業同士でのカタカナ氾濫はまだしも、老若男女にわかりやすく説明しなけらばならない市の広報に、役人が思いつきで作ったようなカタカナ言葉はどうか。お堅い方々が無理して、ナウいヤングを装っている感じで痛々しいです。

最近の流行音楽も、以前のようなローマ字や英語の曲名ばかりでなく、日本語の情緒漂うフレーズを大事にしている風潮もあります。カタカナがカッコイイと言うより、いかに皆の心に残るフレーズが大事なのだと思います。行政は解ってないですね。

掲示板に来てくれる人の中では最年少者(もうすぐ三十路)の感想。「ナウいヤングを装っている感じで痛々しい」は、私の言いたいことを上手に表現してくれました。本当に痛々しいです。若者が、必ずしもカタカナに共鳴していないことを知り、安心しました。流行している河口恭吾の「桜」も、森山直太朗の「さくら」も、まさに日本文字。「サクラ」や「チェリーブロッサム」だったら、こうは流行らなかったかもしれませんね。(HARUKO)

☆大爆笑です。なにかの漫画みたい。カレーランチとか。私の町の広報誌は高齢の方が見ることが多いですから、こんなにカタカナ言葉はないです。でもパソコンを始める人が多いので、みな苦労しています。私も教えたのですが、クリックは「カチ」、カーソルは「ピカピカ」と表現しました。かくいう私もパソコン用語はわかりません。LANなんて、今はじめて知りました。とにかく、とっても面白かった。伝えたい事が伝わらないのでは、おもしろがっている場合じゃないけど。

彼女も三十路と思われる若い女性。ほんものを求めて「いなかぐらし」をしています。町の広報誌が、お年寄りに配慮しているのはいいですね。クリックは「カチ」って気に入ったわ。(HARUKO)

★最高!めちゃ面白かった。昼飯食いながら会社のデスクで読んだんやけど、笑てしもて食事を止めて読みました。英語で表現することがカッコイイとか、威厳を演出できるとか、そんな風に勘違いしている人たちがどれだけ多いことか。化粧品のデザインはカタカナよりも英語がほとんど。輸出するわけでもないのに、なんで英語にするんかと思う。容器はほとんど英語ですよ。日本語ではカッコよくデザインできひんて、日本人として恥ずかしくないんかね。

横文字の効能はわかるけど、Japanese Englishの奇妙な横文字のせいで、困惑している外国人も多いようですよ。日本語自体も乱れているし、日本はつくづくおかしな国だと思います。

この方は、「続・泥棒が入った」で大人気を博したRさん。化粧品の開発をしています。ご自分の会社の実体を知らせてくれました。上記2人と同じく、私は広報「よこはま」を読んだ時に、大爆笑。キャッチフレーズを真剣に考えている人の顔を想像しては、ひとりニヤニヤしていたのです。でも税金を使っての広報誌、住民に理解してもらわなければならない広報誌。笑っている場合じゃないだろうと、「ひとりごと」で取り上げました。(HARUKO)

★横浜は外国に近いからでしょうか、千葉の田舎に比べると進んでいるのでしょうか。わが街の広報誌を調べて見ました。3月号だけですが、定着したボランティアなどの言葉を別にするとほとんどありません。ただひとつ「ワークショップ」という馴染みのない言葉がありました。判るような気もするが、日本語でどう言い換えるのか判らず、広辞苑を引いたら出ていました。それにしても広報誌を読むのに、何回も辞書を引かなければならない横浜の広報誌も困ったものですね。

船の時代ならともかく、外国に近いのはむしろ千葉じゃありませんか。広辞苑に出ている言葉は、定着度が高いということですね。カタカナ語辞典にも載っていないカタカナより、マシかもしれません。私も、ワークショップが頻繁に使われている会合に出たことがあります。恥ずかしくて意味を聞けませんでした。私が無知だったのでしょうね。反省。(HARUKO)

★横浜の市長が若いので、職員も負けじと若いスローガンを考え出すのでしょうか?若い市民ばかりではないのにね。英語を使うとインパクトが強いと考えているらしい。一度、初めから終わりまで、カタカナ英語を一切使わずに書き直してみたらどんな感じになるかな。この文章なんだかヘンと受け取るかも。少なくともG30なんてそのものズバリの名(迷?)キャッチコピーは出来ないでしょうね。

カタカナ英語やカタカナ表現を一切使わず書いてみる試みは面白いでしょうね。いかに日本人の文章に、多様な表現、多様な文字が使われているか。それらを使わずには、すまされない事に気づかされるだけだとは思います。たとえば、日本語にしても、おばさんとオバサンでは意味するものが違いますもの。(HARUKO)

★まだ横浜の広報はなんとなく意味が分かるだけマシ。最近のラジオ、若い人の歌・小説・広告などさっぱり分からないのが多くなりました。若い人に「分かるか」と問うと、少なくとも私より分かっているようです。とすれば、分からないのは、歳の所為、時代遅れかもしれません。

営業の世界では訪問回数が決め手と言われていますが、言葉の問題も、接する度合いが決め手かもしれません。樋口一葉、二葉亭四迷を読むのに苦労しますが、我々の書き物も、後世では同様でしょうね。「言葉は流れに従うしかない」という見解です。とはいえ、私はできるだけ日本語で書きます。

樋口一葉も、森鴎外も、私たちの年齢ですら、すでに半古文という感じがしますね。「言葉は流れに従うしかない」のご意見は、ごもっとも。でも、広報誌は、せめて一般の新聞並に、老若男女に分かる文でなければならないと思うのです。(HARUKO)

☆わたしの町の広報誌「まちだ」についてあまり気にしていなかったのですが、3月11日付けの広報誌を隅から隅まで見てみました。あまり気になるカタカナ言葉は使われていませんでした。マスタープラン、パートナー、トレーニングぐらいかな。私には馴染みがなかったのですが、トワイライトステイというのは、一般的な言葉になっているのでしょうかね。「こどもショートステイ・トワイライトステイ事業委託料・・」とありました。

町田の広報誌は健全のようですね。でもトワイライトステイは、私も知りません。老人のショートステイは知っていますが、こどももショートステイ出来るのですか。トワイライトステイをカタカナ語辞典で調べました。「父子・母子家庭を対象に、子供を夕方から午後10時ごろまで児童福祉会館などで預かる事業」とありましたよ。又ひとつ覚えました。(HARUKO)

☆アイドリングストップ、アウトソーシング、アクションプログラム、アクセス、アジェンダ、アセスメント、アナリスト、アメニティー・・・。カタカナ言葉は、「私が無知なのよ」とあまり気にしていませんでしたが、あちことでこの問題は取り上げられているのですね。「広報・カタカナ言葉」で検索したら、次のページがありました。知っているようで人によって違った解釈をしている言葉、感覚的にしかわからないカタカナはたくさんありますね。

検索ありがとう。国立国語研究所による「カタカナ語言い換え案」の一覧表ですね。ぜひクリックもしくは「カチ」をして、ご覧ください。日本語への言い換えも、難しいものですね。(HARUKO)

★結論的にはまったく賛成。役所の広報にカタカナを使うのは、日本語を知らないか、日本語で上手に表現しようという努力のなさのように思います。明治時代に、HAPPYを「幸福」とした福沢諭吉の訳語が正確かどうかは議論がありますが、そのままハッピーとしなかったのは、えらいと思いますよ。

広報誌は、納税者へのサービス内容を説明するものです。読む側が理解できない言葉は使うべきでないし、日本語でしか考えることの出来ない人に対するサービスではないと思います。

小生は、大学まで卒業した輩ですが、英語ではものを考えることなど出来ません。たとえば、青い空を指して、ブルースカイと言っても、青い空の向こうの世界と自分との関係を日本語で考えていますから。

ご指摘のネットデイなど全然わかりません。アクションプランもそうです。「行動(実行)計画」だとすれば、計画の実行と結果を誰でも厳しく問うから、日本語で書かない方が結果を問われないにくいのではないかという役人の策略ではないかと勘ぐってしまいます。ハートフルフレンドに至っては、噴飯もの。言葉の広がりや深みを含めてわかりません。ハートフルフレンド家庭訪問事業と言うなら、「家庭訪問事業:あなた大好き運動」または「家庭訪問事業:あなた大切な人運動」としたほうがまだ気が利いています。

「パブリックコメントなどにより皆さんからいただいた意見」の表現も多くの人にはわかりにくい。パブリックコメントと、みなさんから頂いた意見っていうのは小生には、同意語に思えます。パブリックコメントは、「ご意見拝聴運動」とでもして、その運動の成果として「これこれの意見を頂戴して、それを参考に、これこれの成果を云々する」なら、わかりやすいです。

HARUKOさんの指摘すごく面白いので、この際、いろいろな役所の広報を槍玉にあげたHPを作ってください。同時にその意見を役所に送りつけたらどうでしょうか。この仕事なら、少しぐらい小生も協力してみたいですね。

長文をお寄せくださりありがとうございます。「日本語で書かない方が、結果を問われにくい」は、他の方も指摘してくださいました。目から鱗でした。役所に送りつけるなど直接行動も取るべきでしょうね。ブツブツ言っているだけではダメですね。「有言不実行」の私には、つらいことですが。(HARUKO)

★講演ネタゆえ長くなりそうなので、下記の3点に絞りました。

@なぜ横文字
カッコイイ以外に忘れがちな機能→きれいごとですまされない差別的な言葉や汚らしい言葉を誤魔化せる働きがあります。
【例】 キチガイ→クレイジー、乞食・ルンペン→ホームレス、年寄り・ジジイ・ババア→シルバー、らい病→ハンセン病・レブラ、月経→メンス・アンネ、障害→ハンディ、精神科医→メンタルクリニック、半失業者、半不定期労働者→フリーター、お掃除おばちゃん→フロアレディーサービス。

A横文字好きの公務員
【資料A】 横文字を使う元凶は官庁である。通産省が、ニューメディア・コミュニティを打ち出せば、郵政省がシェイプアップ・マイタウン計画、中小企業庁はコミュニティ・マート構想を掲げる。(最上達也・1986年「言語生活」)

【資料B】 第二次大戦後のフランスでは、あまりの英語化に業を煮やした政府が、不必要な英語を安易に、しかも多用する傾向を戒める声明を二度三度出し、さらには罰則を伴う法律まで作って、既にフランス語として定着している英語起源の言葉さえも、なんとか「美しい」フランス語に置き換えようと懸命の努力をしている。(鈴木孝夫「教養としての言語」)

フランスの役人はえらいですなあ。

B使うからには正確に
【言葉そのものの誤用例】 エンターティナー(エンターテイナー) シュミレーション(シミレーション)、グロッキー(グロッギー)、サウンドウェッジ(サンドウェッジ)、バングラディッシュ(バングラデシュ)、キャスティングボード(キャスティングボート)etc.

【使い方の誤例】
「事が巧く運ぶというジンクスがある」「バグダッドはテロのメッカだ」「デッドロックに乗り上げた」
dead lockは、ダメになった錠のこと。なぜ「暗礁に乗り上げた」って言わないんでしょうね。

元アナウンサー、今も朝日カルチャーなどで「話し方教室」の講師をしている「言葉」の専門家のご意見です。彼のHPには「言葉いろいろ」のエッセイも載っています。HPのメインは、言葉ではありませんが、近頃気になる言葉を数々綴っています。

やはり、横文字が好きなのは、官公庁なのですね。漠然と感じていたことがこうして整理されると、納得してしまいます。カタカナに、差別的な言葉や汚らしい言葉を誤魔化す作用があることも、頷くばかり。でも私がお掃除おばさんだとして、フロアサービスレディと呼ばれたら、逃げ出したくなっちゃいます。数日後に、再度下記の文が寄せられました。(HARUKO)

★カタカナ語についてもう少し言えば、それが専門用語、業界用語の中で機能している限り、どうということはありません。技術屋(特にIT関連)、ファッション関係、放送関係ではカタカナ抜きだと仕事にならない側面があります。

ところが、自分たちの業界言葉をとくとくとして一般社会に持ち出すから困るわけです。つまり、私たちが「仲間言葉」と「よそゆき言葉」を使い分けているように、業界言葉も、相手を見て使えばいい。自分たちの「内輪言葉」を粋がって娑婆で使うから、はた迷惑になるのではないでしょうか。電気製品やIT機器の説明書なんか酷いですよね。技術屋さんの自己陶酔が随所に見られます。技術屋や学者の視野の狭さ、娑婆音痴を雄弁に物語っているのでは?

横文字の氾濫は、業界用語・仲間用語の氾濫と関係があると私は思っています。日本語に敬語や丁寧語、謙譲語があるように、それを使い分けるケジメがないと、カタカナ語の氾濫は防げないでしょう。

ワープロもパソコンも、マニュアル書を横に置きながら、独学で覚えた私は、自己陶酔とやらに、散々泣かされました。本当に、内輪言葉を娑婆で使わないで欲しいですね。ほんのちょっとだけ放送業界にいた私でも、ステブレ、ナマレコなど、平気で使っていましたね。赤面!(HARUKO)
(2004年3月21日 記)

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