そこで２回目の検査。「正常だとは思いますが、念のために紹介状を書きます」。紹介状をもらった総合病院の循環器内科で３回目の受診。「これでは異常は認められませんが、もうちょっと詳しい検査をしてみましょう」と、院内の別な施設での検査日を指定されました。
　
　同じ日の検査は、システム上で都合が悪いのか、数日後に又病院へ。車で10分もかからないからいいようなものの、本当に心臓が悪ければ、何度も通って息絶え絶えになったらどうするの。最悪の場合は、運転中にポックリ。周囲の人をひき殺してしまうかもしれません。

　特別室での検査は、これまで同様、平静時で１回。階段の昇降を繰り返した直後に１回。「運動前後の違いを見るためです」の説明に納得せざるえを得ません。ここまでで、合計５回の検査をしたことになります。５回も胸にクリームを塗られ、裸体にコードを繋がれる身にもなって欲しいもの。

　これで無罪放免ではありません。その後に待っていたのは「エコー検査」。「息を吸って、吐いて、止めて」の検査技師の命令でベッドに横たわること30分。「息を吸う、吐く、止める」の動作は、生きていれば誰もがやっていることですが、意識するとぎこちない動作になり、心臓に良くありません。「ぎこちなさのために、異常が出たらどうすんだ」と思うも、若い女性技師の言うままに、３動作を繰り返しました。病院は、うっかり本音が言えないところです。

　数日後、結果を聞きに再び病院へ。出来たばかりの病院なので、どこもかしこもコンピュータ化されています。もちろん診察室も器械だらけ。カルテさえ、先生は私の話を聞きながら、カタカタとキーを打っています。ところで検査の結果は？パソコン上で、私の心臓を見せがらひとこと。「なんら異常はありません」。

　さほど心配していなかったこともあり、ホッとするよりも、検査浸けに怒りがこみあげてきましたが、やはりダンマリ。せめて何かを聞き出そうと、「あのー、日常的に気をつけなければならない事がありますか」「これまで通りでいいですよ」。一体ナンだったのでしょうね。もっともこれで重大な病気が見つかったならば、感謝感激ということですから、われながら勝手だとは思いますが。

　総合病院の内科に最初に行った時には、心電図ばかりでなく、血液検査もする羽目になりました。受診したばかりの血液検査では、すべて正常値。よほど告げようと思いましたが、「素人が口出しするな」と言われかねないので、開きかけた口にチャックしました。

　この一連の騒動で思ったこと。医療機関でカルテを回すシステムさえあれば、心電図検査5回のうち、少なくとも3回は減らせたのではないでしょうか。パソコンに入力すれば、心電図の転送など私にでも出来ること。無駄な検査を希望しない人には、カルテを転送すべきです。検査結果を他の病院に知られたくない人、前の病院の診断を信用できない人は、カルテの転送を望まなければいいわけです。

　来月（2002年10月）から医療費が値上がりします。安易に値上げする前に、医療制度の構造改革に取り組んで欲しかったですね。患者だけに痛みを押しつける悪法が、すんなりと国会を通過してしまいました。

　私がこの話をすると、たいていの人は、どんどんしゃべり始めます。喧々囂々、話はつきません。「最近の医療器械は高いから、検査で費用を回収しているのよ」「無駄遣いは検査どころじゃない。もっと他に山とある」。最たるものは老人医療だそうですね。薬や点滴で生かされている意識のないお年寄りのなんと多いことか。医療費が無料に近い老人には、安易に薬を出し、検査も過剰になりがち。医療体制を根本的に改造しないと、健康保険制度は必ず破綻する・・と断言する人もいます。ニュースソースは、言えませんが、病院関係者の方の発言もあります。
　
　どの世界にも例外はあるものですが、一般論としては、間違ったことは言っていないと思います。良心的な病院も、お医者さまもたくさんいます。業界の悪口を言うたびに断るのもナンですが、関係者の方は気を悪くなさらずに、「ババアのたわごと」だと、お笑い下さいませ。（2003年10月6日　再記）

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