アイルランドの旅5 
 バレン高原とキラーニー国立公園

2013年6月25日(火)-6日目

きのうのアラン島に続き、今日も西海岸の最果ての地・バレン高原を巡る。ゴールウェイとリムリックの間のクレア県は、石灰岩の丘陵地帯。クロムウェルがこの地に侵入したときに「人を吊るす木もなく、溺れさせる水もなく、生き埋めにする土もない」と嘆いたような土地だ。

バレンはゲール語で「石の多い場所」。2億6000万年前に起きた地殻変動で海底から石灰岩が押し上げられたという。気温差で石が割れていった。

バレン高原  巨人のテーブル
 
この写真では分かりにくいが
石が多いバレン高原

 
バレン高原の「巨人のテーブル」
5000年以上前の墓石


石ばかりのバレン高原の中でも「巨人のテーブル」は遠くからでもよく分かる。5000年以上前の墓石(ドルメン)だ。飛鳥の石舞台と同じと考えると分かりやすい。長い間に覆いが壊れてしまい、石だけが残った。1989年に発掘したときに、25人もの遺骨や宝石類が見つかった。

モハーの断崖朝から曇り空だったが、モハーの断崖に着いたころには雨が降ってきた。高さ200mぐらいの断崖(左)が8qも続く。

着いたときは靄につつまれている。ところがよくしたもので、そこらへんを歩き回っているうちに晴れてきて、きのう行ったアラン諸島も見えてきた。断崖の迫力も十分味わえた。

昼食後バス移動。途中でボンラッティ城の外観を見た。廃墟の修道院などばかり見ているので、たまにはこの城のような豪華な内部を見たいものだが、素通り。

しばらく走ったあとで、アデアという村に立ち寄った。アイルランドでもっともかわいい村コンテストで優勝したことがあると言う村。村といっても藁葺屋根の土産物屋やカフェが並ぶだけで、村人の気配はない。「こんな玩具みたいな村でなく、アイルランド第3の都市リムリックに寄ってほしかった」とKさんが言う。あとでガイドブックのリムリックの項を読んだら、たしかにアデアよりいい。

アイリッシュダンスキラーニーのホテルに着いた。ホテルのロビーに、Celtic Stepsによるアイリッシュダンスのショーのポスターがあった。ホテル宿泊者には割引もある。アイルランド音楽に詳しく、奥さんに言わせれば「アイルランドオタク」のKさんの勧めもあって、夕食もそこそこに見にいった。

アイリッシュの音楽は少々、盛り上がりに欠けるような気がするが、ダンスがよかった。靴を鳴らしながらのステップ(左)は、見事だった。特に50代と思われる男性の軽やかな動きが気に入った。    
<キラーニーのグレンイーグル泊>

6月26日(水)-8日目

今日はキラーニー(アイルランドの旅1の地図参照)の西に広がるキラーニー国立公園めぐり。林の中を馬車でリーン湖へ。ユーモアたっぷりの馭者が「毎日、南無妙法蓮華経を唱えているんだ」と言う。創価学会の一員で「秋には大会があるので日本に行くつもり」とも。日本から見れば西の果てのような所に、信者がいる事に驚いた。

馬車を降りてリーン湖のそばに建つロス城の外観を見た。もともとは15世紀の要塞だったが、1652年にクロムウェルが破壊した。クロムウェルが、アイランド遠征の最後に攻略した城だ。1956年にアメリカの富豪が買い取って15世紀の城を再現。旅程では内部に入る時間を取ってない。

ロス城とリーン湖  マクロス邸
 
ロス城とリーン湖

 
ヴィクトリア朝のマクロス邸

ロス城からバスに乗りマクロス邸へ。1843年にこの辺りを統治していたヘンリー氏が作ったヴィクトリア朝の邸。ヴィクトリア女王が立ち寄ることになり、女王のために調度品などを新しくした。このことで財政難になり、持ち主は転々としたが、1932年にアイルランド政府の所有になった。ガイドの案内で内部も見学。

バスでリング・オブ・ケリー(ケリー周遊道路)を一周する。アイヴァラ半島約170qのドライブ。山と海の両方が広がっているので絶景だが、ここ数日、同じような景色ばかり見ていたので少し退屈だ。

ドライブの途中でボグ・ビレッジに立ち寄った。ボグは泥炭のことで、13世紀から19世紀に泥炭を切り取っていた職人の暮らしが再現されている。

売店のアイリッシュコーヒーが美味しいと言うので、飲もうとしたが、カップの半分はウイスキーだ。それにコーヒーと砂糖を入れた飲み物。口当たりがいいので、全部飲んでしまいそうになるが、下戸の私は倒れてしまう。ちょっと口をつけただけ。

ウオータービルで昼食。チャップリンはここを気に入り、私たちが食事をとったホテルによく滞在していた。妻がアイルランド人だったこともあり、何度も訪れたらしい。写真も飾ってあったし、海岸には彼の銅像があった。フィルムセンターもあり、チャップリンを町おこしに使っている。

チャップリン 貴婦人の眺め 妖精
 
ウオーターヒルを愛した
チャップリンの銅像

 
ヴィクトリア女王が絶賛した
「貴婦人の眺め」


「妖精が通るよ」の看板

途中、クムケシュタ峠や「貴婦人の眺め」で写真ストップ。「貴婦人の眺め」の場所は、ヴィクトリア女王が素晴らしいと言ったからの命名だという。ここの道路に「レプラコーンが通るよ」の注意書きの看板があった。

レプラコーンは妖精のことで、添乗員さんが「妖精の国らしいですよね」と感激している。でも私は妖精が出そうな場所だと思ったことは旅行中一度もなかった。もちろん妖精には出会ってない。妖精を感じる「心」が欠如しているのだろう。妖精を見るのは土産物屋の人形ばかりだ。

5時半にホテルに到着。今日の夕食は自由食。自費で食べろということだ。キラーニーの街をぶらついたが、毎日食べ過ぎているので、特に食べたいものはない。ホテルの部屋でインスタントラーメンや果物ですませた。
                                          <キラーニーのグレンイーグル泊>

                                                 (2014年9月16日 記)
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