モロッコの旅 7
マラケシュ

2006年2月25日(土)-10日目

マジョレル庭園 アトラス山脈を無事に通過し、4時半ころマラケシュモロッコの旅1の地図参照)に入った。まず郊外のマジョレル庭園を見学。1924年にフランスの画家マジョレルが造園。後にイブ・サンローランが買い取って今も所有している。垢抜けているのは、そのためだったのか。マジョレルブルーの建物と南国の植物(左)は、イメージしていたマラケシュとはだいぶ違う。

 ホテルにチェックイン後、ファンタジアショー付きのレストランに向かった。会場に着いたとたん、踊るベルベル人やアクロバットショーの団体がにぎやかに出迎えてくれた。特別な日でもないと思うが、マラケシュに泊まっている観光客はすべてここに集まっているのかと思うほどの大混雑だった。仲間を見失ってしまいそうになった。

 ファンタジアショーハイライトはファンタジアショー。馬に乗って銃を撃ちあい、昔の戦いを再現している(左)。銃の音と馬の蹄の音が臨場感を盛り上げている最中に、またしても雨が降ってきた。それでもホテルに戻ったのは、夜中の12時近くだった。フェズのホテル同様、マラケシュのホテルも5つ星。  <マラケシュのケンピンスキー・マンスール泊>

2月26日(日)-11日目

城壁 マラケシュはフェズについで2番目に古く、城壁に囲まれた古都(右)。1070年頃に、ベルベル人による最初のイスラム国家、ムラービト朝が都にした。その後12世紀のムワッヒド朝、16世紀のサアード朝の都になっている。

 マラケシュの旧市街(メディナ)を見学することになっている。ここも世界遺産だ。モロッコには7ヶ所の世界遺産があるが、今回の旅で6ヶ所訪れたことになる。

 まずバヒア宮殿へ。19世紀に建てられた宰相バ・アフメドの邸宅。スペインのアンダルシア出身の建築家が6年かけて作ったアンダルシア風の建物。4人の妃と24人の側室の部屋が、中庭に面して並んでいる。28人を公平にお相手するのは「男はつらいよ」だったかもしれない。第1夫人の部屋がもっとも広くて立派だというが、見せてもらえなかった。ここには今の王様も、ときどき宿泊する。

スークやユダヤ人街を通り抜けてサアード朝の霊廟へ。サアード朝(1549年から1659年)の代々の王が葬られている。廟には3つの部屋があり、それぞれ、幾何学模様やアラビア文字のコーランの一節があり、美しい。何度もイスラム建築を見ているので感動はさほどでもないが、こうして文を打っていると、装飾が目に浮かんでくる。

次はベン・ユーセフ・メドレセへ。メドレセとは神学校のこと。マグレブ諸国のメドレセの中で特に規模が大きい。16世紀に建てられ1956年まで使われていた。2階には学生の寄宿舎だった部屋が130も並んでいる。黒ずんだアトラス杉の装飾模様が、きらびやかさとは無縁の魅力を醸し出している。

クトービアの塔マラケシュのシンボル高さ77bのミナレット・クトウビアの塔(左)旧市街のどこにいても見える。12世紀にムワッヒド朝の創始者によって建てられたモスク。モスクは残っていないが、マグレブ全域はもちろん、イベリア半島まで支配におさめた12世紀モロッコの繁栄を示すものだ。

ミナレットの中には入ることができず、外観から4面の装飾の違いなどを眺めるだけだった。セビリアのヒラルダの塔に次ぐ高さだというが、セビリアでは塔に登った覚えがある。過去、イスラムの国だったスペインと、今もイスラムの国であるモロッコの違いなのかもしれない。

 ホテルで昼食後は、自由時間。自由時間といっても、ほとんどが添乗員と一緒にジャマ・エル・フナ広場に向かった。

まず、広場の周辺にあるスークを冷やかしで歩いた。ここのスークはフェズほど迷路になっていないので、夫のように土地勘がある人には何でもないらしい。私は方向音痴なので、もしひとり旅だったら、こんな時は困ってしまう。買う物などないのだが、何度歩いてもスークのざわめきには惹かれる。

香辛料 パン焼き場 ファティマの手
香辛料をきれいに盛り上げている スークの地下にあるパン焼き場 ファティマの手(魔よけのために玄関についている)

ジャマ・エル・フナ広場はマラケシュの顔であり、モロッコのエッセンスを凝縮したような広場と言われる。ここでも水売りオジサンは元気がいいが、暑さが一段落する夕暮れには彼らは姿を消す。それまでいたヘビ使いやアクロバットの芸人、ダンサーにまじり、数え切れないほどの屋台が出始めた。今日もホテルでの夕食が待っているので、味しそうに食べる人を眺めるだけのそぞろ歩き。

 シシカバブを焼く煙とカタツムリを食べさせる屋台が目についた。シシカバブはイスラムの国ではお馴染みだが、カタツムリはフランスでいうエスカルゴのこと。エスカルゴというと高級品のごとく聞こえるが、ここでは茹でたカタツムリが洗面器みたいな入れ物に山積みになっている。それを黙々と食べている。安くて美味しいのだろう。

カタツムリを食べる人 水売りおじさん ジャマ・エル・フナ広場
カタツムリを黙々と食べている 水売りおじさん ジャマ・エル・フナ広場。混雑は夜がピーク

これからが広場の真骨頂だろうという夕暮れに、ホテルに戻った。一緒に戻らなくてもいいのだが、こういう国を2人で夜に歩き回るのは怖いような気がしたのだ。<マラケシュのケンピンスキー・マンスール泊>
(2007年3月2日 記)

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