モロッコの旅
<2006年2月16日(木)〜3月1日(水)> 

 1. モロッコはこんな国
 2. ラバトからタンジェへ
 3. 迷宮都市・フェズへ
 4. フェズのスークとヴォルビリス遺跡
 5. サハラ砂漠の入り口
 6. カスバ街道
 7. マラケシュ
 8.  カサブランカ

モロッコの旅 1
モロッコはこんな国

2006年2月16日(木)〜17日(金)−1日目・2日目 

成田発(22時15分) エアフランスで→パリ着(4時15分)・パリ発(10時35分)→モロッコのカサブランカ着(12時30分) パリとモロッコは約3時間のフライト。パリでの待ち時間が6時間もあったので、成田からカサブランカまで24時間もかかった。

 今回の旅行はE社のツアーである。参加者のほとんどは60歳代で、女性12名、男性11名。この時期のツアーだからシニアが多いのは当然だが、夫婦連れは5組だけだった。ふたりの趣味が一致するような旅先ではないということだ。「よくもこんな時期に、モロッコくんだりまで行く人がいるもんだ」と、自分のことは棚にあげて、あきれてしまう。

モロッコの地図

モロッコは、アフリカの西の端にある(左地図)。北西アフリカのモロッコ・アルジェリア・チュニジアを「日の没する大地」・マグレブと呼ぶが、モロッコはその中でもいちばん西にある。

 大西洋と地中海に面し、ジブラルタル海峡を挟んでスペインは、目と鼻の先。スペインは、かつてイスラムの勢力下にあったが、そのイスラム教は、モロッコからもたらされたものだ。

 面積は日本の1.2倍だが、人口は3,300万人とずっと少ない。アフリカということで、暑い国を想像するが、カサブランカの緯度は福岡市とほぼ同じ。2月中旬からの今回の旅では、モロッコで大雪に見舞われたのである。

 人種は、アラブ人が多いが、ベルベル人が30%いる。宗教は、北アフリカのどの国もそうであるように、イスラム教のスンニ派。イスラムの国というと、アルカイダなど過激派を思い浮かべる人も多いが、モロッコは、今のところ表だったテロはない。

 観光地モロッコの人気は日本でも高くなっているが、映画「カサブランカ」しか思いつかないと言う人もいる。いつものよう垣間見る程度だが、私が見たモロッコを綴っていこうと思う。

カサブランカの空港は、ムハンマド5世空港という。ムハンマド5世は、1956年にフランスから独立したときの王。アフリカの国は、ほとんどが1950年代から1960年代にかけて、イギリスやフランスから独立しているから、分かりやすい。

 現在の王ムハンマド6世は42歳で、4歳の子どもがひとりいる。この旅をした約1年前は、日本では天皇家の跡継ぎ問題が世を賑わしていたので、「男の子、女の子?」とガイドに聞いた。「男の子」と即座に返ってきた。国王の肖像が掲げられてある国は多いが、私はムハンマド6世の顔写真に会わずじまいだった。

現地ガイド

 モロッコ国内を12日間ずっとガイドしてくれるアブドゥラさんと顔を合わせた。ドライバーはワヒドゥさん、助手はハキムさん。名前からして、もうアラビアンナイトの世界だ。

モロッコ風サラダ

アブドゥラさんは、ジャバラという茶色の民族衣装を着て、赤いトルコ帽ごときものを被っている(左)。モロッコの男性の平均寿命は68歳とのこと。彼は58歳だから、かなりのお年寄り。ガイドをするのは年に4回ほど、他は工芸品を作っているとか。

午後1時45分に、高速道路で首都のラバトに向かった。午後3時過ぎにラバトのレストランで遅代表的なモロッコ料理・タジンい昼食。

 メニューは、モロッコ風サラダ・イシモチとトマトのタジン・アイスクリーム。サラダ(右上)とタジン(右下)の組み合わせは、今後も昼食の定番だった。

 タジンはモロッコ人が毎日食べている煮込み料理。厚い陶器の皿に材料を入れ、とんがり帽子のような陶器をかぶせて火にかける。中身は鶏肉、羊肉、魚、野菜など。

ラバト(上の地図参照)は、フランスの保護領時代の1912年に首都になった。経済の中心はカサブランカで、ラバトは政治の中心地。ラバトの新市街を見学していないので、首都としての実感はわかなかった。

王宮の衛兵

 昼食後、ラバトの王宮に向かった。王宮はラバトだけにあるわけではなく、各地に点在している。この王宮の敷地は44haと広い。今にも降りそうな天気だったこともあり、その広さゆえに、寒々としていた。白い壁に緑の屋根の組み合わせは、これから何度も目にする。イスラム教が国教だけあり、敷地内には王族専用のモスクもあった。

王宮の門前には、赤い服の衛兵・緑の服の軍人・黒い服の警官が暇そうに並んでいた。今日は王が王宮にいないので、衛兵も気がゆるんでいるらしい(左)。

 あちこちの国で(今は王政を敷いていない例えばチェコでも)衛兵に出会っているが、こんなにダラッとしている姿をこれまで見たことがない。王や大統領がいようといまいと、他の国では、直立不動で微動だにしなかった。観光客と目を合わせようとする衛兵もいなかった。

 私は、モロッコの衛兵の人間くささが気に入った。初っぱなから、モロッコ人気質の一端をを見せつけられたような気がする。
(2006年12月16日 記)


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