ミャンマーの旅3
 インレー湖

2008年2月20日(水)-3日目

7時という早い時刻に「落ちそうで落ちないパゴダ」の山を出発。坂道にある朝食の屋台や土産物屋を冷やかしながら歩いた。ふもとのホテルに預けてあったスーツケースを受け取ってバスに乗車。トラックバスに揺られた後だけに、日本の中古車の、なんと乗り心地がいいことか。

昼食後にヤンゴンに戻ってきた。ヤンゴンの少し北にあるへーホーの空港に向かう。

15時15分(ヤンゴン発)→ヤンゴンエアウェイズで16時25分(へーホー着)。

 小さなプロペラ機なので心配したが、乗り心地もよく定刻に離着陸した。このへーホー空港には、旧日本軍が駐屯していた。物見遊山の旅に後ろめたい気持ちを抱くのは、私がかろうじて当時の軍人姿を覚えているからだろう。

 ここシャン州は、昔からシャン族が支配していた地域だ。標高1000bを越す高原が続き、国境近くの山岳地帯には今でも山岳民族が暮らしている。風もさわやかで、並木道が美しく、熱帯の国という感じがしない別天地。

プロペラ機で着いたへーホー空港 本を読んでいる僧 仏像がたくさん
旧日本軍が駐屯していたへーホー空港 シュエヤンウエ僧院の僧。見学者がいても見向きもしないで本を読んでいる。 仏塔の壁には小さな仏像が収めてある。
 
 空港には別の日本の中古バスが待っていた。今度はライオンマークの西武バスだ。ホテルに入る前に、シュエヤンウエ僧院を見学。19世紀にシャン族の王が建てた木造の寺院。僧院は、お坊さんの修業の場である。僧の学校みたいなものだ。小僧さんたちの勉強しているノートをのぞかせてもらったが、字が読めないので、内容はわからない。僧院と同じ敷地内にある仏塔の壁には何百という小さな仏像が収められていて、見応えがあった。<ニアウンシュエのフーピンホテル泊>

2月21日(木)-4日目

  ニアウンシュエは小さな町だが、インレー湖(ミャンマーの旅1の地図参照)観光めぐりの拠点になっている。ホテル前を托鉢のお坊さんの行列が通ると聞き、朝食後、カメラを構えて待っていた。7時を少し回った頃に、お坊さん20人以上の行列が裸足で歩いてきた。すぐ近くに僧院があるらしい。大人の僧に交じって一時的に修業している小僧さんもいる。黒い大きな入れ物を持って托鉢していた。托鉢の時間を知っている現地の人達が、炊きたてのご飯を分け与えていた。草履を履いている人達も、托鉢するときは草履を脱いで、裸足でご飯をあげていた。私は日本で托鉢姿を見たことがないので、初めて見る光景だ。托鉢する人、される人、双方の呼吸がなんともいえず美しい。

早朝の托鉢 托鉢 ご飯をよそっている
早朝の托鉢 あちこちの僧院の行列が通る。 炊きたてのご飯をあげる人もらう人。

ニアウンシュエは湖から少し離れているが、運河が張り巡らされているので、ホテルのすぐ側から小舟に分乗してインレー湖に繰り出した。運河の部分は湖よりむしろ情緒がある。水上生活者の高床住居の窓から子供がのぞいている。洗髪や洗濯をしている女性もいる。ここに住む人達にとって、インレー湖と運河は娯楽の場ではなく、生活の場なのだ。

インレー湖は、南北に21キロ、東西12キロと細長い。湖の風が寒いぐらいだ。前もって言われてあったので、寒さ対策はしていたが「ミャンマーだから寒いはずはない」と勝手に思いこんだらとんでもない目にあう。

湖上で魚をとる漁師がいた。片足に櫓を巻き付け足で漕ぎながら手には籠のような網を持って魚を狙う。インレー湖周辺に住むインダー族独特の漁だという。いったん近代文明におかされたら、こんな悠長な漁は消えてしまうかもしれない。そんなことにならないように祈るばかりだ。もちろん、異国の旅行者の勝手な言い分である。

水上家屋の子ども ボートで買い物 独特の漁
水上家屋の窓から覗いている子ども。 買い物もボートに乗って。 インダー族の漁。

 まず湖上の浮島に作られたガーページョン僧院へ行った。本堂には、シャン族・チベット族・バガン族などいろいろなスタイルの仏像が66体も祀られている。台座にもそれぞれ特徴があるらしいが、あまり興味がないので聞いていなかった。この僧院の名物は、お坊さんが仕込んだというジャンピングキャットだ。猫がジャンプして輪をくぐり抜ける。浮島の寂しい僧院のお坊さんが、暇をもてあまして、猫を訓練したのではないだろうか。

 再び船に乗って、こんどは水上パゴダを見に行く。ところどころにある浮島では、畑を作りトマトなどを栽培している。トマトは、インレー湖とその周辺でミャンマー全体の70%を生産しているそうだ。浮島の畑の厚さはおよそ1.5b。泥・水草・砂で作られ、流されないように竹で固定している。乾期の水深は2〜4b、雨期には6bにもなる。

 湖の中程に突き出た半島に、水上パゴダ(ファウンドーウーパゴダ)が建っていた。赤い屋根に金色のパゴダがそびえ、湖上からも目立つ。寺院のすぐ傍まで湖が迫っているので、まるで水に浮かんでいるように見えた。

 本尊が5体あるということだが、女性は近づいてはいけないし、金箔を貼ることも許されない。金箔が貼れないということは、女性には寄付の行為さえ禁止されているのだ。金箔を張り付ける人が多いので、まるで「金だるま」の形相である。こんな仏像がなぜ有り難いのかさっぱりわからない。遠くから見ている限り、目も口も耳もないのだ。

 その後、近くにあるタレー村を歩いて散策。途中一軒の民家の中を見せてもらった。突然の訪問でも、嫌な顔をしなかった。主(あるじ)らしい品の良い男性が、悠然と椅子に座って私達を見回していたのが印象に残った。

猫の輪くぐり 水上パゴダ シャン族の料理
カーぺージョン僧院の猫の輪くぐり。 水上パゴダの本尊。女性は近づけない。 水上レストランでシャン族の料理を食べた。

 昼食は水上レストランで、シャン族の料理を食べた。大きな丸いお膳に、豆スープ・かぼちゃの煮物・ポークカレー・ビーフの煮込み・餅米、グリーントマトのサラダ・魚のフライ・コーヒーとフルーツ。中華料理のように油っぽくなく美味しかった。(2009年7月22日 記)

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