北スペインの旅4 2010年8月25日(水)-6日目 ブルゴスから南に約60qにある小さな村に向かった。サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院でグレゴリオ聖歌を聴くミサに参列するためだ。「ヨーロッパ修道制の父」と言われ、聖歌を作った教皇グレゴリウス1世(在位590〜604)にちなんで、グレゴリオ聖歌という。歌詞はわからないが、修道士たちの美声に聴き惚れてしまった。浄化されるような気がした。
ミサが終わったあとに聖体拝受があった。自己紹介で信者を表明していた2人に続き、ほかのツアー仲間2人が並んだ。「そうか!ミサに参列したら並ぶものなんだな」と思い、並んで薄いせんべいごときものをもらった。あとで聞いたら、その2人も信者なのだという。どうやら信者だけが聖体拝受の資格があるらしいが、食べてしまった。 私たちのグループ以外の参列者は10人もいなかった。もし私たちがいなかったら、聖歌隊の方がはるかに多い。小さな村の教会なのに、毎日6回もミサが行われという話だ。 ミサのあとに、修道院の内部を見学。ここの回廊は、スペインで最も美しいと言われる。回廊の柱や壁には、キリスト昇天・キリストの埋葬と復活・十字架効果・受胎告知・エッサイの樹などおなじみの場面が彫ってある。 ブルゴスに戻り昼食後、レオンに向かった。4時半頃からレオン(北スペインの旅1の地図参照)の観光が始まったが、相変わらず太陽が照りつけている。レオンは10〜12世紀に栄えたレオン王国の首都だったところ。のちにレオンはカスティーリャに併合され、統合スペインの母体になった。 ガイドはカミーノさんという女性。カミーノはあちこちでみかける単語だが、スペイン語では道。「道」さんの道案内で旧市街をめぐったことになる。
次はレオンの大聖堂へ。13〜14世紀建築のゴシック建築、この聖堂はステンドグラスが100枚以上あることで有名で、合計すると1800uもある。その90%がオリジナルだというから驚く。 歩いてすぐの所に建つ聖イシドロ教会の王室霊廟のフレスコ画は、ロマネスクの傑作だ。2ヶ月前に行ったルーマニアとブルガリアのロマネスク画を思い出してしまった。ここのフレスコ画は撮影禁止だったので、農民の1年間を描いた暦の絵はがきを買った。子どもが描いたような素朴な絵だが気に入った。 聖イシドロ教会からそう遠くない所に、宿泊するパラドールのサン・マルコスがある。以前は巡礼者を保護するサンチャゴ騎士団の本部だったところ。巡礼者の宿舎や病院として使われていたが、今はその役はしていない。 スペインのパラドール91のうち、5つ星は2つしかない。その1つが修道院をホテルに改造したこのパラドールだ。夕食前にパラドールの中を歩き回っていて気づいたのだが、全体的には中世の修道院の雰囲気を残していてムード満点だ。でも私たちにあてがわれた部屋は、あらたに付け加えられた新館だった。 左上の写真がライトアップされたレオンのパラドール。
パラドールに附属している教会があった。パラドールの内部を探検している時に、2階からミサをしている教会を見下ろすことができた。威圧的な祭壇も、見下ろすことなど失礼であろう神父さんも下に見えた(左)。たくさん教会を訪れたが、上から眺めたのは初めてだったので、訪れた教会の中でいちばん印象に残っている。 夕食はパラドールのレストランだった。みなさん少しオシャレをしている。私たちも少しマシな洋服を着た。パラドールでの食事だから期待していたのだが、チーズと生ハムの前菜・シーフードリゾットスープ・子牛のヒレ肉、フルーツサラダの食事は、この旅行中でいちばん味がよくなかった。ほとんどの人がそう話していたから、私の舌のせいではない。 8月26日(木)−7日目 レオンから西に約50`にあるアストルガという町に寄った。ローマ時代からの古い町だけあり、城壁の一部残っているし1417年着工の大聖堂もある。この聖堂の中で、巡礼姿のヤコブ像を見た。目指すサンチャゴはもうすぐなのだと思わせた。
(2012年6月16日 記) 感想・要望をどうぞ→ 次(巡礼の道)へ 北スペインの旅1へ ホームへ |