ポーランド・チェコの旅 12
フリータイム中のできごと

2003年8月15日(金)続き

 プラハの街角には、コンサートのチケット売りがたくさんいる。気に入ったコンサートがあったので、買うことにした。夫は「これが偽物の場合もあるよな。会場で買えば安全だ」など言い出す。添乗員がプラハの怖さを強調するので、こんな疑念もわいてくる。

 コンサート会場はプラハ城の中にある「聖イジー教会」(右)。午前中に、ロマネスク様式だと説明を受けた教会だ。

 朝から歩きまわっているので、さすがに高台の城まで歩く気力はない。タクシーに乗るのはつまらない。チケット売りの人が「マーネス橋を渡った所にトラム乗り場がある。22か23に乗ればいい」と教えてくれた。

 トラムの停留所で事件が起こりそうになった。地図を広げながら「22はこのルートだけど、23は曲がっちゃうんじゃないか。どっちかな」と話していたら、若者が近づいてきた。教えてくれるんだ・・と思った私は、地図上の王宮を示した。

 彼は「時計を見せてくれ」のしぐさをしながら、停留所の時刻表と比べている。その動作を繰り返すので、さすがに気が付いた。「あなた!この男危ないよ。離れた方がいい」。夫はあわてずに「もういいよ。自分で行くから」と動作で示した。

 夫は前面にポーチをつけているので、格好の餌食になる。ベトナムでやられそうになって以来、少々の現金しか入れていないが、盗られるのは嫌なことだ。向こうから接近してきたら、離れた方がいい。接触されなければ、被害にあわない筈だ。

 トラムに乗って気づいたのだが、車内では切符を売っていない。停留所にも売り場がなかった。そうこうしているうちに「王宮前」に着いてしまった。ヨーロッパの乗り物は、改札がない代わりに、見つかれば何倍もの罰金をとられることで有名だ。「無賃乗車のつもりはありませんよ」を示すべく、8コルナ(約30円)を握りしめていたが、検札はなく、行き帰りとも無賃乗車をしてしまった。

 王宮は、午前中ほどの混雑ではないが、ほどほどの人で埋まっていた。

 コンサート開始まで間があるので、ふたたび王宮内を散策。団体の時は見過ごしていたものが、見えて面白い。左上は中心広場に建つ像。ボヘミアの有名な王だと思うが、名前をメモしてこなかった。右上は、聖ビート教会に貼り付いていた妖怪。よく見ると、あちこちについている。どれも同じように見える教会だが、目を凝らすと、ワンダーワールドだ。

 左のプログラムでおわかりのように、曲目は万人向き。ヴィヴァルディの「四季」とモーツアルトの「小夜曲」。(左)。いくら音楽に暗い私でも、この曲なら知っている。

 弦楽四重奏の演奏をもいいが、会場もいい。こじんまりした教会で聴くのは初めてだったので、うっとりしてしまった。

 ちなみに代金は高い席で500コルナ。(約2000 円)。安い席は400コルナ。めったにない事なので高いチケットを買ったが、どこも同じようなものだった。

 1時間半の演奏を終えても7時。まだ太陽は高い。お仕着せ料理に飽きてきたので、サンドイッチ・果物・牛乳を買って、ホテルで食べることにした。

 添乗員が「絶対乗るな」と言う地下鉄に乗って、ホテルに戻る。地下鉄には切符売り場があったが、駅員はいない。自分で改札して乗車した。

 あれほど注意されて、万一パスポートを盗まれたり事件に巻き込まれたら、仲間や添乗員に何を言われるかわからない。少し緊張して乗り込んだが、車内は会社帰りの市民や旅行者と思われる人ばかり。珍しげに見られるわけでもなく、快適な車内だった。

8月16日(土)

 今日は一日中、自由行動である。郊外で行ってみたい地はたくさんあったが、プラハより西を目指せばボヘミアの神髄が分かるような気がした。

 名前だけはよく耳にしているピルゼンに行くことにした。ホテルのインフォメーションで行き方を聞いたが、係りが無愛想だったので間違っていると困る。旧市街のインフォメーションでも同じ事を尋ねた。

 両者とも、パソコンのキーをたたいてくれたが、出発時刻は同じだったので、まず間違いがないだろう。列車に乗りたかったが、バスの方が便利だと言う。

 地下鉄「フローレンツ」そばに、ピルゼン行きのバスターミナルがあると教えてくれた。

 「フローレンツ」までは、「ムゼウ」で乗り換えねばならないが、わずか12コルナ(約45円)。右の券売機を見ればわかるが、12コルナは高い方だ。

 左が自動改札。ひとつしかないということは、日本のように混んでいないのだろう。

 「ムゼウ」で「フローレンツ」行きのプラットフォームに移ったが、どうも様子がおかしい。着いた車両は戻っていく。

 わけがわからないので、駅員に「フローレンツ行きは?」と聞いた。英語は話せないようだ。「×××」とつぶやきながら、あらぬ方を指す。

 仕方なく別の女性に質問。地下鉄は動かないのだ・・というしぐさの後に、「ブス、ブス」と言ってくれた。そうか、地下鉄が来ないのでバスに乗れということか。

 バス乗り場まで5分も歩いたので心配したが、市内バスで「フローレンツ」に到着。早めに出たので、これぐらいのハプニングは大丈夫だが、帰りも開通していなかったのである。翌日、空港に出国業務で来ていた米長さんにこの話をすると「プラハでは日常茶飯事ですよ。特に去年の大洪水で車両が水につかってからは調子がよくない」と、こともなげだった。(2005年3月16日 記)

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