南イタリアの旅 3
 マテーラの洞穴住居

2006年10月5日(木)-2日目

卵城ポンペイからホテルへの帰路、ナポリのサンタ・ルチア港で停車。卵城(左)を遠目に見学した。ノルマン人が12世紀に建てた要塞で、城の基礎に埋めた卵が壊れると町も滅びるという伝説が名の由来になっているそうだ。卵を基礎に埋めたら、すぐ壊れるに決まっているじゃないかと思うが、突っこみを入れるほどでもない。

 サンタ・ルチア(聖ルチア)は、ナポリの守護神。歌詞は忘れてしまったが、最後の部分「サンタ〜ル〜チ〜ア〜」だけは口をついて出る。そのサンタ・ルチア港だけに、ほんのちょっとでも下車できたのはよかった。

ゴミの山 ナポリの治安の悪さは聞いているが、車の渋滞もすごい。運転マナーがなっていないから、渋滞に拍車をかける。ゴミも山積みされていて道路まではみ出していた(左)。歩行者は、ゴミを除けながら歩かなければならない。運転マナーの悪さ、ゴミの山積みを見ると、イタリアが先進国サミットの一員だということに異議を唱えたくなる。

 「ナポリを見て死ね」は、誰がいつ言ったものやら。あの明るくて伸びやかな「ナポリ民謡」とはかけ離れた今日のナポリだった。もちろん、天気が悪かったせいもある。<ナポリのニューヨーロッパ泊> 
   

10月6日(金)−3日目

海岸線 8時にホテルを出発。ナポリから東南約254キロメートルにあるマテ-ラに向かう。きのうとは打って変わった青空で、海岸線(左)のドライブに気分もはずむ。

途中通ったサレルノという港は、イタリアで4番目に大きい。一番はジェノバ、2番目はパレルモ、3番目はナポリ。

12時頃マテ−ラ南イタリアの旅1の地図参照)に到着。ここは、洞窟住宅群「サッシ」が残る町で、1993年に世界遺産に指定された。昼食後、ガイドのマリアさんの案内で旧市街を歩いて見学した。

 カルスト地形の谷間に洞窟を堀り、住まいを作った。洞窟住居群だから、町に色彩が乏しいのは仕方ない。最初は地下の部分にだけ住宅を作ったが、次第に外側にも作るようになった。地下は、換気も採光も入口からしか入らない。しかも、人間と動物同居して、部屋が隣り合わせの家だった。もちろん電気ガスもない。教会もたくさん残っているが、作りは住宅と同じようなものだ。

 人間と家畜が同居していることの衛生面が問題にされはじめ、イタリアの恥だということになった。1952年の法律で、23,000人が新しいアパートに移住させられた。

 ところが、世界遺産に登録されて観光客が増えるに従い、リニューアルしたサッシの家に戻ってくる人が増え、今は350家族が住んでいる。私達もその1軒に1ユーロを払って入ってみた。たしかに、馬と人間が同居していた痕跡があった。

洗濯物 洞穴住居群 映画「パッション」のロケに使われた坂
洗濯物もサマになる風景 カルスト地形に作られた洞窟住宅群は、色彩が乏しい 映画「パッション」で悲しみの道のロケに使われた坂

衛生面から住めなくなった住宅群が世界遺産になるや、見せ物になるのだから、おもしろい。映画の舞台にもよく使われている。新しいのでは「パッション」という映画で、イエスが十字架を背負ってゴルゴダの丘まで歩いた道・ヴィア・ドロローサ(悲しみの道)のロケに使われた。本当のヴィア・ドロローサはイスラエルにあるが、ロケには使えないのだろうか。(2007年10月2日 記)


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