中国シルクロードの旅 6
カラクリ湖

4月22日(金)−5日目

ウパール村を過ぎてしばらく走ると、検問所があった。パキスタンとの国境・クンジュラブ峠はもうすぐだ。どうやら、パキスタンに逃げる中国人を監視しているらしい。私たち日本人も、パスポートを集められて、じろじろ顔を見られた。国内の移動でパスポートを検査された経験はなかっただけに、なにやら気持ち悪い。

検問所の係員 パンを売りに来たキリギス族の子ども ブルンクリン湖

検問所は、海抜2450bの地にある。カシュガルは1300bだから、だいぶ高度を上げた。検問所付近は、雪山をかぶった白い山が輝いていた。これ以後カラクリ湖に着くまで、青い空と雪山の白のコントラストが続き、歓声を上げっぱなしだった。

3250bのブルンクリン湖で写真ストップ。周辺のパミール高原は、パキスタンから続いている。ヤクや羊がいて情緒満点だ。このあたりに住んでいるのは、キリギス族の遊牧民。およそ20万人いて、キリギスの小学校ではキリギス語の授業もある。私達が見ただけでは、ウイグルも、キリギルもカザフもわからない。「ウイグル族は、漢族とは結婚しないが、カザフ族とは顔が似ているので結婚してもいい」と、アブドさんが言っていた。顔が似ているから結婚が許されるというのは、妙な話だ。


パミール高原 3600bにあるカラクリ湖

目的地のカラクリ湖は3600bにあり、富士山の頂上と高度は変わらない。昨夜、アブドさんから「酸素が欲しい方は今日中に申し込んで」と言われた。富士山に登ったことがないので、3600bの空気の薄さがわからない。姉が若いときに富士登山をして高山病にかかったことを思い出して「保険のつもりで」と、1袋を頼んだ。

 値段は120元。1元は成田の両替所では15円だったから、1800円だ。カシュガルの人の平均月収が1200元。月収の10分の1の酸素を買ったことになる。いくらなんでも、ぶったくり過ぎやしないか。

その酸素は、大きな枕のようなものに入っていた。標高が上がるに連れて、パンパンになって、破裂しそうだ。「少し吸ってくれ」と言うので、酸素の量を減らすために、吸ってみた。実際には3600bでも、少し頭が重いかなという程度だったが、1800円を無駄にするのもバカらしいので、全部吸って、からっぽにして返した。

7719bのコングール山、7546bのムスターグ・アタ山の雪山に囲まれたカラクリ湖は、万年雪の雪解け水で満たされている。汚水とは無縁だから、神秘的なほど水がきれいだ。この湖に住む魚は小さい。酸素が少ないと大きくならないらしい。

 3600bに立派なレストランがあり、雪山と湖を大きな窓から見ながら昼食を取った。湖畔には、駱駝乗りを奨める人や、ネックレス売りもいて、3600bの高さといっても俗世界と同じだ。全員がキルギス族の遊牧民。

帰りも同じ天然マッサージ道を戻った。カシュガルとカラクリ湖往復の道には、ほとんどトイレがない。ブッシュや大きな石がある青空トイレがあり、相応しい場所で泊まってくれた。こういうことが我慢できない人には、シルクロードの旅は出来ない。考えようによっては、白い雪山を見ながらのトイレは、最高の贅沢かもしれない。

夕食は市内のレストランで。旅に出て5日目にして、はじめて飛行機に乗らなかった。カシュガルに連泊である。<カシュガル賓館  泊 >(2006年4月2日 記)

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