雲南・北部ベトナム少数民族街道の旅 3
 イ族・ハニ族・チワン族の村

2007年2月13日(火)−4日目

 バスの中で朝食弁当を食べた後に、勝村郷へ行った。イ族ハニ族チワン族が住んでいる村だ。手作り豆腐の店、解体したての肉を売る店、日用雑貨を売る店もある。イ族の家とチワン族の家を訪問した。前もって約束はしていないようだ。突然の訪問でも、拒否することもないし、カメラを向けても怒らない。

 女性は一生懸命働いているのに、男性はぼんやり座っていたり、竹筒でタバコを吸っていたり、おしゃべりに興じている。少数民族の男性は怠け者が多いらしい。無表情で地味な洋服を着ている男性に比べ、女性は衣裳も表情も豊かだ。

 ハニ族の村でバスを停めた。ハニ族の衣裳は上下とも黒で、わずかに青いラインが入っているだけだ。豚や鶏や牛が放し飼いなので、私たちの目の前を豚や牛や鶏が横切る。日本の農村も、以前はこうだったのではないだろうか。

次に向かったのは、イ族・チワン族の村。イ族の家とチワン族の家が並んでいた。少数民族は一般的には、同じ民族の人と結婚するから、家が近くでもイ族とチワン族は結婚しないのかもしれない。中国は一人っ子政策だが、少数民族は何人でも子供を持つことが許されている。

豆腐を切っている 談笑するイ族の女性 水運び
店先で、豆腐を切っている。 談笑しているイ族の女性イ族の衣裳は、刺繍がきれいだ。腰にもきれいな布がついている。ズボンは青色。 水運びも女性の仕事

竹筒でタバコを吸っている男性 牛の放し飼い ハニ族と豚
豆腐を作っている片隅で、タバコを吸っている男性 牛も放し飼い。 黒豚も放し飼い。ハニ族の衣裳は、黒に青い線が入っている。

 今までの旅の「民家訪問」は、売店を兼ねた民家や、実際は生活していない民家を訪ねる場合が多かったが、今回の旅には、「やらせ」がない。現地語に通じる建水のガイド劉さんが飛び込みで交渉する。旅行会社がなにがしかの謝礼を渡しているが、わずからしい。知らない家にズカズカと入り込み、写真を撮るのだから、かなり図々しい行為ではある。

ツアー仲間の○さんは「俺は退職しても年収が有り余っているから使い道がないんだよ。奥さんは亡くなったし子供は独立しているし。だから毎月海外に出ている」と、初日から公言していた。その彼は大の買い物好きで、露店や売り子を見ると必ず菓子などを買う。それを民家訪問のときに配って、子供や大人まで喜ばせている。そしてポラロイド写真を撮ってあげる。

 めったに日本人も欧米人も訪れない地域らしく、ポラロイド写真を知らない人たちの嬉しそうな顔を見ると、ズカズカと入り込んだ罪滅ぼしができるような気がして、○さんの存在はありがたい。子供たちにむやみに物を配ることが良いか否かは別問題だが。

ホテルに近い村を回っているので、昼食はホテルに戻った。その後、元陽の市場を自由に見学。昨日もぶらついているが、飽きずに又歩き回った。観光客以外は、売る人も買う人も民族衣裳を着ている。

元陽の棚田付近にいた母子 市場の売り子 市場で買い物する母子
元陽の棚田付近にいた素敵な母子(同行者の小松喜晴さん撮影) 元陽の市場の売り子。 元陽の市場で買い物する母子

 再び棚田見学へ出発。まず、せい口の棚田へ。土産を売る露店も数軒あるので、観光客が多いとみえる。ここで集合写真を撮ったときに、添乗員がバッグを足元に置き忘れた。のちに気づいて戻ったのだが、もちろんない。「○○元出すから」と値をつり上げても無駄だった。 

 次は猛品(もうひん)の棚田へ。元陽の棚田でもっとも有名で最大。昨日以来、何度も見ているのでさすがに飽きてきた。「どうせ同じような写真にしかならないわ」と、デジカメを押す回数も減ってくる。願わくは、黄色に色づいた収穫時の棚田と雪の棚田を撮ってみたい。<元陽の雲梯大酒店泊>

2月14日(水)-5日目

今日は高度1600mの元陽から、高度2000mの南沙・蔓耗を経て高度1300mの金平(少数民族街道の旅1の地図参照)まで移動する。距離は140kmほどしかないが、細い山道のうえ、数ヶ所の村を訪ねたので丸1日かかった。

まず、旱タイ族の村へ。旧正月が近いので、赤い札が入口に貼ってあった。赤ちゃんを負ぶっているのが、おばあちゃんと聞いて驚いた。どうみてもおばあちゃんにしては若い。まだ40歳だという。このあたりでは、10代の母親が多いので40歳のおばあちゃんでも不思議はないのだ。

旱タイ族の女性 正月用の赤い札 紅河沿いのバナナ畑
旱タイ族の衣裳。黒い生地に鮮やかな刺繍が映える。 旱タイ族の村の家では赤い札を貼って正月を迎える準備 紅河沿いの道の両側にはバナナ畑が続いている

この後、蔓耗まで紅河ぞいの道を走った。沿道にはバナナの木が続いていた。ときどき赤や黄色の木綿の木の花が咲いていた。紅河は、雲南省からベトナムまで流れる4100qもの大河である。

 「バレンタインデーなので、○さんからチョコの差し入れがあります」と添乗員が、別のバスに乗っている○さんのプレゼントを届けてくれた。彼は現地の人ばかりでなく、ツアーの仲間にもモノをくれる。私も、ピアス・爪切り・刺繍のバッグなどもらった。

昼食は蔓耗のレストランで。飛込みだったが、運転手・ガイドを含め26人もの食事をすぐ用意してくれた。その割には味も良く、バラエティに富んでいた。(2008年3月16日 記)

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