スイスの旅3
 ベルニナ線とサンモリッツ

2009年7月13日(月)-5日目

ルガーノを出発したバスは、国境を越えてイタリアへ。イタリア有数のリゾート地・コモ湖畔で休憩後、ティラノ駅スイスの旅1の地図参照)でベルニナ線に乗車した。ベルニナ線の名は、沿線の最高峰ピッツ・ベルニナ(4049b)にちなんでつけられた。イタリアのティラノとスイスのサンモリッツを結ぶわずか60.7キロの路線だが、ヨーロッパ最高の鉄道駅(2256b)や2328bのベルニナ峠を通る。

パノラマ車 ハイキングのお年寄り 氷河湖
ベルニナ線は全車両がパノラマ車。 元気にハイキングしているお年寄り。 沿線から見える氷河湖。

2008年に開通120年を迎え、世界遺産に指定されたばかりだ。森林から森林限界までの標高差1800b以上の地を同じレールで走る。氷河や氷河湖が続く車窓が評価されたのはもちろんだが、歯車付きのラックレールを使わない鉄道技術も評価されたという。

 車両は天井までのパノラマ車なので、座席に座ったままでも景色は良い。映像やパンフレットで見るベルニナ線は、ループ橋を回りながら赤い車両が走る。でもこんな景観は、車内からは見えない。そうは言っても、橋と赤い車両を撮りたくて、後ろの方に移動したり小窓が開くデッキに出てみたり、無駄な動きをしたが、結局はろくな写真にならなかった。

ティラノの看板ベルニナ線は、やはり開通120年の箱根鉄道と姉妹線だ。ティラノ駅にはカタカナでティラノと書いた木製の看板(左)があり、「寄贈 箱根鉄道」と書いてあった。帰国後の9月、箱根の登山電車に乗ったら、ベルニナ線の実物大の写真や、大きなカウベルが強羅駅に飾ってあった。

終点のサンモリッツまで行かず、途中のディアボレッツア駅で下車。大型キャビンの空中ケーブルに乗ること10分でディアボレッツア展望台に着いた。

ディアポレッツア展望台 展望台の高さは2978b。まだ雪が残っていたが、設置された温度計は15度を指していた。3000bでも寒くないのは、天気が良いからだろう。

 白い峰の連なり(左)が目に飛び込んできた。「あれがピッツバリュ(3905b)、ちょっと離れた右側に見えるのがピッツベルニナ(4049b)」と説明してもらったが、どれも似たような峰なのでわかりにくい。なかなか覚えられなかった。晴天とはいえ、油断すると雲が頂を隠してしまう。ここの雲の動きは速い。

 ロープウェイを下りてきたら、駅付近にはハイキングを終えた人たちがたくさんいた。私よりずっと年寄り夫婦が寄り添って歩いている。ベルニナ線に沿って、平坦なハイキングコースが整備されているらしい。歩きたいところだが、バスが迎えに来ていたのでバスでサンモリッツへ。歩いている人も多いが、自転車に乗っている若者も実に多い。ベルニナ線は、自転車に抜かれたこともあった。それほど遅い特急なのだ。<サンモリッツのローディネーラホテル泊> 

7月14日(火)-6日目

エーデルワイス

ホテルはサンモリッツ湖に近い。1時間以内で湖を1周できると聞いたので、食事前に1周してきた。周囲の山は朝靄に隠れていたが、湖畔に咲く花がきれいだった。日本でお馴染みの花もたくさん咲いていたが、みな色が濃い。スイスといえばエーデルワイスを連想するが、高山で見るチャンスは少ないそうだ。そのためかどうか、鉢植え(左)が店頭にあった。

午前中は2本のロープウェイを乗り継いでコルヴァッチ展望台に行った。1772bにあるホテルから、3303bの展望台まで上がってきた。ロープウェイからはサンモリッツの町や湖が見えて絶景だ。

 コルヴァッチ展望台は、きのう行ったディアボレッツア展望台とは、ベルニナアルプスをはさんで反対側にある。「ピッツベルニナが間近に見えます」と言われるが、どうも昨日見た形とは違う。富士山のように孤峰なら私のような者でも間違えることはない。あらためて「富士山ってきれいだなあ。どこから見ても分かるし」と思った。

サンモリッツ湖 ロープウェイ ゴルヴァッチ展望台
朝のサンモリッツ湖で釣りをしていた。 ゴルヴァッチ展望台へのロープウェイ ゴルヴァッチ展望台

展望台には1時間半ほどいたが、後半はまったく見えなくなった。その頃登ってきた日本人グループもいたが、お気の毒。ここで3303bの展望台に立ったという証明書をくれた。

午後は自由時間だったが、全員が添乗員と一緒にピッツネイルの展望台に行った。自由時間なので「ケーブルカーとロープウェイのお金がかかる」と言われていたが、ホテルが無料チケットを貸してくれた。ホテル料金に含まれているのだろうが有り難い。なんせスイスの物価は高い。

 ピッツネイルの展望台はコルヴァッチより少し低いが、それでも3030bある。午前中の後半、ガスってしまったことが信じられないぐらいの眺め。もうお馴染みなった白い峰が連なっていた。

 展望台から27メール登ると頂(3057b)に着く。頂まで登る人が少ないためか、高山植物がたくさん咲いていた。あとで調べてわかったのだが、ユキノシタ・グレッシャークロウフット・アルペンムーンデイジーなど。ほとんど緑がない瓦礫の中で咲いている高山植物は健気だ。寒さや強風を避けて咲いている花に、「がんばってるね」と声をかけた。

ピッツネイル展望台 高山植物 ハイジの映画に使われたセット
ピッツネイル展望台 健気に咲いている高山植物 ハイジの映画に使われたセット

再びケーブルとロープウェイで、チャントレッラという駅で下車。希望者はハイキングをすることになった。映画の撮影に使われた「ハイジ山の家」があり、道の両側には野の花が満開。「ハイジの花の道」というコースに相応しい散歩道だった。途中のboxの中に、アルプスの花ガイド日本語版が置いてあった。それだけ日本人が多いのだろう。

1時間ほどでサンモリッツの中心街のドルフ地区に到着。サンモリッツは高級別荘地だけあり、ブランド品の店が軒を連ねていたが、買物はパスしてホテルまで歩いて帰った。今日の夕食も自由食。またスーパーマーケットで調達。     <サンモリッツのローディネーラホテル泊>        (2011年4月2日 記)

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