チュニジアの旅 2
チュニジアの景観

 チュニジアの景観は、実に変化に富んでいます。色で表せば、青・緑・茶。見るもの、聞くもの、日本にはないものばかり。ある日はチュニジアンブルーに感激し、ある日はオリーブ畑の緑に目を奪われ、ある日は、茶色の砂漠の生活にどっぷりといった10日間を過ごしました。

 まず青の世界をご覧ください。首都のチュニスから17q離れた地中海沿岸にあるシディ・ブ・サイドの町並みです。

 白壁とチュニジアンブルーの組み合わせは、この町に共通なもの。あまりにオシャレなので、何度もシャッターを押してしまいましたが、写真を見れば、ほとんど同じ。

 左は窓枠。すかし模様の青い鉄枠が、下部で膨れています。この形には、謂われがありそうですが、聞きそびれました。
 
 勝手にイメージしていたチュニジアとあまりに違う洗練さに、驚きましたが、後に訪れた沿岸部の町も、同じようにきれい。ヨーロッパ人が、大挙しておしかける理由がわかるような気がしました。
 
 色を強調する写真を選んだので、上の2枚には人物が写っていませんが、町並みを楽しむ観光客は大勢いました。有名な「カフェ・デ・ナット」は、座る場所もないほどの混みよう。絨毯に座って、ミントティーを飲みまながら、ふと回りを見ると、西洋人に混じって、水タバコをふかす髭の男、スカーフをかぶった女性。やはりここはイスラムの国なのでした。

 次は緑の世界をどうぞ。両方とも、北西部にあるドウツガというローマ時代の遺跡。チュニスから106q南西に位置しています。もちろん世界遺産。

 ドウツガは、ローマ帝国時代には「ローマの穀倉」と呼ばれ、今でも、小麦、オリーブ、オレンジの産地。ここには写っていませんが、糸杉やコルクの木も多く、緑の沃野が、目に優しく映りました。

 円形劇場の観客席に座っている2人にお気づきですか?左側のリュック姿は盲目の日本人。右側は現地ガイド。盲目の方は、英語を流ちょうに話していました。私たちツアーのざわめきが聞こえたらしく「どこの国の人か」とガイドに聞いていました。ガイドは即座にJapanese!

 目が見えないのに、ひとり旅をしている日本人にも感銘を受けましたが、彼と腕を組みながら、一心同体で、周囲の状況を説明している青年のさわやかさが、心に残りました。遺跡の素晴らしさ、鮮やかな緑をどのように説明するのか、一緒に歩きたいと思いましたが、こちらもツアー。勝手な行動は許されず、「良い旅を!」など、簡単な会話を交わしただけで、別れました。

 ところで、「ここが緑なのは、冬だけだよ。夏は茶色」と、ガイドのMoez君が言いました。「え!そうなの。嘘でしょう」と私。

 そういえば、カリフォルニアでも同じような話を聞きましたが、日本人には、夏が茶色、冬が緑という世界は、想像しがたいですね。
 
 ローマ時代の遺跡は、ドウツガ以外に、たくさんあります。イタリアより、多く残っているとも言われています。別項で、詳しく書くつもり。アフリカの国に、なぜローマ帝国時代の遺跡が多いのか。不思議に思われる方は、チュニジアの1で地図を見てください、イタリアは目と鼻の先なのです。

 最後に、茶色の世界。南部は、ほとんどが、茶色の砂漠地帯です。だれもが知っているサハラ砂漠の一部。

 ベルベル人が住むタマズレット村にあるオアシスの写真です。おばあさん2人が、井戸水を汲んでいました。バケツにロープを結んだだけの素朴な井戸。写真撮影は断られましたが、アイコンタクトで、交流をはかりました。

 井戸水は驚くほどきれい。水が湧き出ているオアシスを見つけた昔の旅人は、どんなにか嬉しかったでしょうね。

 左写真は、セルジャ渓谷と観光列車「レザー・ルージュ」。レザー・ルージュは、赤いトカゲの意。小豆色の車体が渓谷をくねくね走るさまが、とかげに似ていることからの名です。

 セルジャ渓谷は、グランドキャニオンを小規模にしたような谷あいですが、車内にいても、岩肌が間近に見えるので、迫力満点でした。

 列車観光後、4WD車に乗り換えて、砂漠を疾走。パリダカに参加している気分になりました。この日は2002年最後の日。小高い砂丘で、最後の日没を見る予定でしたが、空はわずかに茜色に染まっただけでした。

 翌日訪れたマトマタも茶色の世界。映画・「スターウオーズ」や「イングリッシュペイシェント」のロケ地に使われた地。飛行機から見ると、月のクレーターのように見える穴倉住居で有名です。

 人それぞれの好みは違うので、押しつけるつもりは毛頭ありませんが、チュニジアはお奨め。10年以上前に「1度しか海外に行けないなら、トルコがいい」と、友人に触れ回りましたが、反応は冷たいものでした。でも昨今のトルコブームは、どうでしょう。何人もの友達が、トルコに行っています。チュニジアもいいですよう〜。(2004年1月17日 記)

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