チュニジアの旅 7
砂漠とラクダ


 サハラ砂漠入り口の町・ドウーズ(チュニジアの旅 1の地図)で、ラクダに乗ってきました。エジプトのピラミッド傍での初乗りに次い2度目。

 エジプトでは、ラクダの習性を知らされていなかったので、ヒヤッとしました。ラクダの背に座ったとたんにすくっと立ち上がるので、その素早さにびっくりしたのでした。2回目ともなれば、もう慣れたもの。

 エジプトでは5分足らずしか乗りませんでしたが、今回は休憩も含め1時間ほど。砂丘(右写真)まで行き、しばし休憩。又同じ道を戻るという単なるお散歩ですが、得難い経験でした。2003年1月1日。世界中の青空を持ってきたようなチュニジアンブルーのもとで、ぽかぽか陽気の新年を迎えました。

 私のラクダを引いてくれたのは、中学生ぐらいの男の子(左写真の顔を見せている子)です。フランス語が話せる人が、となりにいたので「このラクダが何歳か、この子に聞いてみて」と頼みました。それによるとラクダの名前はマールス。年齢は7歳。

 ラクダの歳を聞いていながら、彼の年齢は聞きそびれ。でも彼らがフランス語を話せることがわかりました。公用語はアラビア語ですが、フランス語もほとんどの人が理解しているとのこと。支配されていた国の言葉を拒否せず、いまだに学ぶ姿勢は、日本にはないものがありますね。

 仲間の話を総合すると、ラクダの性質はさまざま。ヤンチャもいれば、おとなしいのもいれば、荒々しい奴も。私のラクダ・マールスは総じておとなしいのですが、突如スキップするので油断はなりません。砂を防ぐために、カメラを奥にしまい込んでいましたが、それを取り出そうにも、突如動き出したら怖いので、しがみついていました。結局、ラクダの上からの写真は撮れず。 

 左写真は、同行者Tさんが送ってくれました。彼女のラクダは、おとなしかったので、乗りながら写しています。ラクダの性質もあるかもしれませんが、御者の性質にもよるのかなと思います。こちらは、かなりのお歳で温厚そうですもの。

 ナツメヤシが砂漠にぴったりの植物なら、ラクダは、砂漠にぴったりの動物。乾燥や暑さに強くて、粗食ですみます。ラクダが好きだという草にさわってみました。棘だらけで、思わず手を引っ込めてしまうほど。丈夫な舌と唇を持っているので、棘も平気。反芻を繰り返すことでよく消化出来るのだとか。

 睫毛が長く、鼻孔を自由に開閉できる習性も、砂嵐に会った時には好都合。水は一気に20gも飲むことが出来、しかもそれを胃に蓄えることが可能。水なしで150日間も歩けるそうですよ。なのに、1日に10gものミルクを出します。ミルクを出しながら、水は飲まないですむなんて、砂漠の人間にとって、ラクダは神サマ、仏サマですね。

 ラクダの利点はまだまだ。150〜200sの荷物も楽に運べるので、トラックが通れない道での輸送には、今でも使われています。糞は燃料になるし、ラクダのコートはもちろん上等品。寿命も20年と長生き。ただし妊娠13ヶ月で1頭を生むだけですから、子孫を増やす点では、効率が悪そうです。

 肉はもちろん食べます。市場では、毛や目がついたままのラクダの顔が店の目立つところにベロンと垂れていました。(左写真)

 ラクダ専門の肉屋を強調しているのでしょう。内蔵も分けて売っていました(右写真)。ガイドが「あれが心臓だよ」と教えてくれましたが、よくわかりません。ハート型ではありませんからね。

 ラクダの専門店は、ここ以外の数カ所の市場で見ましたが、ツアーの食事にラクダ肉が出たことはありませんでした。チュニジア添乗14回、学生時代にチュニジア人の家に泊まったこともある添乗員さんも「食べたことないんです」。こうなると、是非食べたかった。どんな味かしら。
(2004年4月15日 記)

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