ヴェネツアの旅3
2つの鐘楼・リド島・ゲットー・

2013年3月21日(木)-4日目

今日は一日中、フリータイム。絶好の日和で朝からテンションが上がる。添乗員のKさんが「2つの鐘楼に上るつもりです。ご一緒に行きたい方はどうぞ」と言う。フリータイムにはその2か所に行くつもりにしていたので、そこまで同行することにした。

まずサンマルコ寺院の鐘楼へ。朝早いので展望台行のエレベーターは待たずにすんだ。9世紀に見張り塔として作られたが、今は観光客に大人気。上るだけで8ユーロは高いなと思ったが、96mの高さからの四方の景色は8ユーロの価値は十分あった。

対岸の島・マッジョーレ島の修道院、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会と税関岬、オレンジ色の瓦の家並み、遠くには雪をかぶったドロミテ山脈。そして真下にはサンマルコ広場。広場が台形になっていることが分かる。大きな鐘も見える。よく見るとそれは時計塔の頂上にある鐘だった。

税関岬 台形のサンマルコ広場 時計塔の鐘楼
 
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会と
税関岬が見える


サンマルコ広場は
台形になっている

 
 
真下に見える大きな鐘は
時計塔の上にある鐘

次は2つ目の鐘楼に上るべく、水上バスでマッジョーレ島へ向かった。わずか数分で停泊所に到着。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会は、建築の巨匠、アンドレア・パラーディオの作。コリント様式の4本の円柱がある真っ白い建物は、対岸のサンマルコ広場からもよく目立った。祭壇の奥に鐘楼に上るエレベーターがある。ここからの眺望も5ユーロ払う価値があった。

 マッジョーレ島から本島



さきほどまで歩き回っていたサンマルコ広場や船着き場の様子が、手に取るようにわかる。ここで撮影した本島と背後のドロミテ山脈の写真は、見ていて飽きないのでしばらくの間パソコンのデスクトップに使っていたほどだ。

リド島添乗員と1日を共にする4人とはここで別れて、私たちはリド島に向かうことにした。本島をアドリア海から守るような位置にある細長い島。20世紀の初めまでは軍隊の基地だったが、リゾートの島として開発した人がいた。目論見は成功し、バカンス時期にはヨーロッパ各地から人が集まる。ヴェネツィア国際映画祭もこの島で行われる。

特別な水上バスに乗るのかとおもいきや、いつも乗っている1番線と2番線の片方の起点と終点がリド島だった。ここには、バスもタクシーも乗用車もある(左)。要するに運河に張り巡らされた水の都とは大違い。普通の観光地だった。白い砂と青い海が売りだというが、年寄には魅力はないので、街をブラブラした。

カフェ「フローリアン」あとで聞いたのだが、リド島に泊まる日本のツアーも多いそうだ。ホテル代が中心地に比べ安いし、ホテルが大規模なので使いやすいのだろう。

サンマルコ広場で水上バスを降り、アーケード街にある有名なカフェ「フローリアン」で一休み。1720年オープンの老舗カフェで、天井や壁は宮殿の1室かのような豪華なしつらえだった(左)。

広場に集まる人や鳩の群れや楽団の演奏を窓越しに眺めながらエスプレッソを飲んだ。6.5ユーロと少々高いが、この雰囲気でのお茶だからリーゾナブルともいえる。

映画「旅情」の橋次に水上バス「レッツオニコ」で降りて、映画「旅情」の舞台のひとつ、バルナバ橋(左)に行った。

数日間の恋人を演じたキャサリンヘップバーンと、ロッサナブラッティ。50年も前の映画なのに、いくつかのシーンはよく覚えている。ふたりが出会ったバルナバ橋側の骨董店は、今は別の店に変わっている。でも16ミリ撮影に夢中になり落ちてしまった運河は、そのまま。橋も修理中だったが映画のたたずまいを残していた。

次は再び水上バスに乗り「マルクオーラ」で降りた。ヨーロッパ最初のゲットー(ユダヤ人居住地)に行ってみたかった。地中海貿易で豊かになったヴェネツィア共和国は、財産を管理するためにユダヤ人を利用しようとした。カトリック教徒は金融業をやりたがらなかったからだ。

シェークスピアの「ベニスの商人」のシャイロックもユダヤ人。ムッソリーニの時代になってユダヤ人をあからさまに迫害し、四方を運河で囲まれた今あるゲットー地区に強制移住させた。「ベニスの商人」で思うのだが、以前はヴェネツアではなく、ベニスと呼んでいた。いつから変わったのだろう。

ゲットー今は何人ぐらいユダヤ人が住んでいるのかわからない。シナゴーグ(ユダヤ教会)もあるから、かなりの人数はいるのだろう。洗濯物が路地に干してあるなど、中心地とはあきらかに雰囲気が違う(左)。

観光客が少ないせいか、気の利いた店もない。中心地にある館と比べ窓の数が多い。天井が低い居室だと想像できる。運河に面した家の壁の煉瓦が崩れ落ちているなど、旅情をそそる景色ではある。

そろそろお腹がすいてきたので遅い昼食としてピザ屋に寄った。2種類のピザを注文したが、とても2人では食べきれない。半分は持ち帰り。

夕日次は4時半頃に「リアルト橋」で水上バスを降りた。この橋は長さ48m、幅22mと大運河にかかる橋の中で最大。橋の上から逆光のゴンドラを撮るもくろみで、夕日が沈む時刻をねらったのだ。

橋の付近は、サンマルコ広場と並び人が集まるところで、土産物屋やレストランが並ぶ。3月末でもこんな状態だから、これからのハイシーズンが思いやられる。1時間ほどいて逆光写真や夕日に映える運河(左)をたくさん撮ったが、出来はイマイチだ。

歩いてホテルまで帰ったが、私ひとりなら迷いに迷ったような気がする。ヴェネツイア旅行で集合時刻に間に合わなかった人の話はよく聞く。それほど細かい路地がたくさんある。            <ヴェネツイアのカ・アルヴィゼ泊>

                                                     (2014年4月16日 記)
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