イランの旅 2
成田からもうイラン

 イランの旅は、成田でのイラン航空スチュワードのアナウンスで始まりました。「ただいま航空機のドアが閉まりました。女性の方はスカーフを着用してください」。旅行会社からスカーフと長いコートを用意するように強く言われていましたが、テヘラン到着後でかまわないだろうと軽く考えていました。でも、成田からすでにイランだったのです。ちなみにイラン航空のマークは、ペルシャ帝国の遺跡・ペルセポリスに残る怪獣グリフィンの像。

 これ以後、ホテルの個室以外はスカーフをかぶり続けました。スカーフは寒さよけにもなるし、髪型も見えないので気楽。洋服もコートの下に隠れるので、これ又気楽。真知子巻きやらチャドル風などいろいろ楽しみました。もっとも訪れたのが冬だからいいものの、夏の汗ばんだ髪にまとわりつくスカーフは想像するだけでイヤ。

 旅行者の男性にはなんら規制がありませんが、イラン人のスチュワードはノーネクタイに詰め襟。のちにガイドのホセインに聞いたら「ネクタイはアメリカ的だから禁止」とのこと。ビジネスマンもテレビのアナウンサーもノーネクタイでした。それにしても、ネクタイがなぜアメリカ的なのかしら。

 男性にとってつらいのは、アルコール禁止。機内サービスもコーラ以外は、ノンアルコールビールのみ。夫によると「まあまあ」の味でしたが、その後イランのレストランで出された偽ビールは、とても飲めるような代物ではないらしく、彼は二度と口にしませんでした。機内のは日本製だからまだマシだったのかもしれません。「こんなことなら、隠して持ち込めばよかった」とぼやく殿方がいましたが、入国検査で万一見つかったら、没収どころかツアー全員の入国が禁止だそうです。あな恐ろしや。

 機内には更にイランが。なんと!祈りの部屋があったのです。イスラム国家のホテルの部屋には、メッカを示す矢印がついていますが、機内の部屋の矢印までは見損ないました。飛行中は方向が変わるから、どうするのでしょう。イラン航空にお乗りになる方は、矢印の有無を是非見てきてくださいね。

 まだまだ機内にはイランが。日本企業に勤めているとおぼしきイラン人と、日本人妻のカップルが大勢乗っていました。ほとんどが可愛らしい赤ちゃんを連れていますが、イラン人男性の甲斐甲斐しさをお見せしたいほど。おむつを替えたり、むずかる子をあやしたり。オヤ?と思われる方もいるでしょう。イスラムの男性が4人まで妻を持っていいことは日本でも知れ渡っています。一夫多妻が許されているくらいだから、さぞかしイランの男性は威張っているだろうと。でも現実はこんなもの。

 ビンラディンのような金持ちはともかく、庶民は4人もの妻を養う経済力はなく、ホセインは「僕などまだ1人もいませんよ。イランの女性は甘やかされているからイヤ。結婚するなら日本人がいい」とまで言い切ったのです。ホセインは日本に住んでいたことがある好青年。

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