イランの旅 6
世界の半分・イスファハン


 首都のテヘランペルシャ帝国時代の中心地・シーラーズ、イランイスラム世界最盛期の都イスファハンは、三大観光スポット。テヘランが東京に対し、イスファフハンが京都といえばわかりやすいでしょう。テヘランから南に約400q、テヘランとシーラーズの中間に位置します。「世界の半分」と形容されたほど繁栄したこの町は、サファビー朝のアッバース1世(1588〜1628)によって建設された都。写真は、彼の命により建てられた王族専用のモスク(イスラム寺院)です。

 サファビー朝と聞いてもピンとこないと思いますが、この国は641年にアラブが侵入して以来、一貫してイスラムの国。ウマイヤ朝、カズニー朝、サファビー朝、カジャルー朝、パーレビー朝とイスラムの王朝が続きました。ただし本格的なイスラム化はかなり遅く、シーア派を国教に決めたのは、サファビー朝の時。つまりサファビー朝はイランイスラムの最盛期です。当時の日本は、南蛮文化、豪華絢爛な安土桃山文化、元禄文化・・とかなり成熟した社会。中国やヨーロッパを見ても、「世界の半分とは何事だ」と言いたくもなりますが、お国自慢はどこにでもあることで。

 イスファハンのモスクとエジプト・トルコのモスクとの違いは、イスファハンのそれが、内部ばかりか、外壁やドームの屋根まで装飾タイルで覆われていること。外壁をタイルで飾るモスクは、中央アジア、イラン、アフガニスタンに限られるそうです。これほど中も外も豪華絢爛なモスクを目の前にすると、「世界の半分と形容しても、まあいいか」の気になってきます。

 
 イスラム教は偶像禁止なので、キリスト教寺院のイエス像、マリア像、聖人の像、仏教寺院の仏像のたぐいはいっさいありません。花や祭壇もないのです。その代わり、どの部屋もどの部屋も青、黄色、緑を基調にしたアラベスク模様とアラビア文字であふれています。花文、唐草文、幾何学文が混じり合い、リズム感あふれる模様の連続。圧倒されっぱなしでした。私のコンパクトカメラでは、アラベスクの素晴らしさも、この程度しか表現できず残念ですが。


 
色彩豊かなモスクを後にして、ふと周囲を見渡せば、茶色の山々と砂漠。青や緑で飾りたい気持ちが理解できるような気がしました。

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