イランの旅 8
ナン香るイランから

 
  
「ナン香るイランから」(三修社・2000年8月発行)は、羊の顔の調理法を教えてくれた川地恵理子さんが書いた本。12月2日未明、「イランの旅」をプロバイダーに送信後に一寝入りしたその朝、夫の運転で信州の温泉へ向かいました。立ち寄った軽井沢の銀座通りで、キャバブを店先で焼いているイラン料理のレストランを見つけたのです。「なんという偶然だ」と、ここで昼食をとることに。笑顔で迎えてくれたご夫婦・ハミドレザさんと恵理子さんに、「4年前にイランに行ったのよ。夜に街を歩いても安全だったし、皆とても親切だったわ。又行きたいの」と話しかけました。写真は、キャバブを削り取っているハミドレザさん。

 彼らはイランと日本の間を行ったり来たり・・のようですが、2001年夏に軽井沢にイラン料理店を開いたばかり。恵理子さんは美大を出ただけあり、この本にも楽しい挿し絵がたくさん描かれています。イランで生活した人にしかわからない、やさしい視点でこの国を紹介。大家族の中で大事にされた様子が、行間から伝わってきます。

 イラン人の家族思いを垣間見たのは、テヘランの空港に着いた時でした。「成田からもうイラン」で書いたように、機内にはイラン人と日本人のカップルが大勢乗っていましたが、彼らを出迎えるために、空港は文字通り黒山の人。黒い衣ながら、グラジオラスの花束を皆が手にしているので、それはそれは華やか。花束もさることながら、大歓声があがり、私たちが歓迎されたのかと、思い違いをしたほどです。

 店内の壁は恵理子さんが描いたイランの風景画やペルシャの織物で埋められ、まるでリトルイラン。二人のツーショットは、「次のホームページに載せたい」と、撮らせてもらいました。ランチメニューからパーティーメニューまでそろっているので、代表的なイラン料理は味わえると思います。私たちが食べたのは、ランチセットのドネルキャバブ、サラダ、ナン。

 食後にはチャイも。紅茶をチャイと呼ぶのは、他にエジプト、トルコ、イラク、北アフリカ、インド、ロシア、チェコ、スロバキア、ルーマニア、セビリア、ブルガリアなど広範囲。日本やイギリスで飲む紅茶と葉は同じですが、入れ方が違います。ロシアから伝えられたサモワールを使い、蒸気でチャイの色と香りを出す仕組み。もちろん軽井沢の店でもサモワールを使っています。サモワールを見たい方は「ペルシャン キャバブ」へどうぞ。カップは模様つきの赤いガラス製。「うん、これはチャイだ!」と、イランの喫茶店チャイハネを思い出してしまいました。暑いエジプトで供された熱いチャイも、忘れがたい味でしたよ。


 レストラン「ペルシャン キャバブ」の地図です。ホームページを読んで、イラン料理とイランに少しでも興味を持ってくださった方は、是非店に寄って、キャバブとナンを試してみてくださいね。水曜は定休日。営業時間は10時から21時まで。電話&FAXは0267-48-3980.。彼らは子育てと店で忙しく、パソコンまで手が回らないということだったので、頼まれもしないのに、宣伝のお手伝いをすることにしました。

 最後に恵理子さんに聞いた話を。「オモテとウラ」で、イラン人のほとんどは、隠れて酒を飲んでいると書きました。ガイドのホセインからの情報だったのですが、彼女の周囲では、誰も酒を口にしないとのこと。敬虔なイスラム教徒がいることに、なぜかホッとしました。

 「成田からもうイラン」で、機内の祈りの部屋天井に、メッカを示す矢印が付いているか否かを見てきてくださいとお願いしました。彼女が「方位磁石を持ち歩いている人が多いし、スチュワーデスにメッカを尋ねる人もいます」と教えてくれました。方向が変わるから、矢印などつけようにも出来ないわけです。そういえば、韓国の金浦空港のロビーで、絨毯を広げて突然お祈りをはじめたマレーシア人を目にしたことがあります。こんな場合も磁石で方位を調べるのでしょうね。

 イランで生まれ育ったハミッドレザ氏、彼と結婚した川地さん。この二人との思わぬ出会いで、イランがより身近になったことをお知らせして、「イランの旅」を終わります。
(2002年1月2日 記)

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