アメリカ西部の旅 2 (5月24日) 今回訪れたセコイアの森の2つの国立公園は、ヨセミテ公園に近い。同じカリフォルニア州にある(左地図)。 隣接しているので、2つに分かれている理由が分からない。ブライアンに聞けばよかったと今になって思う。キングスキャニオン公園は、1890年に誕生した2番目に古い国立公園だ。 ちなみに一番古いのはイエローストーン国立公園、3番目がヨセミテ公園だ。ブライアンはユタ州に住んでいるので、ユタ州にあるイエローストーンの素晴らしさをスマホで見せてくれた。行ってみたかったけど、お仕着せのツアーだから仕方ない。 40年前にヨセミテに行った時に、セコイアの森林にも寄った。でもこの2つの公園ではない。アルバムを見て「マリポサグローブ」だと分かった。左地図の赤い字で書いた地。マリポサグローブの印象が深かったので、併せて書くことにした。 中学の地理の教科書に載っていた写真は今でも覚えている。セコイアの胴体がくりぬかれ、自動車が通っている。「こんな大木がある国と戦争したって勝つわけないじゃない」と、中学生の私に衝撃を与えた写真だった。左はネットの写真。 この木に穴が開けられたのは1875年。トンネルツリーとして有名になったが、1968年に2度も落雷。翌年の1969年に大雪で倒れた。このトンネルツリーは、マリポサグローブにあったが、40年前に行った時には倒れた後だった。 人ばかりか車まで通れる穴を開けたが、こんな試みは、樹木にとっては害でしかない。当時は自然保護への関心がなかったことが分かる。 下の3枚は40年前のアルバムの写真をスキャンした。
さて今回訪れた似たような公園の南に位置するのが、セコイア国立公園。ここではシャーマン将軍の木が有名だ。高さ83.8m、根元の周囲は31.1m、樹齢は2300年~2700年。体積は1487㎥。体積が大きいことから地上最大と言われている。シャーマンは次に見る木のグラント将軍の部下だった。グラント将軍の木と世界一の座をめぐって論争になったが、体積が大きいことで世界一として認められた。木の名前とはいえ、部下の木が上司の木より大きいのも不思議な気がする。
北部にあるのがキングスキャニオン国立公園である。キャニオンの名の通り、深さ1630mの渓谷だがセコイアやレッドウッドなどの大木が林立している。この森のお目当てはグラント将軍の木。木の高さは81.7m。根元の周囲は32.8m。樹齢は1800~3000年。世界で3番目に大きいそうだ。グラント将軍はアメリカの南北戦争の北軍の将軍。後に大統領にもなった。グラント大統領というより、グラント将軍のほうが大木のネーミングにはふさわしいのかもしれない。 アメリカでは世界大戦などに加わっているが、南北戦争ほどの犠牲者(70万人死亡)は出ていないので、南北戦争が語られることが多い。いくら世界で最大とか3番目の大木と言われても、中学校の教科書挿絵とマリポサグローブの残像がある私には、さほど大きいとは思えなかった。 旅の参加者は60代から70代。その中でいちばん若い高松在住の岩田涼子さんが、始めたばかりという短歌をメールで披露してくれた。「セコイアに会いたくて、このツアーに参加したんです」と彼女は言う。「私は中学の頃から、セコイアの木に憧れていたのよ」と答えた。 ○ 迷ひなし天へと向かふセコイアの赤茶けた幹ただ静かなり 次(ルート66)へ アメリカ西部の旅1へ ホームへ |