アメリカ西部の旅 7 (5月27日) グランドキャニオンからラスベガスに向かう高速道路で、今回の旅で初めて渋滞に巻き込まれた。アメリカの3連休にあたっている。予定より少々遅れて夕刻にラスベガスに入った。4年前に泊まったルクソールホテルのピラミッドや、トランプの金ぴかホテルも車窓から見えた。相変わらず華やかで、砂漠の中にできた不夜城という印象は40年前も今も変わらない。
宿泊のホテル「サーカスサーカス」は中心部から少し離れてはいるが、辺りは場末の賑やかさを保っている。ルクソールホテルに比べグレイドが低いのだろう。こういう言い方はあまり好きではないが、ヒスパニック系の人が大勢泊まっていた。 ラスベガスのホテルのすべてにカジノの施設がある。レストランもみやげ物屋も子ども用の遊園地やゲームセンターもある。一歩も外に出なくても過ごせる仕組みらしい。今回のホテルは部屋でお茶を飲みたくても、湯沸かし器もついてない。だからカップ麺を部屋で食べたいと思っても、湯がないのだからどうしようもない。「レストランを使って」というスタンス。
ホテルの通路はとても幅が広いが、祝日の渋谷並みの混雑だ。私が抱いているホテルの概念とは違う。そしてこの混雑は深夜にも及ぶ。ベビーカーをひいた家族連れが、ホテル内のみならず夜中に道路を歩いているのには驚く。40年前には妹や私の子どもたち(幼稚園から小学生)が、夜9時過ぎにレストランにいても白い目で見られた。いくら3連休とはいえ、この変貌ぶりはどうだろう。 ラスベガスに限ったことなのかもしれないし、ヒスパニック系の移民が増えたからかもしれない。ブライアンは「ここはアメリカじゃないみたい」と言う。「早くメキシコとの壁を作って欲しい」など言う。「今回のドライバーはヒスパニックだけど英語をしゃべれる。でもまったく英語ができないドライバーと組んだこともあるんだよ」と言う。「僕はトランプの行動や言動には疑問を持っているが、ヒラリーより100倍も好きだ。オバマケアで僕は保険が倍になったんだよ。ろくに働いてない人に回ってる」。 ブライアンはガイドにありがちな無難な受け答えをせず思ったことを口にする好青年だ。実年齢は51歳だから青年ではないのだが、話の面白さや率直さがまるで青年だ。その彼が「トランプはヒラリーよりずっと良い」と公言する。アメリカという国の複雑さはとうてい私たちには分からない。他国の人が口を挟むことではないのだと、ブライアント過ごした7日で感じた。 ブライアンの父親の祖先はドイツから、母親はノルウェーからの移民だ。自分たちも移民じゃないか、そんなこと言うならアメリカ人のほとんどは移民じゃないかと言ってやりたいが、彼らが言う移民は主にメキシコなどから流入する不法移民のことだ。 ところでカジノだが、24時間オープンしている。こんな施設が日本にもできる法案が国会を通過した。写真を撮らないでと注意されているので写してはいないが、やっている人たちの目つきは決して楽しそうではない。なにやら必死の形相だ。一日中オープンしていれば、依存症になっても不思議ない。もちろん両替所もホテル内にある。 アメリカは州ごとに法律が違うので、カジノが許されているのはラスベガスがあるネバダ州などいくつかに限られている。ちなみにギャンブルが合法化されているのは、ネバダ以外ではコロラド、イリノイ、インディアナ、アイオワ、ルイジアナ、ミシガン、ミシシッピ、ミズリー、ニュージャージー、サウスダコダ。この中でラスベガスがあるネバダの施設は飛びぬけて多い。 (2018年10月16日 記) 感想・要望をどうぞ→ 次(サンディエゴとモルモン教)へ アメリカ西部の旅1へ ホームへ |