香港・マカオ・深圳・広州の旅 3  
  

2019年3月4日(月)-2日目

香港市内観光の続きを書いている。香港の「紅ハム駅」から「羅湖駅」へMIRという鉄道で移動した。香港すべてが、賑やかな都市部なのだと勝手に解釈していたが、この鉄道に乗ったことで、香港にもほとんど人家がない緑豊かな地があることを知った。

羅湖駅は国境の駅だ。国境の駅と聞くと旅心がわいてくるものだが、そういう寂しさはない。きれいだなあと感心しながら国境を歩いて越え、中国の深圳へ。陳さんと一緒だから良いようなものの、出国時も入国時も、厳しいパスポート検査や書類を書かねばならない。荷物チェックもある。空港と同じだ。これを自力でやるとなると旅の達人になるしかない。
ここに限らず、わずか4日間の旅で、何度パスポートを出し書類を書いたことか。日本の場合は新幹線も飛行機の国内線もパスポート検査はないが、ここらは国境が入り乱れているので面倒くさいことこの上ない。

 
香港MRIの車内  紅ハム駅から羅湖駅へ


羅湖駅から歩いて国境越え 深圳へ
 

今日の検査は短かったそうだ。中国の深圳ではガイド王さんが待っているはずだが、いない。少し遅れた王さんが「いつもすごく待たされるんです。今日はとても早かったので遅れてしまいすみません」と誤った。香港から深圳まで同行した陳さんとはお別れ。

王さんははきはきしていて優秀なガイドだった。「中国の女性は強いですよ」と言う。「あなたもそう?」と聞いたら「もちろん」と笑顔が返ってきた。

4時頃にマイクロバスで出発。私も夫も深圳も次に行く広州も初めてだ。「北上広深」と言われる経済が発展しているビッグ都市は北京・上海・広州・深圳だが、初訪問ということもあり楽しみだ。

王さんは「深圳は1978年に経済特区になりました。経済特区は土地税がかかりません。工場誘致しても税金がかかりません。資本主義の原理を取り入れてテストしているんです。だから2~3万人しかいなかったのに、今は2300万人もいます。平均年齢が32歳と若い街です。若者ばっかりですよ。私(中学生の一人娘がいる)なんか年寄り扱いです」と笑わせる。

「新しく出来た町だから、中国全土の出身者がいます。私は大連からきました」

「どうして北国から南へ?」

「大連には良い職が得られませんから」

「日本の企業はどの程度進出していますか」

「サンヨー電気などですね。日系メーカーは少なくなっています」と。サンヨーはパナソニックに合併されたから、彼女の説明は正しくな。いずれにしても寂しい話を聞いた。

「深圳には土地成金がたくさんいます。日本の凸版印刷は撤退するときに土地を売ったので儲かったはずです。土地成金でなくても運用が上手な友達はマンションを数室所有していて、家賃だけで食べています。私は夫とふたりで働いても楽じゃないです。物価が上がる割りに給料は上がらないんです。安い時に投資マンションをたくさん買っておけばよかった」とかなり悔しそうだ。

株価の乱高下などに振り回されながらも、「習近平主席の政策は良い。ほとんどの人は彼には期待している」と言っていた。後で考えるともし習体制に不満があっても、旅行者にそんなことは言えるはずがない。なんといっても。監視社会なのだから。

垣間見た深圳は緑が多い近代都市。地下鉄も走っているし、住み心地は良さそうだ。同じ中国でも小数民族が住む山奥の人たちの貧しさが、ふと頭をかすめた。上の写真は車窓から市内。

さらに王さんの説明は続く。「世界一広いゴルフ場もあります。そこにはキャディが300人もいるんですよ。世界一といえば、世界一の電気街もあります。平均気温は22度ぐらい。7~9月は暑いですが、まあ過ごしやすいですね」

深圳は寒村だったので、史跡や歴史ある寺などはない。新しく作られたミニチャイナ・中国民俗文化村を見学することになっている。「作られた村なんか見たくない。発展している街並みを見たいなあ」と一応言ってみたが、あらかじめ日程に組まれているものを無視するはずもなく、ここの観光に2時間を費やした。


 
民俗文化村の入り口 ど派手

 
北京の紫禁城のミニチュア
 
少数民族村の女性

 
人工の桃の花

とても広いので園内バスに乗って見学。ミニチャイナは、万里の長城や北京の紫禁城など中国の主な観光地の建物を縮小して復元している。想像していたように、おもちゃのような建物など見るに忍びない。

遠目にピンクの桃の花園が見えた。「きれいだな。でもなんだかオカシイ」と近寄ってみると、人工の花だった。こんなことしなくても、蕾ぐらいにはなっていたのではないか。侘びさびの世界からは程遠い偽の桃源郷だった。王さんに悪口を言うわけにはいかないので「この花は雨のときどうするの」と聞いてみた。「雨が降っても色落ちなどしないんですよ」と少し得意げだった。他の季節にはどんな偽の花園が出現するのだろうか。

 
日本語の説明はないが、こういった字幕は出た

 
衣装も踊りも見事
 
国家形成の物語らしい

 
光の演出は垢抜けている

夕食は村内のレストランで四川料理。夕食後はナイトファンタジーというショーを観賞した。質が高く楽しめるものだった。説明は中国語だけだから各シーンの意図などわからないのだが、サーカスもどきショーもあり、楽しかった。ホンモノの馬や羊が舞台を駆け抜けるサマは良かった。よく訓練されている。  <深圳の富臨大酒店泊>
                      (2019年7月16日 記)

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