カンボジアの旅5 
  

2004年1月1日(木)-5日目

アンコール・ワットの初日の出を見るために、4時半起き。5時にホテルを出発した。ホテルからアンコール・ワットまでは近いが、日の出を見るための良い場所を確保するための早起きだ。

前々日歩いたと同じ西参道を歩く.。足下は暗いが空には無数の星がきらめいている。いちばん良い場所だという回廊に座って、日の出を待つ。誰でも考えることは同じだから、続々と人が集まってくる。添乗員が、お屠蘇がわりの日本酒を紙コップについでくれた。みんなでカンパーイ。

いちばん良い場所と言ったが、私が座った所は、5基の塔がはっきりしない。2つが少し重なっているからベストポジションではなかった。 観光写真で見るアンコールワットの日の出は、5基の中央から太陽が上がっている。でも、この景色は3月と9月の2回しか見られないそうだ。初日の出は、5基の塔からだいぶ右にあがった。途中はなにもないので、おさまりの悪い写真だ。でも今年初めての日の出は神々しかった。




ホテルに戻り、いつものようにビュッフェスタイルの朝食。ここの朝食は毎日代わり映えがしないが、目の前で作ってくれるオムレツだけは、手つきもいいが味もいい。今朝は添乗員手作りのお雑煮が出た。手製と言っても、永谷園のお茶漬けの素に餅を入れただけだが、お屠蘇やお雑煮の振る舞いに感謝。U社の添乗員は、よけいな仕事をさせられて大変だ。

今日も一日中、近郊の遺跡めぐりだ。贅沢を言うようだが、毎日寺の遺跡を見ていると、少々飽きてくる。たとえば、奈良の1日目に東大寺と法隆寺、2日目に唐招提寺と薬師寺、3日目に他の寺を回るようなものだから、「又か」の思いがこみ上げる。

北へ約40キロのバンテアイ・スレイへ。ここは、アンコール・ワットと共に、今回ツアーの目玉だ。967年に造営。シバ神とヴィシュヌ神に捧げられたヒンズー教寺院。女の砦という意味を持つ。なぜ女の砦なのかわからないとロタ君は言うが、他の寺院に比べ繊細で優しい感じがする。周囲も400bと小さい。ここからついたのではないか。

 
女の砦と言われるバンテアイ・スレイ

 
彫刻が繊細で美しい
 
女神像はあちこちにある

左とは別の女神像

 

石材は、紅色砂岩とラテライト。ラテライトは地中表層部に近い所からとれる紅土から作られる。鉄分が大気にふれると硬化し、硬質の土になる。屋根には煉瓦も使われている。今まで見てきた遺跡と違って赤い。

ここの彫刻群は、他の遺跡にくらべ、芸術的に優れている。彫りも深くて繊細だ。なかでも「東洋のモナリザ」と呼ばれているデバータ(女神像)は、フランスのアンドレマルローが23歳の時に、勝手に持ち出そうとして、捕まったことでも有名だ。

旅行会社の事前のガイドには、「東洋のモナリザ」はロープが張ってあり、近づけません。望遠鏡でごらんくださいとあった。(注 2004年の情報)。

この日のために望遠鏡を持参したが、「東洋のモナリザ」は、間近で見えないだけでなく、外側からは見えないのだ。案内書は正確に書いて欲しいものだ。

4年前に来たOさんは「触っても良かったのよ」と言っていた。観光客が増えるにつれて、立ち入り禁止箇所が増えることだろう。東洋のモナリザは、写真では何度も見たし、ほとんど同じような女神像はここに18体もあるという。それは見ることができた。

左は写真集にあった「東洋のモナリザ」


農村訪問
遺跡だけでは変化がない。20分ほどだが、1件の農家に寄ってくれた。でも、ここは観光コースに入っているらしく、農家の人もびっくりしない。それが証拠に、物売りは寄ってくるし土産物を並べている店も出ている。
高床式の家の奥は、これぞカンボジアの農村と思える光景だった。椰子の木のそばに牛がいる、はだかの子供が駆け回っている・・。少しの滞在だったが、この風景に接したことは、今度の旅のベスト3に入る。


レストラン「SAM PEAP」で昼食。カレースープ、空心菜の炒め物、チキンとカシューナッツ、小エビとグリーンペッパーの炒め物、焼きそば、カボチャのプリン、アモック、ぎょうざ

ホテルで小休止

午後は、大回りコースの寺院を訪ねる。

プリヤ・カン
「聖なる剣」の意味を持つ。ジャヤヴァルマン7世が、1191年に、チャンパとの戦勝記念に建てた仏教寺院。王の父の菩提寺でもある。ギリシャ神殿のような柱を持つ2階建て。

 
ギリシャ神殿のような柱を持つプリヤ・カン
 
プリヤ・カンの内部


ニャック・ポアン
「からみあう蛇」の意を持つ仏教寺院。2匹の大蛇が巻いている祠堂が中央の池にある(左)。

乾期の今は水がないが、雨期になり中央池に水がたまると、水は樋を通して4つの小池に出る仕組み。4つの樋口は、象・馬・ライオン・人間の形をしていた。治水の技術が発達していたことが分かる。

この遺跡で、ノートにスケッチをしたり、かたわらに教科書らしきものを置いている知的な少年がいた。遺跡のまわりには、観光客目当てに、キャンディーをねだる子、何をするでもなく、ついて歩く子、遊び回っている子などさまざまだが、モノを書いている子は初めて見た。使いかけの鉛筆をあげたら、にこっと笑い、それを使って文字を書き出した。こんなことなら、余っている鉛筆やペンを持ってくるのだった。


プノン・バケン
アンコール聖山のひとつ。頂上からアンコールワットが、かすかに見える。バスを降りてから、15分ほど山道を登る。希望者は象での散歩が可能だが、値段が高い(往復で25ドルもした)うえに、むしろ象の背中の方が怖そうだ。時々象とすれ違う。のっしのっし降りてくる象に出会うと、一瞬身を引いてしまう。象の落とし物は、身体に比例して、とても大きい。

ここでは寺院そのものは見ない。平原に沈む日の入り見学が目的だ。今日は日の出に始まり、日没まで、忙しい一日だった。

ここも各国の人たちで、立錐の余地もなかった(左)。ちょうど地平線に沈む時は、雲がじゃまをしてしまったが、途中までは大きくて赤い夕日が空を染めた。

下る時には暗かったので、ねんざしやすい私は、一歩一歩確かめながら降りた。

夕食はレストラン 
<シェムリアップのシティアンコールホテル泊>
     (2019年(16年遅れ)5月2 日記)


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