ローマの旅3 
 

若い時に知っているイタリアの画家といえば、ルネサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロやボッティチェリだった。教科書で見慣れていた彼らの作品を現地で見た感動は忘れられない。

今回はカラヴァッジョ(1571年から1610年)の作品をたくさん鑑賞した。ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョという。カラヴァッジョは生まれた村の名前だ。レオナルド・ダ・ヴィンチもヴィンチ村で生まれた。生まれた地が高名な画家の呼び名になっていることに驚く。カラヴァッジョは、ルネサンス期に続くバロック期の画家である。

去年2016年には東京の国立西洋美術館でカラヴァッジョ展が開かれ、大盛況だったと聞いている。カラヴァッジョの作品は多くないのに、11点も展示されたそうだ。

最初にカラヴァッジョの作品を見たのは、マルタ島の聖ヨハネ大聖堂の付属美術館宮殿だった。日本人ガイドが、カラヴァッジョの絵「洗礼者ヨハネの斬首」(左)の前で作品の由来を語ってくれた。

才能に恵まれパトロンもいたのに、素行には問題があり殺人をおかしてローマを逃げ出さねばならなかった。逃げたマルタでも次のナポリでも乱闘騒ぎを起こしたが、殺人の罪の許しを得るためにローマに戻ろうとした。その途中で刺されトスカーナの港町で命を落とした。38歳の若さだった。

ボルゲーゼ美術館は6点、カピトリーナ絵画館は2点、バルベリーニ絵画館は3点のカラヴァッジョ作品を所蔵している。この3つはガイドのガブリエルさんの案内で見た。彼女が大好きな画家ということで説明にも熱が入った。



下は今回の旅で見ることができたカラヴァッジョ作品の一部。自分で撮ったもの、パンフレットをスキャンしたものなど、いずれにしても質は悪いので、雰囲気だけでも味わって欲しい。

     

ボルゲーゼ美術館
「バッカスに扮した自画像」 

ボルゲーゼ美術館
「果物籠と青年」 


ボルゲーゼ美術館
「聖ヒエロニスム」 

ボルゲーゼ美術館
「馬丁の聖母」
 
     

バルベリーニ美術館
「ナルシス」

バルベリーニ美術館
「 ホロフェルネスの首を斬る
ユディット」

 

カピトリーナ絵画館
「洗礼者ヨハネ」または「イサク」 
 
ポポロ教会
「聖パウロの改宗」

他にフリータイムで行った「ポポロ教会」でも2点見て、カラヴァッジョ漬けという数日を過ごした。だからと言って、私がカラヴァッジョのファンになったかというと、そうではない。でも、ルネッサンス期の宗教画の常識が覆された写実画(キリストの裸体、娼婦をモデルに)は、一度見たら忘れられない。


 

ローマはバロックの都とも言われる。もちろん紀元前から続いている都だが、今見ている彫刻や広場のほとんどが1585年のシクストウス5世の都市計画によるものだ。彫刻家といえばミケランジェロしか知らなかったけれど、今回の旅で、ベルニーニとボッロミーニの名前を何度も聞くことになった。

ミケランジェロは1475〜1564のルネッサンス期に活躍したが、ベルニーニは1598〜1680、ボッロミーニは1599〜1667とバロックの彫刻家だ。2人は同じ師についていたので、ナヴォーナ広場、サンピエトロ広場、バルベリーニ宮など共同で関わったものもたくさんあるが、師の死後は別の道に進む。芸術家にありがちな話だ。2人がかかわった広場はいずれも「ローマ必見大スポット」になるほど有名だ。

ガイドと一緒でなければ、絶対に行かないだろう2つの教会はベルニーニとボッロミーニの代表作。この2つはすぐ近くに建っている。ベルニーニのはサンタンドレア・アル・クイリナーレ教会。「自分の代表作」とベルニーニが語っている。狭い土地しか与えられなかったので、普通の教会の常識を破って奥行きより幅が広いが、内部に入ると狭さは感じない。見事なバロックの装飾の圧倒される。


   



ボッロミーニが手掛けたのは、サン・カルロ・アッレ・クアットロフォンターネ教会。」これもボッロミーニの最傑作と言われる。ここも敷地が狭かったので、設計上いろいろな工夫が見られる。楕円形のクーポラが珍しい。

         (2017年9月2日 記)

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