スリランカの旅4 
 

2015年8月29日(土)-6日目

キャンディから38q離れたピンナワラに行った。ここはジャングルで怪我をしたり親と離れた子象を保護している象の孤児院だ。政府が1975年から孤児院にして約100頭いる。孤児院という名前だが、ここで育って親になった象もいる。子どもも生まれているから、孤児の象は何頭いるか分かったものではない。当初の目的は、保護だったかもしれないが、今は大勢の観光客がつめかける一大スポットだ。

でも生まれてこのかた100頭もの象の集団を見たことがないので、ここの見学は面白かった。特に生まれて数ヶ月という子象が、大人の象に常に守られている様子が可愛らしくて、何枚も写真に収めた。

 
親のいない象にミルクやり


 生まれたばかりの象が守られている
 
川に行進する時も守られている

 
象の水浴び

 
川でも子象は守られている

 
身体を洗ってもらい気持ちよさそう

今年の3月に南部アフリカでサファリに参加した。その時も親子3頭や6〜7頭が群れになっている姿をキャッチできた。孤児院象は自然界でないというのが残念ではあるが、100頭の迫力には適わない。

決まった時刻に近くのマーフィア川に水浴びに行く。土産物屋などが並ぶ一般道路を川まで移動するのだ。象にとっても暑い時の水浴びは気持ちが良いのだろう。足取りも軽やかに川に入っていく。川の浅瀬に座り込むような形で全身を洗ってもらっている象もいた。日を変えて順番で洗っているそうだ。

マティスさんは「スリランカ全体では3万頭の象がいます。寺などで飼っているのが600頭で、それ以外は野生」と説明してくれた。ペラヘラ祭りの象は行進に慣れていなければならない。お目がねにかなった象が各地の寺などから集められ、祭りが終わるとそれぞれトラックで帰っていく。「1頭は2000万円もします」と彼は付け加えるが、2000万円は本当だろうか。

日本の中古車が300万円ぐらいで人気があるというが、それに比べて象の値段は高いものだなあ。

商店街の一画に象のフンで作った紙製品を売っている店があった。象は草食動物なのでフンもほとんどが繊維。その繊維をドロドロになるまで煮て、紙すきをする。和紙は楮やミツマタを原料にしているが、スリランカでは象のフンが原料だ。究極のエコ精神に感心して記念に小箱を買った。左は箱を上から写したもの。象のフンが原料ということで話の種にはなるだろう。



バスが高度をあげると茶畑が見えてきた。一昔前の日本では、紅茶といえばセイロンティーだった。セイロンティーは、150年ほど前にイギリス人が大規模なプランテーションを作ったことに始まる。茶摘みの労働者として南インドからタミル人を連れてきた。その子孫が今でも茶摘みを担っている(左)。

いまだに手作業で茶摘みをしているのは、彼女らの職を奪わないためだという。茶摘みを少し見学したが、貧しさのオーラが出ていて、見ているのが切なかった。

昼食後、ヌワラエリヤの紅茶工場の見学。試飲のあとはお定まりの売店へ案内される。スーパーに比べ何倍もするが、紅茶の味が分かる人の土産に一番高い紅茶を買ってみた。その後はヌワラエリヤの街をそぞろ歩き。この街はスリランカでいちばん標高が高く1880m。2日目と3日目の暑さが嘘のように涼しい。植民地時代にイギリス人がたくさん住んでいたので、イギリス風の建物も残っている。今はスリランカ人の避暑地にもなっている。この日も大勢の人がそぞろ歩きしていた。

60qぐらい移動してバンダーラウェラに着いた。イギリス人用に作ったコロニアルホテル。外観はステキだがベッドが高くて不自由だった。  <バンダーラウェラホテル泊>

8月30日(日)-7日目

朝早くアザーンで目を覚ました。「特にイスラム教徒が多い街ではない」と言うが、シンハラ人やタミル人から文句は出ないのだろうか。出発前にホテル近くにあるモスクに行ってみた。ひとりの男性が熱心にお祈りしていた(左)。

いつものように8時半にホテルを出て、ヤーラ国立公園に向かう。途中でウバの茶畑やラワナ滝を見学。スリランカには滝が530もあるという。滝が多いという地形からか、スリランカの電力は火力が59%、水力が40%、風力が1%。原子力0は羨ましい。

宿泊するティッサマハーラーマーのホテルで昼食をとった。とっくり椰子で囲まれたロッジ式ホテルだ。広さも設備も良い。入室すると良い香りがした。「今まででは最高だわ」とはしゃいでいたが、夜に裏切られた。風呂は水しか出なかった。たっぷり湯が出た部屋もあったらしい。

2時半にジープ2台で出発。ガタガタ道を40分走ってヤーラ国立公園スリランカの旅1の地図参照)の入り口に着いた。入場料を払いサファリが始まる。仏教の国、紅茶の国程度の知識しかなかったスリランカで、サファリが出来るとは思いもよらなかった。この旅行社のツアーを選んだのは、日程表に「早朝サファリ」と出ていたからだ。

3月にアフリカのジンバブエに行ったときは日中のサファリだった。「動物が多いのは早朝」と聞いていたので今度は早朝ツアーをと意気込んでいたが、午後の予定が何もないので、今日の午後に行くことになった。「約束が違うじゃない」と少々不満だが仕方ない。

 
スリランカでは牙のある象は珍しい
出会えたのはラッキーらしい

 
スリランカの国鳥孔雀
スリランカ航空の制服も孔雀柄

公園に入った途端、長くて立派な牙のある象に出会った。「国立公園全体でも牙のある象は10頭しかいません。ラッキーでしたね」と強調する。そう言われれば、孤児院にいた象には牙がなかった。幸先は良かったが、他の動物との出会いはたいしたことなかった。刺のある細い木に食らいつている象を見た。草や木の葉しか食べないのかと思ったが、刺も平気なことに驚いた。ワニは数頭見かけたが、周囲と同化しているので絵にならない。思わぬ収穫は孔雀。羽は広げてくれなかったが、数羽かたまっていると綺麗だ。考えてみるとスリランカ航空の女性の服装は孔雀柄。国鳥も孔雀だ。結局3時間近く公園をさまよったが、美しい夕日にも動物の大群にも出会えなかった。

むしろ印象に残ったのは、サファリの途中でスマトラ沖地震による津波の現場を見たことだ。2004年12月25日に起きたスマトラ沖地震で、スリランカでも5万人の犠牲者が出たという。「津波がこの高さまで来た」という波型の板が建っていた(左)。

国立公園内で海にも近いのでここにはホテルが建っていた。ホテルごと流されてしまい、日本人ツアー客の犠牲者も出た。高いヤシの木に登って助かったホテルの従業員は、貴重な語り部になった。スリランカでは津波初体験だったそうだ。

 <ティッサマハーラーマーのチャンドリカホテル泊>

    (2016年2月2日 記)


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