ポルトガルの旅 4
イワシの炭火焼き ナザレ

 ワイン、カステラに続き、今回も食べ物。ナザレ名物「イワシの炭火焼き」について、お話します。ナザレと言うと、イスラエルのガリラヤ地方の小さな村が本家本元ですが、ポルトガルにも、同じ名前の町があります。

 右写真は、裏町の道路際で見た炭火焼き風景。皿には生きのいいイワシ。左のコンロからは、もうもうと煙が。小さな港町ナザレのホテルでとったディナーは、イワシの炭火焼きでした。

 こんな庶民的な食べ物を「ナザレ名物・イワシの炭火焼き」と名乗るなどおこがましくないのか・・と思うものの、肉と干しダラ加工品ばかり食べてきた身には、ことのほか美味しく感じました。「あつあつのご飯と醤油があればねえ」と、つぶやきながらも。

 ナザレは漁村として有名です。ガイドブックには、「海を眺める漁師の後ろ姿」が、詩的に写っていました。私もこんな写真を撮りたいものだと、張り切って海岸を散歩しましたが、訪れた時は真夏。パラソルと海の家ばかりで、寂しい港町を思わせる景観は皆無でした。左は、高台から見下ろしたナザレの海岸。小さいゴミのようなものは人、人、人。
 
 海岸で裏切られたナザレは、裏町を散歩することによって、ワクワクするものになりました。この光景を目にしただけで、ポルトガルの旅は二重丸です。細い露地には洗濯物がひるがえり、かたわらの路上ではイワシ焼き。民族衣装のおばあさんは、おしゃべりに夢中。

 右写真は、もの思いに耽るお年寄り。30分以上も同じ姿勢でした。おしゃべりするおばあさんあり、思索的なおばあさんあり。

 左下の写真は、ひとさまに誉められたので、大きく載せます。2人が立つと、道が塞がってしまうほどの細い露地でのスナップ。
 葬式帰りではありませんよ。未亡人は、年がら年中、黒い衣服を着る慣習になっています。スカーフから靴下まで見事に黒で統一されていました。朝8時頃。特別な所へのお出かけでもなさそうですが、キマッテいますね。

 ところが、夫持ちの人は、たとえ80歳になろうが、花模様のブラウスに短い格子柄のスカート。スカートは重ね着ですって。市場で元気よく働いていたご婦人の服装は、下の写真のように、派手派手。
 



















 市場の店員に、黒ずくめはいませんでした。未亡人は、働いてはいけない・・の決まりでもあるのでしょうか。誰にも聞けずじまい。ご存知の方は教えてください。これほど対照的な衣装は、なぜでしょうね。ご多分にもれず、若い人は、誰も民族衣装を着ていません。10年もすれば、漁師の町にまつわる民族衣装も消えてしまいそうですね。(2003年9月17日 記)

 読んでくださった方から、18日に、次のような情報が寄せられました。

漁師のおかみさんは,衣装を何枚も重ね着するそうです。ご亭主が何日もかかる漁にでると,1日終わるごとに1枚づつ脱ぎ、ご亭主が帰港するときには最後の1枚になると現地のガイドに聞きました。切なくてちょっとと艶っぽい話です。ご存知でしょうが念の為・・・

重ね着に、こんな艶っぽい背景があることは知りませんでした。実際に重ね着衣装はお年寄りだけだったので、艶っぽさは、みじんもありませんでしたよ。漁師の町だけに、信じましょうか。
(2003年9月18日 記)

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