北京の旅 3
北京原人

 
北京から南西50qの地・周口店は、北京原人が発見された遺跡。「かなり前に1度案内しただけです」とガイドが言うほど、一般的なツアーでは訪れない地。中学用社会の教科書には、猿人(アウストラロピテクス)→原人(北京原人・ジャワ原人)→旧人(ネアンデルタール人)→新人(クロマニヨン人)と、進化してきた様子が絵入りで説明されています。義務教育の教科書に出ている所は、見学の価値ありと考えました。世界遺産にも指定。

 写真は、北京原人(シナントロプス・ペキネンシス)と新人・ホモサピエンス12名。原人は、猿人と新人の中間に位置し、脳の容量は現代人の73%。要するにお脳がちょっと弱いようですが、最近とみに衰えが目立つわが身からすると、仲間みたいなもの。仲良くカメラに収まり、「火も石器も使い、2本足で立っていたんだから、一緒よ」と話しかけました。本によれば「顎、額、脳などの形態が違うので新人とは別種」とのこと。

 北京の他の観光地と違い、周口店だけは別天地の静けさ。北京から離れているうえに山中なので、なおさらです。洞窟をいくつかのぞいてみましたが、素人には獣が住んでいたものやら、人類が生活していたのか区別がつきません。でも人間がいたとしても何ら不思議はないような大きな洞窟を前にすると、感慨深いものがありました。博物館の説明には「厚い灰の層が残っているので、原人が火を使っていたのはあきらか」とあり、50万年前から20万年前の人類が住んでいたことは、実証されています。

 周口店は、スウェーデンの地質学者が発見し、1927年からロックフェラー財団の援助で発掘。29年に北京大学の考古学者が完全な頭蓋骨を発掘したのを皮切りに、37年までに40体以上を発掘。残念なことに、日本軍の侵攻から化石を守るために荷造りし、その途中で行方不明になったまま。石膏の模型が残されているので、研究にはなんら支障がないそうですが、40体もどこへ消えたのかしら。
  
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