北京の旅 5
万里の長城

 万里の長城は「月から見える唯一の建造物」。毛沢東が「長城に登らずんば好男子にあらず」と言ったほどの名所です。

 この旅の1年半前の3月に、高校時代の友と訪ねた時は、濃霧のために1b先も見えませんでした。日本人ガイドなら「せっかくおいで下さったのに・・」ぐらい言いますが、現地ガイドは「山だから、しょっちゅうあるよ」と悪びれる様子は全くなし。「仙人になった気分」「五里霧中もオツなもの」と強がりを言いつつ、白い世界をやみくもに闊歩。踏みしめているのが石なのか煉瓦なのか。それすら分からなかったのです。月から見える建造物が、間近で全く見えなかったというマンガチックな出来事でした。

 今回は木々も色づき、雲ひとつない青空。まさに「北京秋天」の日和で、くねくねとした城壁が遠くまで見渡せました。長城は、日本やヨーロッパの城とは似ても似つかぬもので、幅5〜6b、高さ8b以上ある道路のような壁のつながりです。城らしいたたずまいと言えるのは、120bごとに築いた砦。敵を見張る番人がいたそうです。

 写真でおわかりのように、45度ほどの急坂で、手すりに掴まっていないと、転げ落ちそうです。山岳地帯に造った壁なので、当時の技術ではアップダウンは避けられなかったのでしょう。これは男坂での話。観光の拠点「八達嶺」の入り口右がゆるやかな女坂、左が急な男坂。男坂の方が断然すいているので、2回とも男坂を歩きましたが、運動不足の方にはきついかもしれません。
 
 歩き回ったのは往復1時間ほどの距離にすぎませんが、全長は2400q。日本列島とほぼ同じ長さです。こんなに長い城壁を築いた秦の始皇帝の権力は、いかばかりであったことか。秦は、日本では弥生時代にあたります。もっとも、今ある建築は明代のもの。

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