南フランスの旅 12
マチス

 南仏には、ゴッホやセザンヌの美術館はありませんが、ピカソ、ロートレック、ルノワール、マチス、シャガールなど、そうそうたる画家の美術館が目白押し。陽光に恵まれた温暖な気候のもとで晩年を過ごす画家が、今でも多いそうです。私とて、ロングステイしてみたい。

 ニースには、マチスとシャガールの美術館があります。自由時間にマチス美術館に行ってみました。ご覧のように赤壁のイタリアジェノア風の館。糸杉、オリーブ、パラソル松の樹木に囲まれているので、一段と赤壁が目立ちます。

 ローマ時代の街の中心地だったシイミエの丘にあり、朽ちかけた円形劇場も残存。中の作品よりも、外観と周囲の景観が気に入りました。
  
 マチス(1869年〜1954年)は北フランスで生まれましたが、亡くなったのは、ニース。葬られたのもシイミエの丘。1939年からニースにアトリエを持っていた縁で、アトリエにあった作品が市に寄贈されたそうです。84歳まで長生きしたのですね。

 美術館には、おなじみの油絵以外に、墨絵のごとき力強いデッサンや、切り絵など。シンプルな線や単色で表された切り絵に引き寄せられ、がらくたを増やすまいの決心はどこへやら、複製を数点買ってしまいました。下の写真の作品は両方とも切り絵。晩年は油絵より、切り絵に力を注ぎました。

 ご覧のように、館内は空いていて、貸し切り状態。

 でも日本語のパンフレットが置いてあるところをみると、たまたまこの時にいなかっただけで、日本人は多いと思いますよ。

 このあたりを別の時にぶらついた友達が、マチスがデザインを手がけたロザリオ礼拝堂に行った話をしてくれました。「この仕事は、自分が選んだものではなく、人生の終わりに近づいて神に自分が選ばれたのだ」と、マチスみずから申し出たのだとか。ウーンきざっぽい。人生の終わりに近づいた・・の言葉通り、礼拝堂の完成は、彼が82歳の時。

 写真を見せてもらいましたが、内部のステンドグラスは、レモンイエロー、エメラルドグリーン、ロイヤルブルーの3色で統一。聖母子像やキリスト受難が黒い線で描かれています。マチス美術館より、礼拝堂の方がずっと良かったとのこと。これから南仏にいらっしゃる方は、足を延ばしたらいかがですか。ニースから近いヴァンスにあります。

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