雲南省の旅 4
街角麻雀

 日本では、若者にこそ人気薄ですが、オヤジ族・オバサン族・トシヨリ族に根強い支持がある麻雀。菊池寛が、大正時代に中国から持ち込んだのが始まりだとか。本場では、一時期禁止されていましたが、現在は、ガイドの曹クン曰わく、「むしろ奨励されてる」。

 ちょっとした空き地で、碁に似たゲームを楽しんでいる場面には、何度も行き会っています。見物人が多くて落ち着かないのでは・・の心配をよそに、ゲームに熱中している様子。でも麻雀光景を目撃したことはありませんでした。
 
 ところが、雲南では何度も見かけました。「賭けているから真剣だよ」と曹クンが言うように、カメラなど気にする余裕はなさそう。そのおかげで、間近で思う存分シャッターを押せたのです。撮ってきた写真をよく観察すると、メンバーもいろいろ。男女混合もあれば、老若混合もあり。

 これは昆明の西寺塔の境内で。昼間から働き盛りの人が・・と思わぬでもありませんが、こちらも観光の旅。人様のことなど言えません。

 左の一葉は、世界遺産の街・麗江古城内の路上で。古い街並みの一角で、民族衣装を着た女性のお年寄りが、いきいきと楽しんでいるところ。これだけでも絵になると思いませんか。
 
 
革命前の中国の女性は纏足をさせられ、一人前に扱われていなかったと聞きます。パールバックの「大地」に登場する農婦のなんと可愛そうだったことか。それに比べ、女性が堂々とゲームを楽しむ余裕ができたことは、他国のことながら、良かったなと思わずにはいられません。

 
3枚目も麗江古城内の街角。朽ちかけた土壁と、高く積まれた薪にもご注目を。40年前の日本の農村を見ている気がしませんか。2枚目と同じ、ナシ族のお年寄りが卓を囲んでいます。男女同じの紺の帽子をかぶっているので、男性と勘違いしてしまいますが、女性ばかり。

 
麻雀牌の色もさまざま。上は青、中が黄緑、下は濃いピンク。マットも牌の色に合わせています。日本の牌の裏は古竹に似せた茶色で、マットは緑と決まっていますが、まあ何でもいいわけですね。

 みんなに見せたいから街角でやっているわけではなく、家が狭いからだと聞きました。路上麻雀は、ガラガラという音も雑音に消されるので、遠慮なくかき回すことが出来ます。タバコの煙もうもうの中より、はるかに健全な雰囲気。太陽の下でのお遊びは、賭けていても、健康的に思えるところが不思議。
(2002年6月2日 記)

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