オーストリアの旅5 
 ザルツブルクとザルツカンマーグート
 

2011年6月25日(土)-7日目

ザルツブルグ市内の続きを書いている。モーツァルトの生家を見たあとに、音楽祭の会場に使われる祝祭劇場、大司教の厩にいた130頭の馬の飲み水場跡、町の発祥地である聖ペーター修道院を通り、大聖堂の中に入った。モーツァルトの親が結婚式をあげ、モーツァルトが洗礼を受けた聖堂である。洗礼盤が残っている。

モーツァルトの洗礼盤 モーツァルト像 レジデンツ広場
 
モーツァルトが洗礼を
受けた洗礼盤
 
1842年に除幕式をした
モーツァルト像
 
城から見たレジデンツ広場


 モーツァルト広場にある彼の銅像は、ふたりの子供が立ち会って1842年に除幕式をした。世界にたくさんある銅像の中でも古い方ではないだろうか。オーストリアのモーツァルトの銅像は「行き当たりばったり銅像めぐり」で書いている。

 モーツァルト広場と隣接しているレジデンツ広場は、大聖堂と司教の館(レジデンツ)に囲まれている。観光馬車が客待ちをしていたが、馬車がよく似合う町だ。

昼食後はフリータイム。添乗員さんが、希望者はホーエンザルツブルク城に連れて行くと言う。フリータイムの時ぐらいツアーの仲間と離れたいが、もともと行く予定だったので、参加することにした。

 この城は高さ120メートルの山の上にあるので、ザルツブルクのあちこちから見える。最初は大司教ゲブハルトの隠れ家として1077年に建立。15世紀に武器庫などを備える城になった。日本語のガイドレシーバーがあったので、それを聞きながら広い城の内部を見た。当たり前のことだが、城の最上階からの展望は素晴らしい。午前中に歩き回ったところがよく見えたので、観光のおさらいをした。

ホーエンザルツブルグ城 城から見た市内 城から見た牧草地
 
新市街から見える
ホーエンザルツブルク城

城から見た旧市街と新市街 
 
牧草地もきれいだ

ザッハトルテそのあとはフリータイム。夕食を兼ねて、ホテルザッハーのカフェに入った。ホテルザッハーの本店はウイーンにある。ミーハーと言われようが、オーストリアでザッハートルテを食べないことには、話の種にならない。

 トルテとアインシュペンナー(左)という生クリームがたっぷり入ったコーヒーを頼んだ。生クリームが上にのったコーヒーは、一昔前は日本ではウインナコーヒーと呼ばれていた。友達がウイーンでウインナコーヒーを頼んで「そんなものはない」と言われたそうだ。そう古い話でもない。ちなみにウインナソーセージというソーセージもオーストリアにはないそうだ。

カフェは敷居が高いわけでもなく、非常に心地よい。私たちは他にも見たいところがあるので、ゆっくりもできないが、優雅そうなおば様たち3人が、楽しそうにおしゃべりに興じている。ここを出たあとに、またその前を通ったのだが、その人たちはまだその席に座っていた。

ごちゃごちゃした旧市街は歩くだけで疲れるので、新市街をぶらついた。そんなとき、添乗員さんにばったり出会った。コピー機を探しているのだと言う。日本ではコピー機などどこにもあるが、オーストリアにはコンビニがないのでその便利さに慣れた日本人には、不便な点はたくさんある。自販機もない。

 だからこそ、街並みがきれいなのだ。たとえ少々不便でも、美意識に反するものはオミットする姿勢が国民にあるのだと思う。旧市街にあったマック看板も見慣れた黄色と赤のマークではなく、Mの字が茶色っぽかった。妙に目立たせて評判を落としては逆効果だと知っているのだ。

マックの看板 野外コンサート マリオネット劇場

旧市街のマックの看板
色を抑えている 

ミラベル庭園でコンサート
ドイツとオーストリアの競演 
 
「魔笛」を聴いたマリオネット劇場
上演中の写真撮影は禁止だった


 7時半からマリオネット劇場で、人形劇を見ることになっている。マリオネット劇場の場所を確かめたあとに、隣接するミラベル庭園に行ってみたら、ラッキーなことに、無料の野外コンサートをやっていた。ドイツのシュツッツガルトから来た楽団とザルツブルクの楽団の競演。疲れた足を休めるのはちょうどいいので、木陰で耳を傾けた。

 マリオネットは、操り人形がオーケストラに合わせて演ずるのだが、今日の演目はモーツァルトの「魔笛」。このオペラの名前は聞いたことがあるが、実際には見たことがないし、どんな筋かも知らない。添乗員さんがコピー機を探し回っていたのは、オペラのあらすじをコピーしようとしていたからだが、とうとう見つからなかったらしい。よくわからないままの鑑賞だったが、コミカルな人形の動きに魅せられて、居眠りもせずに楽しい時間を過ごした。この時の鑑賞が数日後のウイーンで役に立つとは、このときは思ってもみなかった。    

                             <ザルツブルクのメルキュールホテル泊>

6月26日(日)−8日目

教会前でおしゃべりする男たち ザルツブルクの東側にある山岳地帯を、ザルツカンマングートと呼ぶ。塩の領地という意味だ。この地方には岩塩鉱山がたくさんあったが、ほとんどが閉鎖している。大小76もの湖があるので、今はリゾート地として人気がある。

景色を主体に見物する日なのに、朝から雨が降っている。昨日までのドライバーはザルツブルク在住の高齢者だったが、今日からウイーン在住の若者に変わった。彼はドライバーになったばかりでサービス精神に溢れている。「晴れていれば・・・」を各所で発するが、想像するしかない。

まずフルシュ湖。日程表に入っているので、雨で何も見えなくても止まる。

 次は「月の湖」の意味があるモント・ゼーに行った。まず教区教会へ。朝のミサが終わったところで、きちんとした服装をした男女が、教会を出てからもおしゃべりに興じていた。日曜ごとのミサは、信仰以外に社交の場でもあるんだろうなと勝手に想像する。それにしても西洋の男性(左)は背筋が伸びて、かっこいい。輪になってのおしゃべりすら絵になる。

 

教会このモントゼー教会(左)は、「サウンドオブミュージック」の結婚式の場面に使われた。サウンドオブミュージックのロケ地は、ザルツブルクばかりではない。あちこちに点在しているので、撮影地をめぐるツアーが出ているそうだ。映画完成から50年近くたった今も人気がある。

 映画の冒頭シーンはザルツカンマングート、マリアがいた修道院はザルツブルクのノンベルク修道院、トラップ大佐の館はザルツブルクの旧市街南7キロにあるレオポルツクローン城、馬の飲み水場はレジデンツ広場と、ロケ地はあちこちにある。
               (2012年10月2日 記)


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