オーストリアの旅6 
 シャーフベルク鉄道とハルシュタット

2011年6月26日(日)-8日目

ザルツカンマングートの小さな町巡りの続きを書いている。モント・ゼーからバスで10分ほどでザンクト・ギルゲンに着いた。

チロリアンハットのおじいさん ヴォルフガング湖の西端にある町で、モーツァルトゆかりの地。母アンナの生家でモーツァルトの姉が結婚生活を送った家が、記念館になっている。

 外壁には彼女らのレリーフがあったが、中に入る時間はない。それにしてもモーツァルトの母と姉が住んでいたからとて、記念館まで作ってしまう。どこまで彼を利用する気なんだろう。市庁舎前にはバイオリンを弾くモーツァルト少年像もあった。この像については「行き当たりばったり銅像めぐり」で書いているので省略。

 ベンチにチロリアンハットをかぶったお年寄りが座っていた(左)。オーストリア人は年寄りも絵になる。

すぐ近くにあるザンクト・ヴォルフガングでバスを降りた。湖に近い同じような町を次から次に訪れているので、こんがらかってくる。でもここは祭りをやっていたので、民族衣装や昔の貴族の服装をした人たちがたむろしていたので、印象に残っている。愛想よくカメラに収まってくれたが、カメラ目線が多いので写真の出来はいまいちだ。

 昼食後、ヴォルフガング駅で登山列車シャーフベルク鉄道に乗った。終点の駅になっているシャーフベルク山は標高1732メートルもあるので、寒かった。おまけに今日は朝から雨が降っているので何も見えない。晴れていればザルツカンマングートの湖が見えて絶景らしい。でも途中の車窓からは、ヴォルフガング湖などが見えたので良しとしよう。


シャーフベルク鉄道 湖 山と湖
 
登山列車の
シャーフベルク鉄道

鉄道の車窓からの見える
ヴォルフガング湖 
 
車窓からの山と湖

 登山列車に乗った第一の収穫は、日本人の落さんに会ったことだ。連れのオーストリア人とドイツ語で話している。落さんは大学卒業後、ドイツのワイン学校でワインづくりを学び、その時以来30年近い付き合いだという。今は新潟市でカーブドッチという施設を経営。ブドウ作りからはじまりワイン造り、レストラン、カフェも経営している。ワイルドな庭も見どころのようだ。そこで働いているスタッフ6〜7人を連れてイギリスのガーデニングを見学後、オーストリアに移動した。一緒にいたオーストリア人の家に泊まっているそうだ。みな仕事をしているので1週間ぐらいの旅らしいが「僕はここからの景色が世界一きれいだと思っているから、みんなを連れてきたんだ」と落さんは話していた。いつかカーブドッチを訪れてみよう。

 登山列車を降りたら太陽が差してきた。世の中、うまくいかないものだ。

 40分ほど走って宿泊地のバート・イシュルに着いた。ここはフランツ・ヨーゼフが皇帝のころに、ヨーロッパの社交場だった。ここの塩鉱水は不妊に効くらしい。ヨーゼフの母ゾフィーはここに滞在して3人の息子に恵まれたので、王子たちは「塩の王子」と言われたとか。

カイザーヴィラ ホテルに荷物をおいたあとに、町を散策した。小さな町なので、どこでも歩いて行ける。市庁舎・カイザーテルメ(温泉プール)・劇場・教会など。

 いちばん見たかったカイザー・ヴィラ(左)は無情にも、開館時間が過ぎていた。ここはフランツ・ヨーゼフとエリザベートの結婚を祝って建てた別荘。エリザベートが暗殺される1か月前に旅たったままの状態で保存されている部屋があるという。見たかったなあ。バート・イシュルは、ヨーゼフとエリザベートが出会った地でもある。姉が見合いをするので、ついて行ったら、妹が見初められてしまったという因縁の場所だ。

                                     <バート・イシュルのゴールドネスシフ泊>

6月27日(月)−9日目 

 今日は朝から晴天だ。ホテルに近いトラウン川のほとりを歩いたが、心地よい。

 30分ほどバスが走ると、ハルシュタットだ。ハル・イン・チロルのところでも書いたように、ハルは塩を意味する。ハルシュタットの塩鉱を見学することになっているが、まず世界でいちばん美しい湖畔と言われるハルシュタットの町を散策した。晴天に恵まれたおかげで、世界一が大げさともいえなない町のたたずまいだった。特に湖の青さ・教会・かわいらしい家並み。ここに住みたいかどうかはともかく、観光で訪れるには申し分ない。

湖畔 可愛い家並み 薪を切っているおじいさん
 
ハルシュタット湖畔

ベランダの花も家の壁も
可愛らしい 
 
フクシマを心配してくれた
おじいさん


 フリータイムで歩き回っていると、薪をチェーンソーで切っている男性がいた。長い寒い冬に備えて燃料を用意していうのだろう。「どこから来たの。ヤーパンのどこに住んでいるか、そこはフクシマから遠いか」と心配してくれた。顔つきをみれば揶揄しているのではないことが分かる。「横浜はフクシマから300キロも離れているから安全だ」と強調。本当は神奈川県とて足柄茶からセシウムが出るなど、まったく心配ないわけではないけれど、語学力も乏しいうえに愛国心からも「安全だ安全だ」と繰り返す。

 ハルシュタット湖をクルーズで回った後に昼食。

 いよいよ塩鉱見学だ。まずケーブルカーで向かうが、そこからさらに急な坂道を15分も登る。今回のツアーの仲間は全員が足が達者なので誰も遅れない。塩鉱の入口は混み合っていた。夏休み前の遠足の子供たちも大勢いる。私たちはザルツブルクの高校生とアラブ系の人たちとグループになって見学する。

 見学の途中に滑り台が2台ある。これを滑っておりるので、洋服が傷まないように汚れないようにと、防護服がある。これを着なければならないので、混雑に拍車をかける。

防護服 滑り台 塩坑の内部

塩坑に入るには
防護服を着る
 
鉱夫が使っていた
木製の滑り台で下りる
 
塩坑の内部
壁は塩っぱい

 塩鉱はポーランドで見たことがある。ここは塩の結晶で作られた宮殿や礼拝室があり見応えがあったが、ここのは当時のままの鉱山なので少し退屈だ。退屈しのぎに壁を舐めてみたら、やっぱり塩っぱかった。

 バート・イシュルに戻り自由時間。太陽は出ているが、時間は遅い。昨日見損なったカイザー・ヴィラは、今日も閉まっていた。                           <バート・イシュルのゴールドネスシフ泊>

                                        (2012年10月17日 記)
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