北欧の旅 12
コペンハーゲン その1

2006年7月9日(日)―12日目

 今日は飛行機でデンマークに向かうことになっているので、5時半にモーニングコール。空港で手続きをしてくれたのは若い日本人女性の木村さん。アウトドアの勉強をしているそうだ。

9時25分(ストックホルム発)→スカンジナビア航空で、10時35分(コペンハーゲン着)

 最後の訪問国・デンマークに入国した。ガイドはやはり日本人中年女性エイコさんで、ご主人はデンマーク人。デンマークは九州より少し広いだけの小国で、しかも406もの島からなっている。人口は540万人。そのうち50万人がコペンハーゲンに住んでいる。

 空港から市街に向かうときに、弓状に並んでいる洋上風車(左)20基が見えた。コペンの電力の6〜7%、国内電力の20%は風力発電に頼っているそうだ。山がなく強い風を受けやすいので、世界一の風力発電国になっている。


 昼食後コペンハーゲン市内の見物。まずローゼンボー宮殿。ローゼンはバラ、ボーは城という意味。400年前にクリスチャン4世によって作られた。クリスチャン4世のマークはCの中に数字の4がついている。クリスチャン4世は60年間も在位したので、あちこちでCと4のマークを見た。今は小国のデンマークだが、北ドイツ・ノルウェー・スエーデン・アイスランドを支配していた時代もあった。

 宮殿の室内撮影はお金をとられる。ろくな写真が撮れそうにないので、撮影しなかった。大広間には玉座、地下には宝物がある。目玉はクリスチャン4世と5世の戴冠式の時の王冠。クリスチャン4世のは頭部が開いている。クリスチャン5世の王冠は、国内を統一したということで、頭部が閉じている。

 コペンハーゲンの目玉である人魚姫の像は海辺の岩に座っていた。人だかりがなければ、それとは気づかないほど目立たない小さな像で、シンガポールのマーライオン・ベルギーの小便小僧と共に、3大世界がっかり像の命名も納得できる。

「人魚姫」のバレーを舞台で見たビール会社のカールスベア2代目社長が、1913年にエドワード・ハッセンに作らせた。あまりにも有名な像だが、まだ100年も経ってない。どこの国にもおかしな人がいるもので、この人魚姫も散々な目にあっている。人魚は海にいた方が幸せだと、海に落とした輩が何人もいて、何度も修理しているらしい。なんとなく笑える話。人魚姫については、すでに銅像めぐり「アンデルセン」で取り上げているので、そちらをご覧いただきたい。

ビール会社が作ったカールスベア美術館の前庭 アマリエンボー宮殿の衛兵・真夏でも熊の毛皮の帽子を被っている 国立博物館の日本の部屋に展示してあった駕籠

次はアマリエンボー宮殿へ。18世紀末に王宮が焼けてしまい、貴族の館4棟を宮殿に代用したので、いわゆる宮殿らしさがない。一般車も敷地内を通過できる。クマの毛皮の帽子をかぶった衛兵がいなければ、王宮だとは気づかない。王家が滞在中は旗があがる。65歳の女王はバルコニーに出て国民と至近距離で接し、直接会話を交わすこともあるらしい。 

 長男はハーバード大を出てシドニーオリンピックで知り合った一般人を妻にした。長男がいる。次男の奥さんは香港から迎えたが2年前に離婚、2人の息子がいる。警備にお金を使わないし、王家の人も普通に買い物もする。エイコさんは、雅子妃殿下の立場を思ってか、王室が開かれている様子を一生懸命話してくれた。

 ガイドは3時までという約束だという。そのせいか、せかせかした見学だったが、エイコさんは早口でいろいろ話してくれた。

 3時40分にはホテルにチェックイン。ここは街の中心部にあり、どこに行くのも便利。添乗員の菊地さんが、新カールスベア美術館と国立博物館に案内してくれた。ざっと見学する時間しかなかったが、どちらも無料。カールスベア美術館は、ビール会社が作った美術館で自然光を採り入れた明るい作りで、エジプト・ギリシャ・ローマの彫刻が充実している。

国立博物館は名前のようにデンマークを代表する博物館。日本の部屋もあった。有名な美術品はないが、鎧兜、刀、工芸品、仏像、おひな様、茶道具など、古い時代の日本を彷彿させる物が展示してあった。どうやって手にいれたのだろうか。日本の国立博物館は、無料で入館できる年齢を65歳から70歳に引き上げた。デンマークと日本のこの差は、なんなのだろう。
<コペンハーゲンのファーストヴェステルブロ泊>

7月10日(月)−13日目

コペンハーゲン郊外にある城を見に行った。まずフレデリックスボー城へ向かった。「これぞ西洋の城」と言いたくなる赤煉瓦つくり城。湖面に浮かぶ姿がきれいだ。クリスチャン4世の父フレデリックスが、地方貴族の館を入手したのでこの名がある。クリスチャン4世が長い歳月をかけてルネッサンス様式の城にしたが、1859年に全焼してしまった。カールスベアビール会社の創立者ヤコブセンが寄付をして再建し、博物館として開館。デンマークにおけるカールスベア社の影響力の大きさがわかる。ここに書いているだけでも、人魚姫の像・美術館・フレデリックスボーに関係している。

博物館になっているフレデリックスボー城 ハムレットの舞台と言われるクロンボー城 シェークスピアの胸像

次はクロンボー城へ。1585年にフレデリック2世により完成。途中で火災にあっているが、修復の仕方が良いのか世界遺産だ。昔は暖炉を使っていたために、火災が多かった。

クロンボー城は海に突き出ているほぼ四角形の城で、美しさという点では劣るが、戦略上で重要な城塞である。スエーデンが肉眼でも見えた。

この城が有名なのは、「ハムレット」の舞台になったと言われているからだ。壁にシェークスピアの胸像レリーフがあった。説明は読めないが、ハムレットらしき文字は読めた。「王子Amleth」とある。シェークスピアは最後のhを前に持ってきて、Hamletとしたという。でも彼はデンマークを訪れていない。デンマークの伝説をもとに、城塞と組み合わせて戯曲を書いたそうだ。(2007年8月29日 記)

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