日本史ウオーキング
 
   59回 河川を改造した江戸の町 その2(江戸時代)


ポスター河川の改造や埋め立てによって作られた江戸の町。その名残を求めて、日本橋川と神田川と隅田川の川べりを歩いたことは58回で書いた。次は舟上からお江戸を眺めたい。2013年9月に、旅行会社主催のクルーズに参加してみた。

このツアーの集合場所は「日本橋船着き場」。船着き場が出来たのは、そう古いことではない。2011年3月10日(そう!東日本大震災の前日)、日本橋界隈を歩きまわった。この時、桟橋を作っているところだった。

初代の日本橋が架けられたのは、家康が江戸幕府を開いた1603年。安藤広重の東海道五十三次の浮世絵にあるように、この橋は400年以上前から日本の中心だった

今の日本橋が架けられたのは、明治44(1911)年4月。日本橋の商店街には100周年のポスター(左)が貼ってあり、活気に満ちていた。ところが、震災の自粛ムードのなか、4月に予定されていた行事は秋に延期になった。


そんな経緯はあったものの、日本橋再生プロジェクトは成功し、今は川めぐりの舟がたくさん出ている。私が乗ったのは下記の地図(ツアーでもらったもの)を1時間半で巡るもの。日本橋船着き場から日本橋川を上り神田川を下って隅田川に出る。永代橋の手前で再び日本橋川を上る。パリのセーヌ川のクルーズでも感じることだが、陸上で見たものを水上から眺めると新鮮な発見がある。


クルーズの地図


すべての橋を載せる余裕はないので、前回の記事とだぶらないようにして、いくつかの橋を選んでみた。このクルーズを江戸時代にくくるのは正確ではない。江戸時代に架けられた橋はわずかだし、周囲は激変している。河川がほぼこのような状態だったということで、ご理解いただきたい。とは言うものの、江戸城の石垣、金座の跡地、江戸初期に開削した人工渓谷、徳川家御用達の名水・御茶ノ水、江戸の三森・柳森神社などに、江戸を感じる。


日本橋船着き場 一石橋 金座跡
 
日本橋船着場
東日本大震災の前日に訪れた時は
「日本橋100歳」のイベントに向け
準備中だった
船着き場は工事中


 
この一石橋は江戸初期からあった
北橋詰めには
金座御用の後藤庄三郎の邸
南橋詰めには
御用呉服商人の後藤縫之助の邸


 
一石橋のすぐ側に日本銀行がある
江戸時代に金座が置かれたところ
つまり左に書いた後藤庄三郎の
邸があった場所である


常磐橋 江戸城の石垣 大名の家紋

「ときわ橋」は3つある。常盤橋、常磐橋、
新常盤橋。「わ」の字が違う 
写真は家康の江戸入り直後の1590年に
架けられた常磐橋
明治10(1877年)に建て替えられた。
関東大震災築を免れたが、今は修復中




常磐橋に江戸城の城門があった
橋のたもとには、江戸時代の
枡形石垣が残っている

ここが江戸城の外堀だった
ことが分かる

 
 
一ツ橋と雉子橋の間でも
石垣をたくさん見ることができる
石には刻印が残っていて
寄贈した大名が分かる
「丸に十字」は島津藩の家紋


御茶ノ水渓谷 御茶ノ水橋 聖橋
 
神田川めぐりのハイライトは
御茶ノ水渓谷
江戸時代に、神田山を削って
生まれた人工的な渓谷
岸辺は自然の宝庫



 
明治24年に架けられた御茶ノ水橋
今の橋は関東大震災後の昭和6年築

お茶の水は高林寺の名水
鷹狩りの帰りに2代将軍徳川秀忠が
お茶を飲んでから、徳川家御用達
 
モダンなデザインの聖橋
昭和2年に架けられた
湯島の聖堂(幕府の官学所)と
ハリストス正教会のニコライ堂を

結んだ橋なので聖橋

万世橋駅舎 柳森神社 浅草橋

左に小さく見えるのが
万世橋
右側のレンガアーチは明治45年に
完成した旧国鉄の万世橋駅舎
2013年9月に「マーチェキュート
神田万世橋」に生まれ変わった


 
神田ふれあい橋付近から
見える柳森神社は
京都の伏見稲荷を勧請
太田道灌は鬼門よけとして
柳の木を植えた
日本橋の「椙森神社」、新橋の
「烏森神社」と共に「江戸の三森」


 
浅草橋
遠くに見える緑色の橋は柳橋
浅草橋と柳橋の間には
屋形船・小型ボート・和船などが
係留していた

柳橋を過ぎると隅田川
総武線とスカイツリー 清洲橋とスカイツリー 永代橋とリバーシティ
 
神田川から隅田川に入る
江戸時代の大川の名に恥じず
急に川幅も広くなり明るくなる
JR総武線とスカイツリー
よく見えるように船を
回してくれた


 
昭和3年に架けられた
重要文化財の清洲橋
ドイツのケルンにある橋を
真似た洒落たデザイン
清洲橋とスカイツリーの
組み合わせは絶景だ

 
大正15年に架けられた
永代橋も重要文化財
背後に見えるのは
大川端リバーシティ21
石川島播磨の移転で
再開発した


湊橋 日本橋水門 茅場橋

再び日本橋川に入って3つ目の湊橋
この橋の辺りは江戸時代の
水運の中心地・江戸湊
この辺りは首都高速が空を
覆っていないので気持ちがいい

 
日本橋水門
亀島川と日本橋川の分岐点にある
この水門で水の高さを
調節している

 
茅場橋
証券会社や銀行が
軒を連ねる茅場町に近い
兜神社も近くにある


                                                (2014年1月23日 記)

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