チュニジアの旅 4
イスラム教と写真

 「イスラムの人は写真を嫌がります。やたらにカメラを向けないように」と、ガイドブックで注意を促しています。イスラムと言っても、いろいろあらあな。チュニジアはどうだったのでしょう。女性、男性、子供の三者三様の写真をごらんください。

 まずベールの女性を。砂漠に近いトズール(地図参照)には、左のような黒衣姿が大勢いました。なぜかここでは黒衣ばかり。

 右は、聖地・カイラワンでのスナップです。ここの女性は、すべて白衣。チュニジア3にカイラワンのメディナ写真を載せていますが、市場での買い物もこの姿でしたね。

 町ごとに制服があるのでしょうか。ガイドのMoez君は、女性の服装に興味がないのか、私の質問にも「ムニャムニャ」。

 町の人口の何%がベールをかぶっているのか知りたいところですが、写真撮影に苦労がないほど、次から次へ現れました。2枚とも後ろ姿なので、年齢がわかりませんが、うっかり布がずれてしまい、顔が写ってしまった作品も、数枚あります。ここでご紹介するのは、やめておきますが、中年女性とお婆さんでした。

 次は男性を。顔までは隠しませんが、長い衣服を纏うなど、イスラム風のいでたちも、かなりいましたよ。

 左は、首都・チュニスのメディナ内で、話し込んでいる帽子をかぶった2人。メディナ(市場)に、帽子専門店があるところをみると、需要が多いのですね。

 私のカメラには、ろくな望遠装置がついていないので、接近しなければ、こういった写真は撮れません。断ろうにも、あまりに熱中しているので、無断でパチリ。

 カメラなどまったく眼中にないほど、話し込んでいたので、大助かり。商談でもしているのでしょうか。

 女性が、公共の場(他人の目がある所)で集っている姿は、一度も見ませんでした。カフェやベンチで、話し込んでいるのは、男性だけなのです。

 これだけ聞くと、抑圧された女性像が浮かんできますが、どうしてどうして。彼女らはお互いの家を行き来して、楽しんでいると聞きました。男性は、家に居場所がないので、仕方なく外に出ているのだとか。いずこも女性は、したたかですねえ。

 左は、トズールの広場で、話し込む2人。なにか深刻な話でしょうか。左の男が、右の男を説得しているように見えますね。

 少なくとも30分以上、同じ姿勢でしたよ。まず1枚撮って、メディナの店を冷やかして戻ってきたら、まだ同じ姿勢。ふたたび、何枚か撮らせてもらいました。

 ベールに町ごとの違いがあるように、男性のかぶり物もトズールとチュニスで違いがあるようです。トズールの男性はスカーフでした。

 パレスチナのアラファト議長は、豆しぼりのスカーフですが、ここでは無地。こんな違いを見るだけでも、横浜から24時間もかけて、訪れた甲斐がありました。2枚の写真とも、それぞれの男性の手の表情が豊かですね。

 最後は子供。鬼ごっこをしていたのに、遊びをやめて回りに集まってきました。活気あふれる可愛い笑顔!こんな無邪気な姿は、昨今の日本では見かけなくなりました。写真を嫌がるどころか、カメラを向けると、遠くにいた子まで輪に入ってきました。

 おねだりをすることもなく、写真を送ってくれと請求するわけでもなく、ひたすら無邪気。

 というわけで、少なくとも、子供は、写真を嫌がるどころか、被写体になるだけで、嬉しいといった様子。親が常日頃「写真に撮られてはいけないよ」と言い聞かせていれば、こういう行動はとらないはずです。

 チュニスのバルドー博物館内で、外にいる中学生にカメラを向けたら、どっと、窓に近づいてくれました。右は、その時の写真。バルドー博物館は、別項でお話するつもりですが、ローマ時代のモザイク画蒐集では世界一。

 日本の中学生がレンズに群がってくるとは、とても思えません。「イスラムの国では写真を嫌がる」の注意書きは、ある意味ではウソになっています。少なくともチュニジアの子供達に関しては。彼らが大人になった時にどうなるのでしょう。知りたいですね。

 でも、カメラを見るや、顔を背けた女性も数人いました。やはり、ここはイスラムの国。油断は禁物だと、肝に銘じました。
(2004年2月17日 記)

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