ブータンの旅 
2011年11月6日(日)〜16日(水) 


ブータンってこんな国 ・4代目国王と5代目国王
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ブータンの旅 1 
ブータンってこんな国

 ブータンへの直行便はないので、タイのバンコクやインドを経由する。私たちは夕方成田を発ち、バンコクの空港ホテルに1泊した。 

 バンコクを出発したのが早かったので、ブータンの空港・パロには朝の8時に到着。一日がフルに使えそうだ。

 左写真は、ブータン国営のドルックエア。ドルックは「雷龍」という意味で、尾翼にも雷龍のデザインが描かれている。


 一般的なブータンのツアーは、空港のあるパロと首都のティンプー、国王の戴冠式や結婚式が行われたプナカを巡る。

回ったところ 参加したツアーは、もう少し奥まったジャカールまで足を延ばす(左地図)。

 他の人があまり行かない地方には、なにか発見があるかもしれないと思い、E社のツアーに参加してみた。


 最近は、日程順に綴っているが、ブータンの場合は項目に分けて、書こうと思う。

 ブータンの国土は九州とほぼ同じぐらいの小さな国。大国のインドと中国に挟まれている。人口は約70万人で、横浜でいえば3つの区を合計した人数にすぎない。民族はチベット系が80%、ネパール系が20%。

首都ティンプーは沖縄とほぼ同じ緯度だが、標高が2400mなので真夏でも過ごしやすいらしい。訪れた11月は、晴れの日が多く昼間は快適、ただし夜の冷え込みはきつかった。暖房設備がよくないので、ホッカイロで寒さをしのいだ。

ブータンの南部は標高200m、北部は8000mのヒマラヤ山脈が連なっている。「国土は狭いですが標高差があるので、多様な植物や動物に恵まれています」と、ガイドが誇らしげに説明した。でも、私たちが動き回った地域はごく一部なので、多様な動植物には縁がなかった。珍しいと言えば、頭部がヤギ、身体が牛の「ターキン」という国獣を見るに見たが、動物園ごとき施設でのことだ。

8世紀に、高僧グル・リンポチェが、この地にチベット仏教を広めたが、国家があったわけではない。ブータンという国は、1616年にチベットの高僧のガワン・ナムゲルが、実権を握り国土を統一したことに始まる。

4代目国王と5代目国王

4代目国王群雄割拠の時代を経て、トンサ郡の豪族・ウゲン・ワンチュクが1907年に初代王についた。ブータン王国と言われるが、実はまだ100年の歴史しかない。

1952年に即位した3代目国王は、農奴解放や教育の普及など近代化と民主化を進めた。1971年には国連に加盟。ところが3代目は1972年に急死、16歳の王子が4代目に即位した。

 父の意思を次いだ4代目(左)は、1974年に最初の観光客を受け入るなど、さらに近代化を進めた。

1998年には国王自らが立憲君主制への移行を提案し、2008年には議会制民主政治が始まった。王政が倒された国はたくさんあるが、ブータンの場合は王自らが立憲君主制をしいた。

 ガイドは「国民はみんな4代目が好きだっから、王政のままで良いと言ったんですよ。でも今は内閣も国会もあります。王様はいますが、3年前からは正確に言うと王国ではないんです」と話していた。

5代目国王夫妻 4代目は王政を廃止すると同時に、51歳の若さで息子に王の位を譲った。16歳で王になってから、すでに35年も経っている。長すぎるのはよくないと考えたのだろうか。もちろん今も健在で、たまたま現地で買った新聞には、4代目の写真が載っていた。

26歳の若さで王位を譲られたのが、去年2011年11月に来日した5代目国王、シグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク。1か月前に結婚したばかりだから、日本来訪は新婚旅行みたいなものだ。

 私の帰国と国王夫妻(左)の来日はわずか半日しか違わなかった。日本にいる間の行動を、テレビが逐一放映してくれたおかげで、ブータンでは見なかった彼らの素顔に接することが出来た。

 戴冠式は2008年に行われた。戴冠式記念に修復された施設が多いので、観光中に2008年という年号は何度も耳にした。


 4代目国王の王妃たち 4代目の国王は、4人の王妃(左)との間に5男5女10人の子供がいる。よくしたもので、4人の王妃とも2〜3人の子供に恵まれている。その長男が来日した5代目だ。わずか30年前のことだが、一夫多妻が当たり前だったらしい。

王妃が4人いるのはよくある話といえばそれまでだが、なんと4人の王妃は実の姉妹。6人姉妹のうち、次女から5女までが同時に国王に嫁いだ。王妃全員が実の姉妹と言う例を他には知らない。

 王妃の中のいちばん年長の次女が「幸福大国ブータン」(日本放送出版協会)という本を書いている。ブータンの地勢・観光名所・農民の暮らしなどを細かく綴っているが、姉妹が同時に嫁ぐことになった事情は書いてない。国王の愛をめぐっての姉妹間の確執があったろうとは、だれでも考えることだが、下世話なことにはまったく触れていない。4代目国王と4人の王妃の写真は、「幸福大国ブータン」からコピーさせてもらった。

                                                 (2012年12月16日記)
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